季節風ってなに? 仕組みや向き、種類についてわかりやすく解説【親子でプチ科学】

季節風は航海に影響を与える風として、紀元前からその存在を知られていました。具体的に、どのような特徴がある風なのでしょうか? 四季に合わせて各地に吹く風の名前や、風が吹く仕組みを見ていきましょう。日本と海外の季節風についても紹介します。

季節風って?

まずは、季節風の基本的な特徴を見ていきましょう。季節ごとに名付けられている風の名称と特徴も紹介します。偏西風や貿易風といった恒常風との違いもチェックしましょう。

季節で吹く方向が変わる風

季節によって吹く方向が変わる風のことを、季節風(モンスーン)といいます吹く地域は限定されており、比較的狭い範囲で吹く風です。

季節ごとに、以下のように吹く風が多いとわかっています。

・夏:海から大陸へ
・冬:大陸から海へ

季節風は、古くから航海に影響する風として有名です。とりわけ、季節風が強く吹くインド洋では、紀元前から存在が知られ利用されてきました。

▲たとえば日本においては、夏の季節風は、太平洋側から吹く
▲いっぽう、日本の冬の季節風は、ユーラシア大陸のほうから吹く

日本での季節風の名称

日本には、季節ごとに風の名前がたくさんあります。例えば、冬から春の変わり目に強く吹く南寄りの風の名前は「春一番」です。

他にもある、日本の風の名称を見ていきましょう。

・東風(こち):春に吹く東からの風
・春疾風(はるはやて):気圧配置が冬から春へ変わるときに吹く突風
・薫風(くんぷう):初夏に吹く南風
・白南風(しろはえ):梅雨明けに吹く南風
・初嵐(はつあらし):秋の始めに吹く強風
・雁渡し(かりわたし):9~10月に吹く北風
・木枯らし(こがらし):冬の気圧配置である西高東低になると吹く北寄りの風
・おろし:冬に山から吹く冷たい強風。六甲おろし・富士おろしのように山の名前を付ける

季節ごとに風に特徴があるため、季語として使われているものもあります。

偏西風や貿易風との違い

常に同じ方向に吹いている風が「恒常風(こうじょうふう)」です。「偏西風」や「貿易風」は季節にかかわらず同じ方向へ吹いているため、恒常風に分類されます。

・偏西風:緯度35~65度の地域で蛇行しながら吹く西からの風
・貿易風:緯度30度以下の地域で吹く東からの風

恒常風が吹くのは、赤道付近と北極・南極の温度差によって気圧の差が発生するからです。

空気は気圧が高いところから低いところへ流れるため、その流れから風が吹きます。地球の自転も恒常風に影響を与える要因です。

季節風の仕組み

恒常風が赤道と北極・南極の温度差で発生したのに対し、季節によって風向きが変わる季節風は、大陸と海の温度差で発生することがわかっています。

夏と冬で異なる季節風の特徴を解説します。

夏の季節風

海から大陸に向けて吹くのが夏の季節風です。海は一年を通して、水温がそれほど大きく変化しません。そのため、夏になると海より大陸のほうが温度が高くなります。

暖められた地表では、その部分だけ空気が軽くなります。空気が軽くなるということは、低気圧ということです。

気圧が低い場所には空気が流れ込んでくるため、海から大陸に向けて風が吹きます。

日本付近における、夏の南東の季節風

冬の季節風

冬の季節風は、大陸から海へ向けて吹くのが特徴です。海の温度は夏とそれほど変わらないため、夏のように太陽の熱で暖かくならない大陸と比べ、海のほうが温度が高くなります。

暖かい海上は、空気が軽くなった低気圧の状態です。気圧の差によって大陸から海へ向かう空気の流れができ、その流れが冬の季節風となります。

日本付近における、冬の北西の季節風

季節風の種類

季節風は、地域によって吹いている種類が異なります。日本と海外では、それぞれどのような風が吹いているのでしょうか?  季節風による影響とともに見ていきましょう。

日本の季節風

夏に吹くのはユーラシア大陸からの風です。特に、沖縄や奄美は季節風の影響を強く受けます。海が荒れやすくなり、漁業にも影響を及ぼす風です。

一方、冬には北西の季節風が吹きます。季節風に乗ってシベリアからの寒気が下がってくることで、強い北~北西の風が吹く仕組みです。

季節風の通り道である日本海は、大陸と比べて相対的に暖かく、上昇気流が発生し雨雲を作ります。この雨雲が、日本海側に雪や雨を降らせる要因です。

太平洋側へ届くときには風は乾燥しており、山から吹き下ろす冷たいおろしとなります。

海外の季節風

インド洋では、熱帯季節風帯により夏と冬の風の違いがはっきりと表れます。6~9月に、降水量の増大で雨期を発生させるのがインドモンスーンです。オーストラリア辺りから西アジアへ向けて吹きます。

亜熱帯季節風の影響を受け、広範囲に季節風が吹くのは東アジアです。冬には北風に、夏には南風になります。日本の梅雨や秋雨にも影響を与える季節風です。

古代から海のシルクロードを移動する際に利用されていたのは、東アフリカで吹く季節風です。経験的に季節風の存在を知っていた航海者は、風向きが変わるのを待ってから船出したともいわれています。

さまざまなものを運ぶ季節風

季節や地域で風向きが変わるのが季節風で、大陸と海との温度差によって風が吹きます。例えば、夏に沖縄や奄美の海が荒れるのも、冬に日本海側で雪や雨が降り、太平洋側で乾燥するのも季節風の影響です。

また、季節風がはっきり表れるインド洋で吹くインドモンスーンは、インドに雨期をもたらします。古くから存在が知られていた季節風は、航海によって外国の品を運ぶのにも役立てられてきました。

季節風は古くから、私たちにさまざまなものをもたらす風であったといえます。

あなたにはこちらもおすすめ

秋雨前線とは? 梅雨とどう違う? 特徴や他の前線との違いをわかりやすく解説【親子でプチ科学】
秋雨前線とは? 「秋雨前線(あきさめぜんせん)」は、秋雨と呼ばれる長雨をもたらす気象現象を指します。まずは秋雨が降る時期や、降り方の特徴を...
台風の定義とは。発生の仕組みや「超大型」「猛烈な」「強風域・暴風域」など用語を理解し、災害にそなえよう
そもそも台風とは? 台風と聞くと、強い風や雨を伴う荒れた天候を思い浮かべる人は多いでしょう。しかしそのような天気が、全て台風と呼ばれるわけ...

構成・文/HugKum編集部

編集部おすすめ

関連記事