台風の定義とは。発生の仕組みや「超大型」「猛烈な」「強風域・暴風域」など用語を理解し、災害にそなえよう

台風は、日本人にとって身近な気象現象です。毎年台風接近のニュースに、季節の移ろいを感じる人もいるでしょう。子どもから、台風についてあれこれと質問される保護者も少なくありません。台風の特徴と上陸の影響を、子どもにも分かりやすく解説します。

そもそも台風とは?

台風と聞くと、強い風や雨を伴う荒れた天候を思い浮かべる人は多いでしょう。しかしそのような天気が、全て台風と呼ばれるわけではありません。台風の定義や名前の由来・似ている天候との違いを見ていきましょう。

熱帯低気圧の一種

台風は発達した「熱帯低気圧」の一種です。熱帯低気圧とは、赤道付近の熱帯の海上で発生する渦巻き状の雲を指します。熱帯低気圧の中でも。以下の条件に当てはまるものが「台風」と呼ばれる気象現象なのです。

・北西太平洋(赤道より北で東経180度より西のエリア)または南シナ海に存在する
・低気圧域内の10分間の最大風速(平均)が「17m/s以上」

北西太平洋や南シナ海を地図で見ると、グアムやフィリピンの辺りだと分かるでしょう。この付近で発生し、風速17m/s以上の勢力を持つようになった熱帯低気圧が、台風の正体です。

参考:気象庁|台風とは

台風の語源と英語名

「台風」の名称は、明治時代の終わりごろに登場します。当時の中央気象台の長だった「岡田武松」という人物が、中国語の「颱風(たいふう)」を用いたことが由来です。「颱風」は、台風を表す英語「typhoon」から来たとの説があります。

以下のように発音が似た言葉をもとに「typhoon」という単語が生まれ、中国に伝わったと考えられています。

・台湾付近で用いられていた「大風(タイフーン)」
・暴風雨を表すアラビア語「tufan」
・ギリシャ神話の怪物「typhon」

中国ではイスラム商人との交易が盛んな時代があったことから、アラビア語の「tufan」説が有力です。1946年に当用漢字が定められてからは、「颱」の代わりに「台」の字が使われるようになりました。

ハリケーンやサイクロンとの違い

台風のように発達した熱帯低気圧は、発生場所や最大風速によって「ハリケーン」や「サイクロン」など、違う名前で呼ばれています。それぞれの定義は以下の通りです。

・ハリケーン:最大風速「33m/s以上」、西経180度より東側の北太平洋・北大西洋・メキシコ湾・カリブ海で発生
・サイクロン:最大風速「17m/s以上」、南北インド洋・太平洋南部で発生

台風の英語は「typhoon」ですが、同じような気象がアメリカで発生した場合は「ハリケーン」となります。またサイクロンは、熱帯低気圧だけでなく、発達した温帯低気圧の場合もあります。

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台風にまつわる謎

台風は毎年日本に接近しますが、仕組みについてよく分からない人も多いでしょう。子どもに「なぜ?」と聞かれそうな、台風にまつわる謎を紹介します。

台風はどうやって生まれる?

台風は発達した熱帯低気圧です。そもそも熱帯低気圧は、どのように生まれるのでしょうか。

太陽が強く照りつける熱帯では、海面からたくさんの水蒸気が発生し、上空へと上っていきます。上空は気温が低いため、上った水蒸気は冷やされ、雲に変わります。雲の周囲にさらに雲ができて渦をなし、真ん中近くの気圧が下がったものが温帯低気圧です。

熱帯低気圧が渦状になるのは、地球の自転が原因です。水蒸気が上空へ上るとき、自転の影響を受けて回転するため渦のような雲になります。

日本に接近しない台風も多い?

日本には夏から秋にかけて、よく台風が接近します。とはいえ発生した全ての台風が、日本に向かってくるわけではありません。気象庁の統計によれば、1年間に平均台風発生回数は平均約26.1回、日本に接近した回数は平均約11.5回です(1951年から2021年まで)。

熱帯地域では常に太陽が強く照りつけるので、台風も1年中発生しています。発生した台風は上空の風や気圧配置の影響を受けながら、海上を北や北西方面に進みます。しかし風向きや気圧配置は季節によって変わるため、日本に接近しない台風もあるのです。

参考:
気象庁|台風の発生数[協定世界時基準]
気象庁|台風の接近数

「台風の目」って何?

台風の目のイメージ

 

「台風の目」とは、渦巻きの中心部にある穴のような場所のことです。台風には強い風が反時計回りに吹き込んでいて、ぐるぐる回転しています。渦の中心の回転速度はとても速く、遠心力が働くため周囲の雲が外側に引っ張られ、目のような穴が開くのです。

遠心力に邪魔されて、風も目の部分には近づけません。このため台風の目の中では風雨が止み、青空が見えることもあります。ただし目の外側は非常に風が強く、目が通過した後は、再び荒れた天気となるため注意が必要です。

台風の終わり方は?

どれほど勢力が強くても、台風は発生から数日程度で熱帯低気圧や温帯低気圧に変わり、やがて消滅します。

台風は温かい海水が生む水蒸気をエネルギーとして発達するので、海水温が低い場所まで移動すると勢力を維持できません。上空の冷たい空気や陸地との摩擦によって、勢力が弱まることもあります。

台風が熱帯低気圧または温帯低気圧に変わるまでの期間は、1991~2020年の平均では5.2日です。ただ、まれに10日以上続く長寿台風もあります。勢力が衰えた後もしばらくの間、強い風雨が続くケースもあるので油断は禁物です。

参考:気象庁|台風の発生、接近、上陸、経路

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天気予報の台風情報を読み解こう

日本に台風が接近すると、毎日の天気予報に台風情報が加わります。台風情報の見方や言葉の意味を知っていると、近づいてくる台風の様子がより理解できるでしょう。

台風の上陸とは

台風が近づく様子は「接近」「通過」「上陸」で表されます。それぞれの意味は以下の通りです。

・接近:台風の中心が北海道・本州・四国・九州の海岸から半径300km以内に来る
・通過:台風の中心が小さな島、小さな半島を横切り、再び海上に出る
・上陸:台風の中心が北海道・本州・四国・九州の海岸に達する

通過や上陸は、まさに台風が日本列島に到達している状態なので、進路に予想されている地域に住む人は十分警戒しなくてはなりません。なお1991~2020年の平均では、日本に年間約12個の台風が接近し、約3個が上陸しています。

参考:
気象庁|予報用語 台風に関する用語
気象庁|台風の発生、接近、上陸、経路

台風の規模は風速で分類

気象庁では台風を「大きさ」と「強さ」の二つで分類し、それぞれを組み合わせて規模を表しています。大きさも強さも、分類の基準となるのは「風速」です。

大きさは、風速15m/s以上の風が吹いているか、吹く可能性がある範囲(強風域)の半径で決まります。強風域の半径が500km以上800km未満が「大型」、800km以上が「超大型」です。半径が500km未満の場合、大きさは表現されません。

強さは中心付近の最大風速によって、次のように分類されます。

・強い: 33~44m/s未満
・非常に強い:44~54m/s未満
・猛烈な: 54m/s以上

33m/s未満であれば強さは表現されません。例えば強風域が800km以上でも、中心付近の最大風速が33m/s未満の場合は、単に「超大型の台風」と表現します。

強風域と暴風域の違い

台風の大きさは「強風域」で表しますが、ときどき強風域の中に「暴風域」が示されることがあります。暴風域とは、風速25m/s以上の風が吹いているか、吹く可能性のある範囲のことです。

どちらも平均風速なので、域内ではもっと強い風が吹く瞬間もあります。風速25m/sは屋根瓦が飛ばされたり、樹木が折れたりするほどの強さです。暴風域を伴う場合は、より危険度が高いといえるでしょう。

参考:気象庁|予報用語 台風に関する用語

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台風がもたらす主な被害

台風が接近すると、大雨や強風によってさまざまな被害を受ける恐れがあります。予想される被害について、具体的に見ていきましょう。

大雨による被害

台風が来ると短期間に大量の雨が降るため、河川の水かさが急激に増し、洪水が起こることがあります。地面にもたくさんの雨が浸み込むので、地盤がゆるみ、土砂崩れの危険も高まるのです。

河川の近くや傾斜地に住んでいる場合は、家が流されるリスクが大きいでしょう。田畑が浸水して、農作物が収穫できなくなるのも心配です。川や山以外でも、低い場所にある道路が水没したり地下鉄の構内に水が流れ込んだりする被害が想定されます。

暴風による被害

台風では普段は吹かないような強い風が吹くので、一瞬で大きな被害が出ることも珍しくありません。風速ごとの主な被害は以下の通りです。

・10m/s:傘が壊れる
・15m/s:取り付けの悪い看板が飛ぶ
・20m/s:子どもが飛ばされそうになる
・25m/s:屋根瓦が飛ばされる・樹木が折れる
・30m/s:雨戸が飛ばされたり、電柱が倒れたりする
・35m/s:自動車や列車が倒れる
・40m/s:小石が飛ぶ
・50m/s:木造家屋が倒壊する
・60m/s: 鉄塔が曲がる

平均風速が15m/sを超えるだけでも、傘や看板が飛んできてケガをする危険があります。さらに風が強くなると、建物や乗り物が壊れたり果樹や稲穂が折れたりして、経済的なダメージも大きくなるでしょう。

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台風が接近したらどうする?

台風は、昼夜も曜日も関係なくやってくるものです。子どもだけで留守番をしている最中に、暴風雨に見舞われるかもしれません。台風を安全にやり過ごす対策を知り、日頃から子どもと話し合っておきましょう。

停電や器物破損に備える

台風がまだ遠くにいるときでも、風で物が飛んでくることがあります。物が窓に当たって割れると危険です。昼間でも雨戸やカーテン、ブラインドを閉めておきましょう。

自宅のベランダや庭に出してある植木鉢や洗濯用品などは、飛ばされないように固定するか家の中に片付けます。

強風で電線が切れ、停電することも考えられます。停電が長引くと、水道が使えなくなったり冷蔵庫の食品が傷んだりする可能性があります。

台風情報が出たらすぐに懐中電灯やロウソクの場所を確認し、非常用の水や食料をそろえておくと安心です。

むやみに外に出ない

台風が近づくと外が暗くなり、風雨が強まって家の中にいても不安な気持ちになります。外がどうなっているのか気になったり、誰かに会いたくなったりするかもしれません。

しかし暴風雨の中を外出するのは、とても危険です。風が強いため傘は役に立たず、雨で視界が遮られて飛来物を避けるのも難しくなります。自動車での外出も、突風による横転や道路の冠水による立ち往生のリスクがあるので可能な限り避けましょう。

洪水や土砂崩れで家が壊れる危険がある場合を除き、台風が近づいているときはむやみに外に出ず、建物の中で通り過ぎるのを待つのが基本です。

台風情報をチェックして早めに対策しよう

台風は、熱帯の海から暴風雨を伴いながらやってくる強い低気圧です。規模や接近度合いによっては、大きな被害が出る場合があります。

ただし台風は、地震やゲリラ豪雨などと違って、接近する日時や規模が予想できます。天気予報の台風情報をしっかりと理解するためにも、それぞれの言葉の意味をいま一度確認しておきましょう。

台風が接近している場合は情報をチェックし、早めに対策しておくと安心です。日頃から子どもと一緒に、台風の危険があるときの対処方法を話し合っておくのもよいでしょう。

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文・構成/HugKum編集部

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