鉄帽のことをなぜ「テッパチ」と言うのか?
陸上自衛隊を舞台にした、「テッパチ!」という連続テレビドラマが放映中です。
「テッパチ」なんて聞き慣れない語ですが、皆さんは何のことかご存じでしょうか?
番組のホームページを見ると、どうやら鉄帽のことをいう、自衛隊の隠語のようです。
鉄帽のことを、なぜ「テッパチ」と言うのでしょうか?
「テッパチ」は「鉄鉢」
実は「テッパチ」は、古くから使われていたある語から生まれた呼び名なのです。
「テッパチ」は漢字で書くと「鉄鉢」です。現在の自衛隊の鉄帽は繊維強化プラスチック製だそうですが、かつては鉄製だったので、今でも「鉄」の字が使われているようです。そして、「ハチ」は「鉢」です。これは、武士がかぶった兜(かぶと)の頭全体を覆う部分の名称です。それを「鉄鉢」と書いて、昔は「てっぱつ」「かなばち」と言っていました。
兜と鉄帽とでは物は違いますし、「ぱつ」「パチ」の違いはあります。でも、「テッパチ」は武士の時代に生まれた古い語に由来しているようなのです。
「やけっぱち」「捨てばち」「ウソッパチ」
ところで、このテレビドラマの主人公は、人生がうまくいかなくて「やけっぱち」な考えで自衛隊に入隊したようです。番組ホームページを読むと、どうやら「やけっぱち」の「ぱち」と「テッパチ」の「パチ」を掛けているようです。
この「ぱち」と「パチ」ですが、ことばとしてはもちろん別の物です。「やけっぱち」は「やけ(自棄)」と「捨てばち」の合成語です。「捨てばち」の「ばち」は「鉢」とも書きますが、これは当て字です。
にせ物の「テッパチ」が「ウソッパチ」?
さらに、自衛隊の隠語のようですが、プラスチック製のヘルメットを「ウソッパチ」と言うそうです。
にせ物の「テッパチ」という意味のようです。もちろん、「テッパチ」に対するプラスチック製の「ウソッパチ」なら、この「パチ」は「鉢」でいいのですが、本来の意味の「嘘っぱち」は「嘘」を強めた言い方です。この語は「嘘八百」からきているようです「八百」は数の多いことを言います。
「パチ」違いではありますが、どの語も「パチ」で共通していて面白いですね。