「ふだんから落ち着きがなく、注意しても聞かない。発達障害でしょうか?」【保育経験41年・元園長先生の相談室20】

子どもが生まれると、成長に合わせていろいろな悩みが出てきます。健康のことはもちろん、しつけのこと、園生活でのこと、学習についてなど、「どうしたらいいの?」とふと誰かに聞いてみたくなる疑問は尽きません。そんなみんなが感じる育児のお悩みや疑問に、保育経験41年の元園長先生・田苗孝子先生に答えていただきました。ふっと気持ちが軽くなる、そんな先生のお答えをQ&Aでご紹介します。

子どもの健康、しつけ、園生活の悩みをズバリ解決!!

 

3歳の男の子です。ふだんから落ち着きがなく、注意してもなかなかいうことを聞いてくれません。発達障害ではないかとと心配しています。

三重県 F・Kさん

 

発達障害は年齢が低い子ほど発見が困難です

発達障害は、主に先天性の脳機能障害が原因となり、乳幼児期に生じる発達の遅れです。いくつかの障害が合併していることもあり、その症状や特徴は各人でさまざまです。近年、この障害が一般に認知されるようになったため、自分の子どもに少しでもその傾向が見られると、心配するお母さんが増えています。昔は「ちょっと変わった子ども」というぐらいで、ひとつの個性として捉えてきたことが、そうはいかなくなっているようです。

発達障害の子どもは、人との関わりがうまくできなかったり、新しい環境や周囲の人とのなじみにくさ、特定のこだわりや言葉の遅れなどの特徴があります。しかし、これらの特徴は健常児にも現われるものでもあり、年齢が低いほど発達障害であるかどうかの判断は難しいのが現実です。相談者のお子さんのように落ち着きがない場合は、まずお子さんとお母さんとの関係性について見直してみてください。

例えば、お子さんに注意をする際、一方的に言っていたり、もしくは人の目があるからといって、叱らずにいたりしていませんか。お子さんに対するしつけは、常に首尾一貫していなければいけません。そうでないとお子さんは、親の気持ちをそのときどきで理解できず、混乱します。

また、叱る際は子どもの心に、まず寄り添うことが必要です。「あなたの気持ちはわかるよ」と言って、子どもの気持ちをしっかり受け止めたうえで「でも、今は○○だから、○○しなくちゃいけないんだよ」と諭すのです。子どもは泣いたり怒ったりするでしょうが、このような注意を繰り返していくと、やがてお母さんの気持ちを理解して、自主的に、人の嫌がる行動をしないようになります。

改善が見られず、心配な場合は専門の相談窓口へ

以上のような対応をしても、子どもがお母さんの言葉にいっこうに耳を傾けず、行動に改善が見られないなら、専門家に一度相談してみることをおすすめします。大学病院の発達外来や自治体の保健センター、子育て支援センターなど見近な窓口へ行き、判断を仰ぎましょう。単純な育児の悩みと判明すれば、お母さんが安心できますし、新たな気持ちでお子さんと向き合うことができます。また、万一、発達障害と判明しても、その子の症状に沿った適切な対応や訓練を早期にしていくことで、来たるべき学校生活に向けて備えることができます。

発達障害と判断された場合、大事なことは、おうちの方がお子さんにレッテルを貼らないことです。発達障害の子どもは、周囲がその子の特徴を理解して、適切な対応をしていくことで、ものすごい能力を発揮することがあります。中には発達障害ならではのこだわりを活かして、社会に名を残すような人もいるくらいです。子どもの弱い面は手助けし、強い面を見つけて伸ばしてあげるのは、どんな子どもの親であっても変わらない重要な役目です。お子さんのことを信じて、寄り添ってあげてほしいですね。そして、それが子どもの生きる力となります。

 

回答していただいたのは…

 

田苗孝子先生  宝仙学園幼稚園元園長。1949年広島県生まれ。2007年から20193月まで園長を務める。41年間にわたり、保育現場でさまざまな家庭で育つ子どもとその親を見守り続けた、その深い見識には定評がある。豊かな経験を活かして、『幼稚園』(小学館刊)で育児相談コーナーを担当。子育て中のママたちに温かなメッセージを伝えてきた。

 

構成/山津京子 イラスト/手丸かのこ 『幼稚園』2016年8月号

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