子どもの感性を刺激できる場所に行ってみよう
芸術の秋を楽しむために最適な場所、子どもの感性を刺激する場所、それが美術館や博物館です。感性を育てるには、「外から与えられる刺激や情報を見たり聞いたりすること」、「その時自分の中に湧き上がる感情を受け止めること」この2つが大切です。
美術館にある絵を見て、仮にパパやママが「これは何を表しているのだろうか・・」と思う絵があったとしても、子どもが自分で「これは電車を描いている!」と思い、それを受け止められればそれでいいのです。感性が十分に刺激されていますね。
美術館や博物館のHPを調べると、幼児専用の日や解説員と一緒に見て回れる日を設けるなど工夫をされています。何よりも本物に触れることができ、自分たちでは用意できない数の素晴らしい絵画や展示に出会えるのも美術館・博物館の魅力の一つです。
美術館・博物館に行く前に「子どもに言ってはいけない言葉」
行きたい美術館・博物館が見つかったら、まずは子どもに出かけるところの説明をすると思います。その時に気を付けていただきたいことが一つあります。それは先入観を与えるような言葉を先に言わないことです。
これは私の失敗例なのですが、子どもに美術館を好きになってもらいたくて「今日はたくさんの素敵な絵があるところに行くよ。」「今日はとっても面白い展示があるところに行くよ。」と伝えてしまったのです。ところが、実際美術館に入った子どもはチラっと絵を見てどんどん先に行ってしまう。
最後に言われた言葉は『ママは素敵って言ってたけど、そうじゃなかった』『パパは面白いって言ったのに面白くなかった』と自分の感性に向き合うのではなく、パパ・ママの基準に対してどうか、という見方になってしまったのです。皆さんはそうならないよう、事実を伝えることをお勧めします。
例えば「今日はいろいろな方が描いた絵を見に行こうよ。〇〇ちゃんがどう思ったか聞かせて欲しいな。あとでママの思ったことも聞いてね。」というように、子どもが“どう感じてもいい”ということを前提に伝えると構えずに触れ合うことができるでしょう。
子どもにルールを教えるときは「なぜそうするのか」をしっかり伝える
美術館や博物館へ子どもと行くのはハードルが高いと感じる一つの理由に「走ってはいけない」「しゃべってはいけない」という約束事があることが挙げられます。ですが、これは美術館・博物館を利用するための大切なルールです。小さいうちから身に付けておきたいですね。伝え方として、これはダメ、あれはダメの伝え方ではなく、どうすればいいか、何故そうするのかを伝えるようにしましょう。
マナー①「美術館の中は走らない」の伝え方
と走ったらどうなるかを一緒に考えてみましょう。
マナー②「静かに鑑賞する」の伝え方
ヒソヒソ声がうまくできない子どももいます。一緒に練習してみましょう。パパ・ママが普通の声で話した時とヒソヒソ声の時の違いを実演してもいいですね。
自分で違いに気づくことができます。
マナー③「作品に触らない」の伝え方
「作品や、壁に触らない!」と強く言いそうになります。実際に触ってしまうと判断したときは「触らない!」と注意してもいいと思いますが、その前にどうして触ってはいけないのかを一緒に考えましょう。
というように、時間をかけて絵に関わる一人一人の気持ちを考えると自然と取るべき行動ができるでしょう。
大事なことは子どもが『だから、こうするのだ』と納得することです。
帰ってからも楽しむ
美術館・博物館からの帰りは、子どもが何を感じたのか聴く時間を是非沢山取ってあげてください。口で感想を伝えることで、子どもの頭の中に感じた出来事がより印象深く残ります。私が子どもと美術館に行ったとき、写真を撮っても良いと許可の出ている絵の前では自分のスマートフォンを渡し、子どもに写真を撮らせました。どんな風に撮るか、どこから撮るか、ただ絵を見るだけより真剣に絵に向き合っていました。終わった後も写真を見ながら絵について語り合うことができます。
他にも家で幼稚園や保育園から持ち帰った絵を美術館風に飾ってみる、思い出に残った絵を全員で描くというのもいいですね。
楽しい芸術の秋が過ごせますように。
文・構成/赤名麻由子
赤名 麻由子