クラス替えの目的
クラス替えのおもな目的は、人間関係の固定化によって子どもたちの成長が妨げられるのを防ぐことです。また、新しい人と関わり、関係性をつくりあげ、社会性を身につけることも目的として挙げられます。さらに、クラスの人間関係が居心地の悪いものであった人には、人間関係をリセットするタイミングでもあります。
生徒のクラス替えの決め方
クラス替えは、いつ、誰が決めるのでしょうか。ここでは、クラス替えの決め方を解説します。
いつ決めるの?
クラス替えを決めるのは、2~3月頃が一般的です。学年末の成績をつけるこの時期に、新しいクラス編成を検討することが多いのです。
誰が決めるの?
新しいクラス編成を決めるのは、その学年を担当している先生や、教科で関わっている先生が決めることがほとんどです。例えば、新5年生のクラス編成は、現4年生の担任の先生が決めています。
なぜ担任の先生が決めるのかというと、担任の先生は、約1年間子どもたちを見てきた経験を活かし、子どもたちの特性、子ども同士の仲の良さなどを知っているためです。
どうやって決めるの?
クラス編成を決めるのには、いくつかの要素があります。どのような要素によって分けられるのか見ていきましょう。
学力・成績・個別対応の割合
基本的には、どのクラスも学力・成績が同じくらいになるように生徒を分けることを最優先させます。また、運動会でクラスによって偏りがでないようにするために、運動能力、体格も基準の一つにします。
アレルギー対応や特別支援対応が偏らないように調整することも必要です。1つのクラスに個別対応を必要とする子が集まってしまうと、先生が対応しきれずに事故リスクが高まってしまうからです。
さらに、リーダー性を鑑みた上で、人間関係によって調整します。
一緒のクラスにできない事情がある子たちを離す
・いじめのトラブルがあった子ども
・保護者同士がトラブルになったことがある子ども
・一緒のクラスにすると問題行動を起こす可能性がある
などの事情がある場合は考慮します。
また、双子や兄弟は一般的には同じクラスではなく、別のクラスにします。これは、兄弟を比較せず、それぞれの個性を認められる場所を用意するためです。
一緒のクラスにしたほうがよいと判断することも
たとえば、いじめを受けた子や、体の弱い子などは、守ってくれて面倒を見てくれる、安心できる子を同じクラスにすることもあります。
各クラスのバランスを調整する
最後に各クラスのバランスを調整します。このとき次のことに考慮し、調整していきます。
・リーダーシップが取れる子
・ピアノが弾ける子(おもに高学年)
・運動ができる子
・交友関係
リーダーシップが取れる子が、均等にクラス分けされるようにします。これは、児童会活動等でクラスに偏りが出てしまうのを避けるためです。
ピアノが弾ける子は、合唱コンクールや学校行事での歌の練習がどのクラスも平等にできるように、各クラスに分けます。
運動ができる子は、運動会や体育祭などで勝敗が偏らないようにするためです。
交友関係では、トラブルを起こすほど仲が悪い場合や、反対に仲が良すぎる場合もクラスを別々にすることがあります。
1年生のクラス替えの決め方
1年生のクラス編成は、お子さんについての情報が少ないので、就学時健診などでおうちの方から伺った情報も加味して考えるケースが多いです。また、同じ保育園出身の子ばかりのクラスだと、他の子が過ごしにくいので、分散させることもあります。
幼稚園・保育園からの情報を参考にする
幼稚園・保育園から子どもの情報を提供してもらい、それをもとにクラス編成をします。提供してもらう情報には、
・児童の氏名・保護者名
・児童の生年月日
・児童の性別
・児童の学力
・児童の健康状態
・児童の問題行動の有無
・児童および保護者の家庭環境
・その他、配慮すべき事項
などがあります。
小学校の先生が幼稚園・保育園を見に行く
実際に、小学校の先生が幼稚園・保育園を見に行き、子どもの情報を得ることもあります。園での子どもの過ごし方を見ることで、クラス編成の参考にします。
誕生月・住んでいる地域の配慮
小学1年生では、誕生月によって体の発達や心の発育に大きな差があります。各クラスを平均的に、バランスよくするために、誕生月を配慮して暮らす編成を行います。
また、登下校の不安を減らすため、生徒が住んでいる地域も配慮します。
5月に改めて編成するケースも
学校によっては、4月のはじめは仮のクラス編成で様子をみて、5月のゴールデンウイーク明けにあらためてクラス編成をすることもあります。
担任の先生の決め方
担任の先生はどのように決めるのか、解説していきましょう。
いつ決めるの?
担任の先生を決める時期は、各クラスの児童・生徒の編成が決まった後です。クラス替えの決定は2、3月に行われますので、担任の先生を決めるのは3月末ごろとなります。学校によっては、卒業式、終業式が終わってから決める学校もあるようです。
どうやって決めるの?
学校によっても異なりますが、下記のような手順を踏んで決めることが多いようです。
【1】各先生に、来年度は何年何組を担当したいかアンケート調査を行います。
【2】校長先生、教頭先生、主幹教諭(校長先生、教頭先生の補佐役の先生)が会議を行い、学年主任の先生と、各担任の先生の配置の素案をつくります。
誰が決めるの?
校内人事の最終決定権を持つのは、校長先生です。よって、最終的には校長先生が担任の先生を決めます。全く希望していない学年を校長命令で任されることも多々あるようです。
クラス替えの決め方に保護者や児童からの要望は通る?
クラス替えで、「○○と違うクラスにしてほしい」「○○と同じクラスにしてほしい」といった要望はほとんどの場合通りません。
ただし、クラス替えが行われる前に、保護者から先生に相談することで、配慮してもらえる可能性もあります。たとえば、
「○○さんにいじめられ、いっしょのクラスになると不安なので別のクラスにしてほしい」
「○○さんの保護者ともめたことがあり、保護者会でトラブルになりそうなので違うクラスにしてほしい」
「持病があるが、○○君がサポートしてくれるので、一緒のクラスにしてもらえると安心して学校生活を送れる」
など学校側が納得できる事情がある場合だと、要望が通ることもあります。
学校生活を送る上で障害となるような事情や、担任の先生が把握していないような揉め事があるのなら、担任の先生や学年主任の先生、教頭先生などに相談してみるとよいでしょう。なお、相談は、直接会って話をするほか、電話でもかまいません。
ちなみに、「担任の先生を変えてほしい」「引き続き担任の先生になってほしい」という要望も、相応の理由と判断されることが必要で、簡単に通るものではありません。しかし、表面から見えにくいトラブルは、学校も把握できていないことがあります。後にトラブルになったり子どもたちが苦しい思いをしたりする可能性がある場合は、校長先生に相談することをおすすめします。
クラス替えは児童のバランスをみて決められている
クラス替えは、子どもにとっても親にとっても一大イベントです。学校側は、学力・成績や、子ども同士の相性・交友関係、運動能力などのバランスをみて、児童のクラスを決めています。
どのクラスになっても、新しいお友だちと新たな関係性をつくり、楽しい学校生活が送れるように親もしっかりサポートをしたいものです。
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文・構成/HugKum編集部