「いただきます」と「ごちそうさま」を心から言える子に!マナー講師が伝える「食事の挨拶」の本当の意味

子どもに「いただきます」と「ごちそうさま」の意味を伝えたことはありますか?まるで「ご飯を食べていいよ」の合図のように言葉だけを言ってしまっていませんか?子どもの食事がさらに豊かになるには、豪華な食材を使うことではなく、一回一回の食事に感謝の気持ちを持つことだと思います。今回は心を豊かにするために必要な食事の挨拶をどのように伝えたら良いかお伝え致します。

「いただきます」の意味を知ろう

食事のご挨拶と言えば、食べる前の「いただきます」食べ終わった後の「ごちそうさま(ごちそうさまでした)」ですね。

【いただきます】

動詞の「もらう」という言葉を丁寧に言うと「いただく」です。「いただきます」とは「もらいます」ということばを丁寧に言っていたのですね。では誰に何をもらったのでしょうか。

  • ①作る人が時間と愛情をかけて作って下さった料理をいただく(もらう)
    ②野菜、肉など全ての食材の命をいただく(もらう)③
    育てる、運ぶなど様々な方の手を渡って食卓へ届いた食材をいただく(もらう)

という意味があります。食べ物や、作って下さった方へ自分の謙虚な姿勢を示す言葉なのです。大切なのはこの3つの意味を子どもに伝えていくこと。

どんな気持ちで食事を作ったかを子どもに伝えてみよう

  • ①の作って下さった方への感謝の気持ちを伝えるにはママ、パパがどんな気持ちで今日のご飯を作ったか、を一言伝えてあげるといいですね。
  • 「今日は、〇〇ちゃんの大好きなハンバーグを美味しく食べて欲しいなと思って作ってみたの!ハンバーグを食べて元気いっぱいになってくれたら嬉しいな」「今日は野菜をいっぱい食べて欲しくて、沢山お野菜トントンしてみたんだ。何種類のお野菜が入っているか分かるかな?」
  • など伝えると「今日のお料理にはこんな気持ちが込められているのだな」と分かりますよね。
  • 外食をしたときには「これはお店の方が〇〇ちゃんに美味しく食べてもらいたくて一生懸命作ってくれたお料理だね」と、料理には作って下さった方の気持ちが込められていることを伝えてあげるといいと思います。

幼い子には「命」をいただくことを強調しすぎない!

②の食材の命をいただくことを伝えるには一点注意がありますそれはあまり幼い時期に「一生懸命生きていた豚さん、牛さんの命を食べているんだよ」と殺生を思わせる言い方をしないということです。

繊細なお子さん、動物好きのお子さんは、かわいそうで食べられない、という思いを持ってしまう子がいるからです。あくまでも栄養をいただいている、その栄養が身体を作り、元気を作ってくれている。ということを理解してもらうようにしましょう。私が使っているのはこのように色分けされた栄養素の表です。

食事の中に何色の栄養があるのかを一緒に見ます。例えば野菜炒めを前に、一緒に表を見て指さしながら「この野菜炒めにはお肉の赤い栄養と、野菜の緑色の栄養があるね!牛乳があるから青もある。ご飯で黄色もあるし、野菜炒め作るときに油を使ったからピンクもあるよ。色々な食べ物からパワーをもらって〇〇ちゃんの身体がもっと元気になるね。食べ物さんにありがとうだね。」と伝えました。

これは、子どもの通っていた園で、給食の時間に栄養素を色分けしていたことから取り入れた方法です。給食の時に先生方と一緒に色分けをしていたのでこの食材が力になるもの、この食材が骨を作ってくれるもの、と子どもも分かっていたので取り入れやすく、食材への感謝の気持ちも育てることができました。

「生産者」がいることを子どもに知識として教える

  • ③出てきた料理を見て、この料理が食卓に並ぶにはどんなお仕事をされた方々の力があったのかを考えられるといいですよね。例えば
  • おにぎり1つを見たとき。握ってくれた人だけでなく、お米を育てて、運んで、売り場で売って下さる方がいたから、今自分が食べることができていること。そのことを、毎食でなくてもいいので、会話にして感謝の気持ちを育てると良いと思います。生産者の方は、子どもたちが笑顔で食べている姿を想像して作って下さっています。その想いに応えるには、子どもの意識の中に生産者の方がいる、と言うことを知識として伝えてあげることが必要ですね。「きっとお米を作ってくれた人も喜んでいるよ」「この鮭、きっと苦労して捕ってくれたよね」と一言あるだけで「いただきます」の言葉に感謝の気持ちが加わると思いませんか?
  • 「ごちそうさま」の意味を考えよう

【ごちそうさま(ごちそうさまでした)

「ごちそうさま」の「ごちそう」=御馳走を表しています。
『食材を用意して、一生懸命調理して、このように素敵な御馳走でおもてなしして下さってありがとうございました』という意味を「ごちそうさまでした」と言葉にして伝えています。

一番理解しやすい方法は、自分が「ごちそうさま」と言われる立場になることです。一緒にお料理してみませんか。スーパーへ買い物に行き、お料理をして、大切な人に食べてもらう。という流れを一緒に行い、最後に相手から「ごちそうさま」と心を込めて言われたときの嬉しさ、充実感を一緒に味わってみましょう。

子どものなかに湧き上がる気持ちを整理するため「どんな気持ちになった?」「こんどからどんな気持ちで『ごちそうさま』を言う?」など確認してあげるといいですね。

さらに「美味しかったよ」「また食べたいな」のプラスの一言がある嬉しさも感じてもらうと良いと思います。きっとその嬉しさに気づいたら「ごちそうさま。ママ、今日のハンバーグとっても美味しかったよ。」とプラスの一言もスッと言えるようになるかもしれません。相手が嬉しいことに気づけることはとても大切ですよね。

心を込めたあいさつで、食事の時間がより楽しいものに

心を込めた「いただきます」「ごちそうさま」で、子どもたちの食卓がさらに豊かに、楽しいものとなりますように。

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文・構成/赤名麻由子

赤名 麻由子

シニアマナーOJTインストラクター|キッズマナーインストラクター
一般社団法人マナーOJTインストラクター協会所属。資格取得後、保育園やカルチャーセンターにて子どもたちにマナーを伝える活動を行っている。二児の母

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