目次
子どもが自分で時間管理をする必要性
まず、なぜ子どもが自分で時間管理をする必要があるのかを理解することが大切です。どのようなメリットがあり、将来に役立つのか見ていきましょう。
自主性を育てるきっかけになる
時間管理ができるようになることは、自ら行動するという自主性を育むきっかけになります。
現代の子どもは、学校だけでなく塾やさまざまな習い事などで時間に追われていることが珍しくありません。そのため、親が時間管理をして、「まだご飯を食べているの? 早くしなさい」「急いで支度しないと遅れるよ」と促している家庭も多いでしょう。
しかしいつまでもそのままでは、誰かに言われてからでないと行動できない人に成長してしまいます。そうならないために、自ら時間管理をして行動できるようにすることが大切なのです。
経験を積むことで将来に役立つ
時間管理の経験を積むことは、将来的にさまざまな場面で役立ちます。例えば、試験では複数の科目を勉強する必要があり、時間管理能力が求められます。
職場では、複数のタスクをこなさなければならないことも珍しくありません。計画的に行動して納期を守ることが求められるため、時間管理が特に重要です。時間管理ができる人は周囲の人から信頼されるようになり、よい人間関係を築けるというメリットもあります。
そのためにも、時間管理ができるようになれば毎日が充実すると実感できるように、周囲がサポートしましょう。例えば、試験で好成績をおさめるために教科ごと時間を決めて計画的に勉強し、それが済んだらゲームをしてよいことにするなど、達成したいことや楽しみにしていることと時間管理をつなげるのがおすすめです。
子どもに時間を意識させるには
いきなり子どもに時間管理をさせようとしても、なかなかうまくいかないでしょう。まずは、時間を意識させることから始めるとスムーズに実践に移行しやすくなります。最初のステップを紹介するので、試してみましょう。
会話に時間を取り入れる
時間は目に見えないため、子どもにとっては意識するのが難しいものです。子どもに時間を意識させるおすすめの方法は、日々の会話に時間を取り入れることです。
例えば、「6時になったら起きる時間だよ」「7時半になったら学校に行く時間だね」「3時だからピアノの練習の時間だよ」「8時になったらお風呂に入る時間だね」のように伝えます。
何度も耳にするうちに、徐々に時間を意識できるようになるでしょう。
アナログ時計で時間を可視化する
アナログ時計を使って時間を可視化することも、時間を意識することにつながります。
デジタル時計は見てすぐに時刻が分かるというメリットがある半面、時間の経過や残り時間がわかりにくいというデメリットも抱えています。アナログ時計の時刻がわかるようになるには針の見方を学ぶ必要がありますが、いずれ習うことなので早めに教えても問題ないでしょう。
実際のアナログ時計の横に、おもちゃの時計や画用紙で作った時計を貼り、時間を知らせるのもおすすめです。例えば、宿題を始める時間におもちゃの時計を合わせ、「時計の時間がおもちゃの時計と同じになったら、宿題をしようね」と伝え、子どもに時間を意識させましょう。
子どもが自分で時間管理できるようになる方法
次は、実際に子どもが時間管理できるようになるためのメソッドを紹介します。実践に役立つツールについても触れるので、日々の生活に取り入れてみましょう。
勉強や遊びの時間をはっきりと区切る
「ついダラダラ過ごしてしまった」という経験は、誰にでもあるものです。そうならないためには、勉強と遊びの時間をはっきりと区切ることが大切なポイントです。
時間の使い方にメリハリを付けることで、やる気や集中力が高まります。「今は勉強の時間」というように、あえて言葉に出すと意識しやすくなるでしょう。
また、「勉強が終わったらおやつにしようね」など、楽しみが待っていることを伝えることで、楽しく取り組めるようになります。やるべきことをやった後に楽しみがあることを伝えるのは、優先順位を学ぶことにもつながります。
時間制限におすすめのツール
近年は、スマホやタブレットを持っている子どもが多く「注意しないと、ずっとスマホやタブレットで遊んでいる」と悩んでいるパパママも少なくありません。
子どもがダラダラと遊んでしまわないためにおすすめなのが、スマホやタブレッドの時間管理や制限ができるアプリです。
そうしたアプリには、1日の総使用時間を設定できたり、時間の上限を超えるとロックされたりする機能が付いています。曜日ごとに制限時間を設定できるものや、特定のアプリのみ制限時間を設定できるものもあるため、用途に合うアプリを探してみましょう。
やることリストを作る
やらなければいけないことを書いた「やることリスト」を作るのもおすすめです。例えば、顔を洗う・朝ご飯を食べる・歯磨きをするなどです。宿題をする・ピアノの練習をする・塾に行くなど、年齢やライフスタイルに合わせて作りましょう。
リストにするとやることが可視化されるため、子どもだけでなく親もわかりやすいというメリットがあります。やり終えたら「やったことリスト」に移動させるようにすると、わかりやすいだけでなく達成感も味わえます。そのほか、時間割のような表を作るのもおすすめです。
リスト作成におすすめのツール
ホワイトボードに表を作り、やることを書いたマグネットを使って管理する方法があります。リビングやダイニングルームなど目につく場所に置くのがおすすめです。小さい子どもの場合は、マグネットにイラストを入れると楽しみながらタスクをこなせるでしょう。
手帳を使ってリストを作るのもおすすめです。大人のように手帳を使えることに楽しみを見いだす子どもも少なくありません。スケジュール管理ができる子ども用の手帳も販売されています。
また、スマホやタブレットで利用できるToDoリストやタスク管理機能があるアプリも便利です。
子どもに自分での時間管理を習慣化させるコツ
実際に子どもが自主的に時間管理できるようになるためには、習慣化させることが必要不可欠です。具体的にどうすれば習慣化できるのか、コツを紹介します。
時間の感覚を身に付ける
子どもたちが将来経験する試験や仕事では、時間配分が重要です。適切に時間配分をするためには、時間の感覚を身に付ける必要があります。
おすすめの方法は家事の手伝いです。例えば、夕食の支度をするときは、何にどれくらいの時間を要するか、どのような手順で進めるかなどを考える必要があります。そのため、時間配分や時間の感覚をつかむのに適しているのです。
「6時になったら夕食の時間だから、30分で夕食の支度をするよ」「あと5分で完成するから、お茶碗とお箸を出そうね」などと声を掛けることも、子どもに時間の経過を感じさせるのに役立ちます。
子どもに考えさせるのが大切
やることをリストアップするときは、すべて親が決めるのではなく、子どもと一緒に考えて決めることが大切です。自分で決めたことであれば、やらされていると感じず、率先してやりたくなることが多いでしょう。
実際に決めたスケジュールをこなしてみると、想像していたとおりに進まないこともあります。例えば、サッカーの練習の後に宿題をする予定だったけれど、疲れていて集中できないなどです。
そのような場合は、自分でスケジュールを見直し、どう変えればよいのか考えさせましょう。自ら考えて試行錯誤しながら進めることも、時間管理能力の習得に役立ちます。
できたことを一緒に喜ぶ
「早く宿題を終わらせなさい。毎日同じことを言われているよ」などと、つい子どもを叱ってしまう人もいるでしょう。しかし、時間管理能力は口で叱るだけでは身に付かないものです。
ツールやアプリを使うなど、さまざまな方法を試しながら子どもにとってベストな方法を見つけ出し、一緒に成長する気持ちで取り組むことが大切です。親は「できないこと」に目が行きがちですが、意識して「できたこと」に目を向けましょう。
子どもの自主性を養うには「自分でできた」という自信や自己肯定感を高めてあげることも重要です。宿題が終わっていなくても、自ら決めたピアノの練習ができていたのなら、「ピアノの練習をしたんだね。えらいね」とポジティブな言葉を掛けるようにしましょう。
子どもの自由な時間も確保する
時間を区切ってメリハリのある生活を送ることは大切ですが、それと同じくらい大切なのが、子どもが好きなことを気が済むまでできる時間です。
塾や習い事などで日々時間に追われている家庭では、子どもの自由な時間を毎日確保するのは難しい場合もあるでしょう。そういうときには、土曜日の午前中は好きなことを思う存分楽しむ時間にするなどでも構いません。
好きなことをする時間は、満足感が得られるだけでなく集中力も養われます。好きなことや興味のあることを突き詰めることで才能が開花し、将来の仕事につながることもあるでしょう。
時間管理アプリを選ぶポイント
子どもに時間管理を身に付けさせるには、便利な時間管理アプリを活用するのがおすすめです。
数ある時間管理アプリの中から満足度の高いものを選ぶには、どのような点に注意したらよいのでしょうか? アプリを選ぶ際の大切なポイントを二つ紹介します。
リマインダーやタスク機能があるものを選ぶ
「リマインダー機能」付きの時間管理アプリであれば、アラームで予定を知らせてくれるので、うっかり忘れてしまうのを防げます。スマホやタブレットで遊んでいると、つい夢中になってやるべきことが後回しになってしまう子どもにおすすめです。
「タスク」や「ToDoリスト」が付いているアプリはやることを可視化できるため、細かく管理できるのがメリットです。学校・塾の宿題・習い事など、日々やることがたくさんある子どもの時間管理をサポートしてくれます。
有害サイトのブロック機能もチェック
近年は誰でも簡単に動画サイトを視聴できるため、スマホやタブレットで動画を見ている子どもも少なくありません。ただ、手軽であるために、意図せず有害サイトへアクセスしてしまうこともあるでしょう。
安全だと思っていても、動画を視聴している最中に有害サイトへのリンクや広告が表示されることもあります。有害サイトのブロック機能が付いているアプリであれば、万が一誤ってクリックしてしまったときでも安心です。
スマホやタブレットによっては、不適切なコンテンツをブロックする機能が付いている場合があるので、確認してみましょう。
子どもにおすすめの時間管理アプリ5選
子どもの時間管理をサポートするのにおすすめのアプリを紹介します。それぞれの特徴を比較して、用途に合うものや使いやすいものを選びましょう。
やることカード
「やることカード」は、絵カードを並べるだけでやることリストを簡単に作れるアプリです。絵カードは100種類用意されており、音声読み上げ機能も付いています。複数の言語に対応しているので、外国語の勉強に役立つ点もおすすめポイントです。
やり終えたら、絵カードの横にある星のアイコンをタップします。星の数によってさまざまなかわいい魚を集められる仕組みになっており、楽しみながらやることに取り組める工夫がされています。
Dodo(ドードー)
「Dodo(ドードー)」は、家族で子どものタスク管理を共有したい人におすすめのアプリです。登録してあるタスクを子どもが完了させると、親に完了通知が届きます。親が1日の頑張りを評価する機能も付いており、スタンプやメッセージも送れるので、子どものやる気アップにつながります。
タスクが一目で分かるシンプルなデザインで、子どもでも使いやすいのがメリットです。家族だけのチャット機能も付いており、安心してメッセージのやりとりができます。
・アプリ名:Dodo(ドードー)
・価格:無料
・App Store:ダウンロード
・Google Play:ダウンロード
時間管理アプリFamiSafe
スマホやタブレットのスクリーンタイムを管理できるだけでなく、リモートでスクリーンタイムの設定もできるアプリです。例えば、学校にいるときや就寝時間にデバイスを使用できないように設定できます。
また、一時的にデバイス内のアプリやSNS、ゲームなどをブロックすることもでき、宿題が終わったら使えるようにするといったコントロールが可能です。そのほかにも、不適切なサイトをブロックする機能や、子どものリアルタイムの位置確認ができる機能も付いています。
・アプリ名:時間管理アプリFamiSafe
・価格:無料(アプリ内課金あり)
・App Store:ダウンロード
・Google Play:ダウンロード
Timetree
「Timetree」は、親子や家族全体で共有できるカレンダーを探している人におすすめのアプリです。家族の誰かが予定を作成したり変更したりすると、共有の相手に通知が届くため、予定を確認する手間が省けます。ToDoリストやメモ機能の共有も可能です。
作成した予定ごとにチャットできる機能も付いており、どの予定のことなのかわざわざ伝えなくても、簡単にやりとりができます。また、チャット時に他の予定と勘違いしてしまうといったトラブルも起こりにくいでしょう。
・アプリ名:Timetree
・価格:無料(アプリ内課金あり)
・App Store:ダウンロード
・Google Play:ダウンロード
Googleファミリーリンク
「Googleファミリーリンク」は、デバイスの利用時間を細かく設定することができ、子どものデバイスの使いすぎを防げるアプリです。デバイスを使用しない時間には、リモートでロックすることも可能です。
子どもがどのアプリをどのくらい利用しているのかという、利用状況も確認できます。アプリをダウンロードしようとすると親に通知が行く機能も備わっており、親のほうで許可したりブロックしたりできます。また、子どもの位置情報を確認できる機能が付いているのもおすすめポイントです。
・アプリ名:Googleファミリーリンク
・価格:無料
・App Store:ダウンロード
・Google Play:ダウンロード
子どもに時間管理を促す際の注意点
子どもに時間管理を促すときには、注意点を意識しながら見守ることが大切です。どのような点に気を付けたらよいのか紹介しますので、ポイントをしっかり押さえておきましょう。
口出しをしすぎない
年齢に応じたサポートは必要ですが、子どものやり方に口出ししすぎないようにしましょう。心配するあまり、つい口を出してしまいがちですが、あくまでも時間管理の主体は子どもです。
例えば、時間を気にせずモタモタして宿題をこなせなかったとしても、それは子どもの問題です。「宿題を提出できなくて困るのはあなただから、一緒に頑張ろう」と励ますスタンスを保ちましょう。
子どものペースに合わせる
時間管理は、意識したからといってすぐにできるようになるわけではありません。また、必ずしも便利なツールやアプリを使えばできるというわけでもないことも理解しましょう。
個人差もあるため、それぞれのペースに合わせて気長に取り組むことが大切です。まずは、無理のない範囲で一緒に試行錯誤しながら楽しく取り組み、一つでもできたら「よくできたね」と褒めて、喜びを分かち合うようにしましょう。
徐々に慣れてきたら、一人でもできるようにサポートの仕方を少しずつ変えていくと、自主性を育てられます。時間管理は経験を積んで段々とできるようになっていくものなので、焦らずに成長を見守ることが大切です。
子どもの時間管理能力を養おう
子どもが自分で時間管理をできるように促すことは、自主性を育てるきっかけにもなります。まずは、時間を会話に取り入れたり、アナログ時計を使ったりして、時間を意識させることから始めましょう。
時間を意識することに慣れてきたら次は、家事の手伝いややることリスト作成などで、何にどのくらいの時間を要するのかという時間の感覚や、時間配分のやり方を身に付けられるよう促していきます。その際、時間管理ができるツールやアプリをうまく使って、無理なく時間管理能力を身に付けられるようにサポートしましょう。
あなたにはこちらもおすすめ
文・構成/HugKum編集部