自転車の赤切符も!厳罰化される自転車運転のトラブル回避にもつながる『自転車保険』の義務化について解説

日没が早くなる11月〜12月は、子どもの交通事故が多くなる時期。学年が上がると増えてくる小学生の自転車事故についても注意が必要です。

今回は、義務化されている地域も増えている『自転車保険』について解説します。

まだ自転車保険に入っていないという方は、どのような点に気をつけて選べば良いのか、これを機にチェックしてみましょう。

日没が早くなる秋冬は子どもの交通事故に要注意!

秋も深まり、夕方になるとあっという間にあたりが暗くなるようになりました。それに伴い子どもの交通事故も増えているようです。

11月、12月は事故の多い時期

政府が発表している子どもの交通事故データ(※)によると、11月、12月は6月に次いで1年の中で2番目に事故が多い時期。低学年の歩行事故が最も多く、注意が促されていますが、学年が上がるにつれて自転車の事故も増えているといいます。学校帰りや、友達と遊んだ帰りなどの夕暮れ時は特に注意が必要です。

また、危険な運転による自転車事故などを防ごうと、警視庁は10月31日より、これまでは大半を警告で済ませてきた「車道の右側通行」や「徐行せずに歩道通行」といった4つの違反に関して、悪質なケースは道交法違反容疑での書類送検や罰金など刑事処分の対象となる「赤切符」を交付する対応を取る運用もスタートさせました。

自転車の運転をする際の一層の注意と交通ルール確認を、家庭で話し合う必要があるのではないでしょうか。

 

(※)参考:政府広報オンライン|小学校1年生の歩行中の死者・重傷者は6年生の約3.7倍!新1年生を交通事故から守るには?

自転車と歩行者の事故も増加傾向に。

また、別の自転車事故におけるデータによると、全交通事故のうち約2割が自転車事故。その8割が車との接触事故ではありますが、ここ数年、自転車と歩行者との接触事故も増加傾向にあるのだとか。
自転車側のルール違反が原因の事故も多く、自転車に乗る機会が多い私たち親にとっても、他人事と思えません。自転車に乗って一人で出かける機会も多い小学生の子どもたちにも、改めて交通ルールなどを徹底させる必要がありそうです。

(※)参考:政府広報オンライン|知ってる? 守ってる? 自転車利用の交通ルール

子どもが事故の加害者になってしまったらどうなる?高額な賠償金支払いの実例も

小学生になると、一人で自転車に乗って出かける機会も増えてきます。子どもが自転車走行中に歩行者とぶつかってしまった場合は、どうなるのでしょうか? 実際にあった事故の実例を見てみましょう。

11歳小学生が自転車走行中に高齢者とぶつかり、意識不明の重傷に

11歳の男子小学生が、夜間、帰宅途中にマウンテンバイクで坂道を20~30キロで爆走し、散歩中の女性(62歳)と正面衝突。意識不明の重傷を負わせた。

→事故の原因が自転車の安全走行に対する児童への十分な指導をしていなかった保護者にあるとして、保護者に9,521万円の損害賠償を命じた。

参考:自転車関連事故に関する高額賠償事例|岡山県交通安全協会ホームページ

自転車保険のおかげで正当な支払いで済んだ…という事例も

自転車に乗って帰宅中の8歳の小学生が、うっかり一時停止を無視して左折。左側から来た車と軽くぶつかってしまったことで、車の運転手より修理と代車の費用として50万円以上を請求された。

→自転車保険に加入していたため、保険会社が間に入り裁判。
和解金数万円を支払う形で結審した。

(40代女性)

自転車側のルール違反が原因で起きた事故の場合、運転しているのが小学生であろうと、相手に怪我をさせてしまったり、物を壊してしまったりしたら、刑事上の責任が問われる上に、高額な賠償金を請求されます。

1つ目の実例のような大事故は滅多に起きないとはいえ、可能性がないとは言い切れません。また、2つ目の実例のような、自分の子どもが他者のものを傷つけてしまったという事例は、比較的身近でも多いケースなのだとか。

いつどこで起こるかわからない交通事故。被害に遭うことも心配ですが、子どもが加害者になることもあるのだということを、私たち親は今一度、知っておく必要がありますね。

万が一に備えて安心!『自転車保険』の選び方

先の実例のように、事故などで高額な賠償金を支払わなくてはいけないときに補償してくれるのが『自転車保険』です。

また、2つ目の実例のように、事故自体はそこまで大きなものではなくても、保険に入っていたことで、不当な金額を支払わずに済んだということもあるので、まだ入っていないという方は、加入を検討してみてはいかがでしょうか? 選び方について解説します。

自転車保険の加入を義務化している自治体が増えている

最近では、自転車に乗る人に対して、自転車保険の加入を義務付けている自治体が増えてきています。国土交通省によると、令和4年4月時点で、自転車保険の加入を義務付けている都道府県は全部で30都道府県。”努力義務”としているのが9都道府県でした。(※)

どの都道府県も、今のところは守らなくても罰則はありません。しかし、自転車事故の件数や、事故による高額な賠償金請求の事例が増えてきているので、どこに住んでいたとしても、自転車保険への加入はしておくことをおすすめします。

(※)参考:国土交通省|自転車損害賠償責任保険等への加入促進について

自転車保険の選び方1:すでに入っている保険をチェック

『自転車保険』の加入が推進されていますが、必ずしも「自転車保険」という名前の保険があるというわけではありません。事故などを自身が起こしてしまった際に、相手への損害賠償が補償される『個人賠償責任補償保険』に入れば良いとされています。

『個人賠償責任補償保険』は、自動車保険や火災保険、クレジットカードの特約などに含まれていることが多く、自転車事故に対する補償をカバーできていることがあります。新たに保険に加入しなくても良いならばそれに越したことはありませんね。

自転車保険の選び方2:個人賠償責任補償の額をチェック

次にチェックしたいのが、個人賠償責任補償保険の補償額。
これまでの自転車事故による賠償金事例では、高額なもので9千万円代の金額が請求されているので、補償額は最低でも1億円以上が設定されている保険を選んでおくと安心です。

すでに入っている保険に付帯されている個人賠償責任補償保険の補償額が少ない場合は、別途加入を検討してもよいかもしれませんね。

自転車保険の選び方3:自身の怪我に対応しているか

個人賠償責任補償保険だけでは、事故があった際、自身の怪我や死亡には補償されません。それに加え、事故による自身の怪我や死亡・後遺障害状態などに備える傷害補償がついているものを選んでおくと、より安心です。怪我による治療や入院費についても補償されるのが一般的。死亡した場合の補償額が高ければ高いほど、月々の支払いも高額になる商品が多いので、自身に合ったプランを選ぶと良いでしょう。

自転車保険の選び方4:家族全員が補償されていたり、示談交渉サービスがついているとより安心

自転車に乗る家族が一人一人別の保険に入らなくても、家族全員に対して補償してくれる保険商品もあり、そのほうが保険料の負担を抑えられるケースもあります。その場合、”家族”というのがどこまで対象範囲なのか「被保険者(補償の対象となる人)の範囲」もチェックしておきましょう。

また、賠償請求をされたときに保険会社が自身の代わりに交渉してくれる「示談交渉サービス」がついている保険もあります。

保険の二重加入には注意を

自転車保険に必要な「個人賠償責任補償保険」はさまざまな保険の特約に含まれていることが多いので、二重に保険に加入してしまっていることも少なくありません。重複して加入していることで、何か不利なことがあるというわけではないですが、保険に二重に加入していれば、事故を起こしてしまったときに、補償額が2倍になるというわけではありません。

いくつ保険に加入していても、請求された補償額以上を受け取ることはできませんので、月々支払う保険料が無駄にならないためにも、重複して加入していないかチェックしておくと良いでしょう。

子どものためにも家族のためにも『自転車保険』に入っておくと安心

子どもによる自転車事故は、他の世代と比べると、多く発生しています。事故が起こらないように、今一度交通ルールを見直し、日頃から自転車の運転における注意点などを子どもと一緒にチェックすることがとても大切です。

ですが、まだまだ走行が不安定だったり、走行中の判断などが未熟な子どもが、万が一他人を巻き込む事故を引き起こしてしまったときのために、自転車保険への加入はしておいた方が良いといえます。

まだ加入していなかった!という方は、これを機に、自身が加入している保険の補償内容をチェックしてみてはいかがでしょうか?

 

文・構成/タケトミヒトミ

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