虫刺されやあせもなど、肌トラブルの絶えない夏。小さなかき傷をきっかけに、子どもたちの間で流行しやすいのがとびひ(伝染性膿痂疹)です。かゆみのある水疱ができ、つぶれると広がっていきます。正しい対策や予防法を知って、きれいな肌を守ってあげましょう!
step1 子供の「とびひ」おもな症状と原因
かきこわした傷口などに原因となる菌が感染
かきこわしたあせもや虫さされ、小さな傷口などに黄色ブドウ球菌や連鎖球菌が感染することによって起こります。かゆみのある水疱(水ぶくれ)ができて膿がたまったり、肌が赤くなってかさぶたのようにかたくなったりします。感染力が強く、水疱の中身や浸出液が肌につくことで、広がったり人にうつったりします。抗菌薬による治療が必要なので、症状に気づいたらすぐに小児科を受診します。
step2 子供の「とびひ」治療の基本
抗菌薬による治療&肌を清潔に保つこと!
病院では、症状に応じて抗菌作用のある塗り薬や飲み薬が処方されます。薬は医師の指示に従って正しく使い、特に飲み薬は、症状が軽くなったからと自己判断でやめないことが大切です。肌を清潔に保つため、入浴時はよく泡立てた石けんで患部を丁寧に洗い、シャワーですすぎます。水を介してうつることはありませんが、浴槽につかる場合は、家族の最後に。タオルや寝具の共用も避けましょう。
step3 子供の「とびひ」予防のためにできること
肌のかきこわしを防ぎ、鼻をいじる癖に注意!
原因となる黄色ブドウ球菌は、健康な肌にすむ菌(常在菌)の一種です。特に鼻の穴の入り口に多いので、鼻をいじる癖がある子は要注意。また、菌は傷口から侵入するので、肌を傷つけないよう、普段から爪は短く切っておきましょう。患部を完全に覆っていれば、原則として登園は可能です(*)。肌のバリア機能が低下していると感染・悪化しやしすいので、アトピー性皮膚炎や乾燥肌の子は、保湿ケアも大切です。
*独自の登園基準が設けられていることもある。
とびひかな? と思ったら
①気づいたらすぐに病院へ
かきむしったり、人にうつしたりするのを防ぐため、患部を覆ってから病院へ。
②抗菌薬による治療が基本
塗り薬や飲み薬が処方されるので、医師の指示に従って使う。肌を清潔に保つことも大切。入浴時は、患部も石けんで洗い、シャワーで十分にすすぐ。
③患部を覆えば登園OK
ほかの子への感染予防のため、患部をガーゼなどで完全に覆う。傷口を密封するタイプの絆創膏などは避けたほうがよい。
監修/澁谷紀子先生
総合母子保健センター 愛育クリニック 小児科・母子保健科部長
小児科専門医、アレルギー専門医。東京大学医学部卒業。東大病院、山王病院、NTT東日本関東病院小児科などを経て現職。4人の女の子の母でもある。
出典/『新 幼児と保育』 文/野口久美子 再構成/HugKum編集部