「好き嫌いが多い子ども」の親がとるべき行動は?ジュニアアスリートの娘をもつ料理家・tottoさんの実践方法

「この野菜だけ食べられない」「どちらかというと肉が好きで、魚は苦手」など、我が子の好き嫌いに悩んでいるママやパパは多いですよね。好き嫌いを見つけると「なんとかして食べさせたい!」にフォーカスしてしまいがち。でも、好き嫌いよりも気にしてほしい大事なことがある、と料理家で食育アドバイザーでもあるtottoさんこと黄川田としえさんは言います。大事にしてほしいこととは?詳しく伺いました。

離乳食から2歳くらいまでの間は、とにかくいろんな味や食感の経験をさせてあげたいと思っていて、自分が子育てしていた中でも、特に努力していた時期のような気がします。

2歳くらいから自己主張が始まり、今まで好んでいたものを食べなくなって、4歳くらいには好き嫌いのピークという感じ。それが小学生になると、「好きな食べ物」「苦手な食べ物」として定着します。昨日まで食べていたのに、急に食べなくなる、なんてこともありますが、大体は小さい頃からの積み重ねかなぁと個人的には思います。

でも、子どもが食べているところを観察していると、「魚より肉派だけど、甘く煮れば魚も食べる」「柔らかい大根は苦手だけど、サラダでシャキシャキにすれば食べる」みたいな、その子の好みが見えてくると思うんです。だから、私はよく子ども達が食べているところを観察していました。

子どもの好き嫌いに対して、私は以下のように思っています。

  • 食べられないなら栄養素が同じ違うもので代用

ピーマンがダメならブロッコリーでOK

苦手な食材があったり、「こっちよりこっちが好き」という好みってあると思うんですよね。

子どもの舌は特に敏感なので、苦味を強く感じたり、ベチャッとした食感が嫌だったりもします。だから、もし、食べられない野菜があったとしたら、同じ栄養素で食べやすいものを食べたらいいと思うんです。

β-カロテン

しそ、モロヘイヤ、にんじん、ほうれん草、かぼちゃ

ビタミンB1

グリーンピース、枝豆、にんにく、ブロッコリー、スイートコーン

ビタミンC

ピーマン、ブロッコリー、芽キャベツ、カリフラワー

カルシウム

水菜、小松菜、白菜、春菊

上記は一部で、それぞれ含有量にも差はありますが、食べられないからって、この栄養素は摂れないというわけではありません。好き嫌いに対して、無理強いすることが一番良くないと思うので、お子さんの好みに合わせて、取り入れてあげるようにしてくださいね。

  • 食べる時のシチュエーションを変えてみる!

お弁当箱に入れたり、つまみ食いさせたり。「いつもと違う」が案外効果あり!

給食だと食べているのに、家だと食べない。こんなパターンもよく聞きますよね。みんなで食べるとおいしく感じたり、食べる時のシチュエーションって意外と大事!

  • 苦手なものをつまみ食いで食べさせてみる
  • ベランダでごはんを食べてみる
  • お弁当箱につめて食卓に出してみる
  • 苦手な食材を使って一緒に料理をする

こんな風にちょっとシチュエーションを変えるだけで、いつもは食べないものを食べたり、それがきっかけで苦手を克服するかもしれません。

  • 身近にいる人の好みに流されているのかも?

野菜嫌いな子ども。ママ・パパはモリモリ食べている?

いつも料理をしているママやパパ、一緒に住んでいるおばあちゃんやおじいちゃん。普段身近にいる人の食の好みが影響していることもよくあります。

例えば、子どもが野菜全般が苦手な時。家族は野菜が好きでたくさん食べているでしょうか?実は、ママも揚げ物ばかりを好んで食べているとか。

子どもの好き嫌いを観察していると、実は自分や他の家族の好みやクセが影響していることも見えてきます。こうやって家族の食のことを俯瞰から見て考えられるのも子育ての醍醐味ですよね。

  • 食事の場を「叱る場」にしてはいけない

叱りながらの食事はNG。

小学校高学年くらいになると、習い事や塾の時間帯も遅くなり、ゆっくり話すのは食事の場になりますよね。だから、そこが「叱る場」にもなってしまいがち……。

叱られながら食事をすると、体が委縮して、消化機能がうまく働かなくなるんです。逆を言うと、楽しく食事をすると、消化吸収もスムーズ。つい叱りたくなることはありますが、せっかく頑張って作った料理、どうせだったらちゃんと消化吸収して欲しいですよね。私もそう思って、言いたいことをグッとこらえることも多々()

  • 子どもが元気なら多少の好き嫌いはOK

食のバランスが崩れると、子どもの元気がなくなる

子どもが好き嫌いをすると、つい気になって細かく刻んでハンバーグに入れたり、野菜ジュースを飲ませたりすることもあると思います。もちろん、それはそれで悪いことではないのですが、おいしい!楽しい!と感じるほうが吸収率もアップします。

一番大事なのは「子どもが元気かどうか」。好き嫌いはあるけど、毎日元気に楽しく学校に行っているなら問題ないと思います。でも、なんとなく元気や覇気がない。風邪でもないのに、よくお腹が痛いと言うなど、不調が見られたら、食事を見直すサインかもしれません。そんな時はいつもより子どもの食事を観察して、対策をしてあげてくださいね。

あと、現代は便秘の子どもが多いとも言われています。毎日排便していても、隠れ便秘の子もいるんだとか。小学生くらいになるといつトイレに行っているかも気づかないことがありますよね。なので、1日の終わりに「今日はうんち出た?」と声をかけてあげるのも◎。子どもの不調に気づいてあげることができます。

 好き嫌いキッズにおすすめ「炊き込みご飯」レシピ

にんじんをたっぷり!和風に仕上げた炊き込みご飯は、すりおろしにんじんとすりごま、鰹節、調味料を一緒に炊き込む香り豊かなご飯です。すりおろしたにんじんは火を通すことで甘さが増し、子どもが食べやすい炊き込みご飯にすることで苦手も克服! 冷めてもおいしいのでおにぎりにしたりお弁当に入れてもおすすめ。色がにんじんのオレンジ色なので、目で見て食べられた!という意識も湧きます。

おにぎりにしておやつや朝食に♩

人参と胡麻の炊き込みご飯

  • 材料(作りやすい分量)

  • 人参 1本 (120g)
  • 米 2合
  • 鰹節 3g
  • すりごま 大さじ2
  • 酒 小さじ1
  • 塩 小さじ1/3
  • 醤油 小さじ2
  • サラダ油 大さじ1
  • 作り方

  1. 人参はすりおろす。
  2. 米は研いでから炊飯器の内釜に入れて2合分の水分(約430ml)を入れ30分ほど浸水させる。
  3. 鰹節、すりごま、酒、塩、醤油、サラダ油を加えて軽く一混ぜし、すりおろした人参を乗せて炊く。
  • 子どもの好き嫌いは「食べられない」だけじゃないのかも!

tottoさんのお話にもあったように、食べられるけど家では食べない。シチュエーションを変えれば食べるなど、さほど気にしなくてもいいパターンもあります。食事を作っているママやパパの食生活や、家族の食の環境を見直すことが好き嫌いの改善につながるかもしれません。栄養素をしっかり消化吸収するために、楽しい食卓を心がけたいですね。

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テレビや雑誌、各メディアへのレシピ考案やコラム執筆など、さまざまなシーンで活躍。小学1・3・5年の1男2女のママでもあり、食育インス...

記事監修

料理家・フードスタイリスト・食育インストラクター
黄川田としえ

元プロサッカー選手の夫、大学生の息子、ジュニアアスリートとしてテニスをする高校生の娘の母でもあり、アスリートフードに関する資格を習得。子どもの料理教室や、子どもの心と体の成長をサポートするワークショップ、企業とコラボしたレッスンを不定期で開催する「tottorante」を主宰。  著書は「ホットプレートひとつでごちそうごはんができちゃった100」 (主婦の友社)など。 テレビや雑誌、広告など、幅広いジャンルで活躍している。

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取材/本間綾

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