キャリア迷子って?
はじめまして。キャリアコンサルタントの相坂サオリです。
私自身も数年前まで会社員で、ちょうど30歳前後でキャリアの過渡期を経て、2年前に起業して今に至ります。
キャリア迷子とは
「キャリア迷子」とは、自分が仕事で何がしたいのか、何を実現したいのかが分からくなり、自分のキャリアの方向性を見失った状態と私は定義しています。
私の場合
結婚してからなかなか子供ができないという現実を突きつけられた時が、まさに“キャリア迷子”そのものでした。
子供ができにくいという事実も素直に受け止められない中で、
「このまま忙しい働き方を継続するのか、いやいや継続した先に子供が来る保障なんてない」
「働きやすさ重視で今までのキャリアアップを諦めるか、いやいや今までのキャリアの頑張りが水の泡じゃん……」
みたいに、思考が行ったり来たりグルグルしていました。
結局、不妊治療もちゃんとやりたい、でもキャリアも諦めたくないという自分なりの答えを出し、そうするとやはり治療をしながらフルタイムで働くことは現実的ではなく、フリーランスという道を選びました。
特に、女性は男性と比較して、キャリアを決めるうえで未確定要素が多く、先が読みづらいです。結婚、出産、不妊治療、パートナーの転勤、介護など、外的要因でキャリアを左右されることもあります。
そんな読めない状況の中で、自分の人生で本当に大切にしたいことが分からなくなり、自分のキャリアの方向性を見失ってしまう方も多いのではないでしょうか。
ワーママが“キャリア迷子”になりやすい原因
では、なぜワーママは“キャリア迷子”に陥りやすいのでしょうか。
ワーママのキャリアの悩みは主にこの5つ
私のところに、寄せられるワーママの主なキャリアの悩みを紹介します。
① 会社の“配慮”で、楽な仕事や部署に異動になり、やりがいを感じられない
今までバリバリ働いてきた方が、いわゆるマミトラ部署に異動。会社は子育てとの両立を慮っての部署異動でも、本人は会社から期待されていないと感じ、やりがいもなく辛いと感じる方が多いです。
【「マミートラック(マミトラ)」とは】
産休・育休復帰後、女性社員が比較的軽い業務や補佐的な業務の担当となり、出世コースから外れてしまう状況を言います。一度マミートラックになるとなかなか出世コースに戻れないことが多いようです。働く時間や業務的には家庭との両立はしやすい半面、本人のやる気が削がれ、モチベーション低下や退職などを引き起こします。
② 育休復帰後も、第一線で働いているので、両立困難な仕事量になっている
逆に、出産前と同じ部署、同じ仕事量で働く場合も、当然歪みが出てしまいます。
今までは残業でカバーできていたところを定時に上がって保育園のお迎えに行かないといけないので、仕事量は変わらないのに時間内に仕上げて帰ることに相当なプレッシャーを毎日感じ、こっそり深夜残業をして身体を酷使してしまうケースです。
③ 同期や後輩の出世でキャリアアップに焦り、自身のキャリアの停滞を感じる
自分と同じくらいの能力・スキルと思われた男性もしくは独身女性の同僚や後輩が、自分が産休育休などを挟んでいる間にあっさり昇格。
短い時間で成果を出しても、同じ能力・アウトプットならより長時間働ける社員が出世の優遇をされている会社がまだ多いのではないでしょうか。
自分はキャリアアップをしたいと思っていても、なかなか評価されないような気がしてしまいます。
④ 子供の体調不良による急なお迎えや休みで同僚に気を使ってメンタルがすり減る
チームで仕事をしたり、担当を持つような仕事だと、子供の急な体調不良で、保育園から呼び出しがある度に、同僚・関係者に謝って調整をして……ということがすでにメンタルがすり減ります。
特に、コロナ禍で保育園の休園が相次ぎ、困った方も多いはず。
⑤ 子供の可愛い成長を見るよりも大事な仕事なのか、葛藤してしまう
朝から晩まで働いて日々忙しいので、可愛いわが子と接する時間も少なく、仕事と子育ての両立がなかなか上手く行かず、子供にもイライラしてしまう。
また、時短で働く場合は、保育料がかかるにも関わらず給料も減るので、何のために働いているか分からなくなってしまう方もいるのではないでしょうか。
ワーママが自由にキャリアを描きづらいという社会課題
社会背景からも、仕事と子育ての両立が難しいと感じていても、キャリアを手放してはいけないと感じる方が多く、心身の無理をして働いている方もいるかと思います。
現在の日本の雇用環境で、一度キャリアを手放しブランクができると……。
・年齢が上がってしまうため、転職・再就職がしづらくなる
・元のキャリアには戻れず、パートなどで働かざるを得なくなる
などの雇用環境の風潮がまだ根強く残っているので、本当はしばらく子育てに専念してからまたバリバリ働きたいと思っていても、現実は厳しく、結局現状維持でがんじがらめになっている方も多いです。
また、男性の育児参加や育休取得などを促す動きも出てきていますが、まだまだワンオペ育児をしている女性も多く、仕事と子育てに手一杯で自由にキャリアを描く余裕がなく、キャリアを描く上でパートナーよりも自分が我慢をしなくてはと思っている方もいます。
上の世代の女性活躍のモデルは“マッチョ”すぎる
そして、もう一つの理由。
なかなかワーママが自分らしいキャリアを描けない原因があります。
それは、少し上の世代の女性活躍の文脈でメディアやイベントで登場される女性管理職の方や役員の方が、“完璧”すぎるからです。
よくある話が、現在管理職として活躍されている女性が、出世も子育ても諦めず頑張った方法として、子供が寝てからの深夜残業は当たり前、早朝に起きて子供のお弁当作り、睡眠時間4時間…みたいないわゆる、体力勝負で非常に“マッチョ”なのです。
もう一つのパターンが、よくよく話を聞いていくと、近所に両親が住んでいて手厚いサポートを受けて、仕事を要領よくこなしていたりします。
筆者は、残念ながら両親遠方の地方出身組夫婦なので、両親の手厚いサポートの話が出るとすっと心のシャッターをおろしてしまいます。
つまり、上の世代の成功事例が、体力マッチョであるか、両親の手厚いサポートありきの条件付きでの成功に見えてしまうのです。
ワーママの悩みは社会問題
出産しても働き続ける女性が増えた昨今ですが、子育てしながら働くための制度が整ってきたとはいえ、まだまだワーママの悩みは多く、社会や企業の課題も多いのではないでしょうか。
条件が揃わなくても、普通の会社員が仕事も子育ても無理せず、充実した事例が知りたいだけなのに、今はまだなかなかモデルが出てきません。
ロールモデルを参考にしながら等身大のキャリアを描くのは難しいのが現状です。
では、解決方法はあるのでしょうか?
次回は、「ワーママになってからキャリアを描く3つのコツ」について、ご紹介します。
解決につながる参考になれば嬉しいです。
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