「マミートラック」の実例も紹介!ワーキングマザーになってからキャリアを描く3つのコツ

前回の記事では、ワーママが"キャリア迷子”に陥りやすい原因や、ワーママが抱えるリアルな悩みをご紹介させて頂きました。

今回は、ワーママの多くが抱える悩みの一つである「マミートラック問題」に関して取り上げたいと思います。

前編はこちら↓

ワーママが陥りやすい悩み「キャリア迷子」とは?パートナーよりも自分が我慢をしなくては…
キャリア迷子って? はじめまして。キャリアコンサルタントの相坂サオリです。 私自身も数年前まで会社員で、ちょうど30歳前後でキャリア...

ワーママの多くが陥る「マミートラック」問題

前編でも少し紹介したマミートラックですが、ここでおさらいと実例をご紹介させて頂きます。

マミートラックとは、産休・育休復帰後、女性社員が比較的軽い業務や補佐的な業務の担当となり、出世コースから外れてしまう状況を言います。

特に、出産前までバリバリ第一線で頑張っていた女性ほど、このような悩みを抱えることが多く、自分が産休・育休を挟んでいる間に同僚や後輩があっさり昇格して焦るという悩みも自分がマミートラックに入り、出世コースを外れたと感じることに起因しています。

Sさんの場合(仮名・32歳)

次に、実際にご相談頂いた内容をご紹介します。

福祉サービス会社で総合職として働いていると語るSさん。

しかし、産休育休前は総合企画部で、福祉施設サービスの今後の経営計画や施設運営の企画などを行い、やりがいのある仕事をしており、復帰後に異動となり、総務部へ。資料の作成、コピー、備品の発注など、誰でもできる簡単な業務で時間を持て余す毎日から自分は期待されていないと感じ、モチベーションも下がり、転職すべきか相談にいらっしゃいました。

もちろん、保育園のお迎えに焦って仕事をすることもないので、両立しやすいと言えばそうなのですが……とも語ります。また、Sさんの会社はまだ産休・育休取得後復帰した女性社員の前例も少なく、会社の配慮でバックオフィス業務の担当になったのではとも。

上司とSさんのコミュニケーション不足

筆者は、自身の思いを伝えるよう、アドバイス。

ちょうど上司との面談の機会がありSさんが思いを話すと、意外にも上司はてっきりSさんは、家庭と仕事を両立しながら程ほどに働きたいのだと思い込んでいたそう!

それが分かり、その半年後に元の総合企画部へ異動できたようです。

これは上司の思い込みとSさんの思いが、双方のコミュニケーション不足でおこったミスマッチの事例です。

このように、自分で感じたマミートラック問題などの場合は、自分から働きかけないと解決しないこともあります。

しかし、ポイントは、それ以前に上司や同僚と話をする際には、自分のキャリアビジョンをしっかりと描いておくことが重要になります。

ワーママになってからキャリアを描く3つのコツ

では、実際にキャリアを描くとき、どのようなことに気を付けて描けばよいのでしょうか。

【1】今自分の未来だけではなく、家族の未来も描く

ちまたでは、就職関連から自己啓発本などで自己分析ワークがあふれていますが、どれもが自分のことを中心に考えて書くワークが多いかと思います。

もちろん、そういった市場に出回った自己分析ワークを通じて、今までのキャリアの棚卸しから好きや得意の発見もできるかと思います。

しかし、ワーママになったら、ワーママに適したキャリアワークのやり方があります。

それは、自分だけではなく、家族の状況などマクロ視点で把握して描くということがポイントになります。

例えば、今子供がまだ小さく身動きも取りづらいし、仕事もままならないと感じていたとします。子育てが大変な今は、目の前の現実に精いっぱいでこの生活がずっと続くのではないかとすら思えてしまいます。

しかし、10年経てば子供も10歳分大きくなるので、状況は大きく変わります。

もちろん、子供が大きくなったなりに別の悩みも出てくる可能性もあると思いますが、少なくとも今よりは時間的余裕は出てくるはず。

言われてみると至極当たり前なのですが、この事実を見える化しないとワーママのキャリアは描けません。「今は子育てに忙しいけど、数年後は状況が変わっているはず」と、キャリアの停滞の焦りもなくなるはずです。

【2】子供の成長を描く

では、ここでは具体的なキャリアワークのやり方をご紹介します。

今回は、『私のキャリアと子供の成長シート』(厚生労働省)を活用させて頂きます。

『私のキャリアと子供の成長シート』

【キャリアワークの手順】

①まず、左側の欄に、子供の年齢早見表を貼ります。

②その次に、同じく左側の欄にパートナーの年齢も入れていきます。

③いったん、左側の欄の家族の状況が整理できたら、そこから気づいたことを右側の欄に書き込んでみます。

④その気づきを元に、今考え得る理想のキャリアを書き込んでみます。

すると、いかがでしょうか。

キャリアアップや同期の出世に焦っていた方も、数年後には時間ができ、また仕事がバリバリやれるのでは?と気づけるのではないでしょうか。

また、昇格試験などがある場合は、子供の成長のタイミングを見てチャレンジすべき時が分かりやすくなったのではないでしょうか。

現在、仕事量が多く大変な思いをされている方も、マミートラックに陥り今はやりがいのない部署に配置されてしまった方も、マクロ視点でキャリアを描くと少し未来のキャリアが明るくなったのではないでしょうか。

【3】「なぜ働くか?」を明確にする

そして、もう一つ大事なワークがあります。

それは、「なぜ働くか?」です。

この答えが、おそらく人生の土台となる価値観にも通じ、なぜ働くのかがはっきりしていないと、永遠に隣の芝生が青く見えて、キャリアで何か思い通りにならないことがあるとブレます。

もちろん、生活のためという方も多いと思いますが、生活のため以外にも働く理由を見つけましょう。

「人や社会に貢献する時幸せを感じるから」「仕事で認められたいから」「仕事の達成感を味わいたいから」など、個人的な理由でOKです。

自分が仕事をしている中で、どんな時に幸せを感じるか思い出してみてください。

「生活のため」「キャリアが途切れたくない」などの理由よりも、もう少しポジティブな理由が出てくると思います。

ぜひ一度、ひとり時間をとってじっくり考えてみてください。きっと、あなただけの大事な価値観や働く理由が見つかり、働く上で多少のトラブルや悩みが出てきても自分に自信が持てると思います。

キャリア迷子は、自分としっかり向き合えるチャンス

ママになると独身の頃とは違って、身軽に自由にキャリアを描けないのではないかと不安になる方も多いかと思います。ママになっただけでも大きな変化なので、その上仕事となると、誰もが一度は“キャリア迷子”になるのではないでしょうか。

しかし、キャリアの自分軸をしっかり持てば、周りと比較し、思い通りにならないことを悲観することも減ります。自分だけが悩んでいると思いこまず、「ワーママは皆通る道」と割り切りましょう。むしろ自分としっかり向き合えるチャンスだと思って、前向きに“キャリア迷子”を乗り切り自分らしいキャリアを描きましょう。

 

記事を書いたのは…

相坂サオリ|キャリアコンサルタント
株式会社LASSIC代表取締役CEO。主に法人向けにマーケティングPR支援事業と個人向けにキャリアデザイン事業を展開し、自身も国家資格キャリアコンサルタントの資格を取得。大手広告代理店勤務を経て、33歳で起業。自身が不妊治療と仕事の両立で悩んだ経験や“キャリア迷子”を経て独立した経験から、ワーママや女性のキャリア支援に尽力。会社設立から3か月後、第一子出産。現在は2歳の娘の子育てと起業に奮闘中。
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※写真はイメージです

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