じゃがいもで食中毒。危険なのは芽だけじゃない!? 冷蔵庫NGって知ってた?【医師監修】

じゃがいもを使った料理ってホクホクしていて美味しいですよね♪ しかし、気を付けなければいけないのは、じゃがいもには毒があるということ。筆者が実際にじゃがいもで食中毒になった実体験を元に注意するポイントをご紹介します!

じゃがいもで食中毒になるとこんな症状に!

筆者は、じゃがいもで食中毒になった経験があります。

そのときの経験をご紹介します。

中毒になったじゃがいもとその食べ方

近所の農園での体験で収穫したじゃがいもで、大きさはこぶし大から指の腹程度の小さなものまでさまざまでした。

私はじゃがバターにして食べるのが好きなので、芽だけ取り除き、少量の水で蒸したじゃがいもを皮ごと2〜3個/日、食べていました。

どんな症状が出たか

じゃがいもを食べた30分〜2時間後に頭痛と軽いめまい、吐き気が出現しました。

片頭痛が起こる時の感覚と似ていましたが、吐き気がおさまるまで嘔吐するとスッキリしました。

そのときは、まさか、じゃがいものせいだとは思いもせず、何日かじゃがいもを食べては具合が悪くなり苦しみました……。

ふと食べた物を思い返してみて、思い当たったのが、じゃがいもです!

すぐさまネットで「じゃがいも 食中毒」と検索してみると、選んだじゃがいもとその食べ方も見事に当てはまっていました。

どうやって対処したか

じゃがいもの発芽部分には「ソラニン」「チャコニン」と呼ばれる天然毒素であるアルカロイドが含まれています。ソラニンやチャコニンは加熱しても分解しません。解毒剤はなく、食べてしまった有害物質を体の外に出し切ることが大事だそうです。

私の場合は、水分補給と嘔吐を繰り返していくうちに良くなりました。

自分の判断で下痢止めや吐き気止めを使うことは、体外への排出が遅れてしまうのでNGだそうです。医療機関を受診することをおすすめします。

じゃがいもって芽以外にも、毒があるの?

ここまで読んで頂き、みなさんは「じゃがいもって芽を取り除けば、大丈夫なんじゃないの?」と思われたかと思います。

芽を取り除くのは常識ですが、実はほかの部分にもソラニンやチャコニン(カコニン)などのアルカロイドが多く含まれているのです!

芽と、芽の根元に毒がある

表面に見えているじゃがいもの芽はもちろんのこと、芽の根元部分にも毒があるそう。また、芽の周辺部分も毒の濃度が高くなっているので要注意!

出始めの小さな芽であっても、しっかり取り除いた方が良いようですよ。

緑色になっている皮にも毒がある

また、緑色になっている皮も危険です!

緑色は毒素のそのものの色ではありませんが、じゃがいもの皮は光が当たると緑色に変色するので、皮の色も毒素の多いじゃがいもを見極めるポイントだそうです。毒素は、長時間日光に当たったり傷があったりすると増えるようです。

市販のじゃがいもは大丈夫?

農家が育てて流通しているものであれば、適切な品質管理や栽培がされているので、芽をしっかり取り除けば食中毒を起こすことはほぼありません。

ただし、少ない毒素でも影響の出やすい子どもが食べるときには、皮をむくと食中毒のリスクをより減らすことができ、それでも心配な場合は、一度にたくさん食べないように保護者が気を付けてみてあげてもよさそうです。

未熟なじゃがいもに気をつけて!

筆者が食中毒を起こしたのは、おそらく成長しきっていない、未熟なじゃがいもを食べたからだと考えています。未成熟なじゃがいもはソラニンやチャコニンの含有量が多いと言われています。

特に、家庭や学校、幼稚園などでの自家栽培の場合は、未熟なじゃがいもかどうかを見極めるのは難しいそうです。

また、成熟していても小さめな品種もあるため、大きさだけでは判断できません。同じ品種の中でも明らかに小さいものは避けた方が良い、ということです。

さつまいもの芽は大丈夫なの?

じゃがいもと同様、さつまいもも放置していると発芽することがありますよね。

筆者も気づいたら芽を伸ばしてしまっていた経験があります。

しかし、さつまいもの芽には毒はなく、むしろ、さつまいもの芽や葉は栄養満点で食べても大丈夫だそうです!

さつまいもの芽はお味噌汁の具などにおすすめのようです。

じゃがいもで食中毒にならないような対策や予防

ここまでは、じゃがいもに潜む危険をご紹介しました。食中毒は予防することができます。

対策の3つのポイントを紹介させて頂きますね!

その1 じゃがいもの調理法

芽は、本体だけでなく芽の周辺も含めて、多めに取り除きましょう。毒素の量は、加熱してもほとんど減らないため、十分取り除くことが大切です!

特に、家庭菜園や学校で栽培・収穫したものの場合は、皮を厚めにむくことも大事なポイントです。

緑色になっている場合は、皮だけではなく内側の部分も含めて、普段よりしっかり皮をむいた方が良く、また切った中心部まで緑色になっている場合は、食べないようにしましょう。

その2 じゃがいもの選び方

お店でじゃがいもを購入する場合、芽が生えてきているものや緑色のものが入っていないかをチェックしましょう!

また、自家栽培の場合は、しっかりと成長した大きいじゃがいもを傷をつけないように収穫し、必要以上に太陽の光に当てないよう気をつけましょう。

その3 じゃがいもの保存法

常温保存でも、芽は明るく暖かい場所で育ちますので、弱い光であっても長時間浴びてしまうと、芽が生えたり毒素が増えたりすることに繋がり要注意です。また傷をつけないように気をつけます。

じゃがいもは長期保存がきく野菜ですが、なるべく早めに消費し、保存する場合は暗く風通しの良い涼しい場所に保管しましょう。

また、じゃがいもは冷蔵庫で保存すると、アクリルアミドという別の有害物質の発生量が増える可能性がありNGだそうです!

アクリルアミドは、120°以上での「焼く、炒める、揚げる」という調理過程でも生成されるので、水を使った「煮る、蒸す、茹でる」の調理がおすすめだとか。

家庭菜園・お芋ほりのじゃがいもは特に注意が必要

自分で収穫したじゃがいもは格別な美味しさのはずですが、食べたときに苦味やえぐ味があったときは、一緒に調理した食材を含め、すぐに食べるのを中止し、それ以上摂取しないようにしてくださいね!

万が一、じゃがいもによる食中毒かも?と思ったら、できるだけ早く医療機関を相談することをおすすめします。

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【参考文献】

農林水産省参考ページ

日本栄養士会

記事を監修したのは

桐田泰江|医師
M&K産健 代表。浜松医科大学医学部を経てを経てシドニー大学医学部で、Pain Management修士号修得。自身が痛みに苦しんだ経験から麻酔科を志す。麻酔科医として勤務の傍ら、アメリカ、カナダなど海外では普及している「子どもの痛みのケア」を日本でも定着させるべく活動中。『イタイのイタイの飛んでけー 子どもの痛みに寄り添う』の翻訳を手がける。2児の母。日本アロマセラピー学会所属。麻酔科標榜医・日本麻酔科学会認定医。日本アロマセラピー学会認定医、IFAアロマセラピスト。日本医師会認定産業医。

文/吉田萌美 ※写真はイメージです

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