子どもが食中毒(感染性胃腸炎)になったときの対処法は?雑菌から守るためのテクニックを医師が解説

暑い季節、気になるのが食中毒(感染性胃腸炎)。おもに食べものについた細菌が原因ですが、排泄物を経由して人から人へもうつります。治療や予防法について、小児科医の澁谷紀子先生に伺いました。

食中毒のおもな症状と原因

細菌が原因で下痢や嘔吐などが起こる

初夏〜夏の胃腸炎は、細菌が原因のものがほとんどです。多く見られる症状は、腹痛や下痢、嘔吐など。感染した細菌の種類によって、症状も異なります。細菌がついたものを食べたり飲んだりすることで発症しますが、感染した人の排泄物などにも細菌が含まれるため、手などを介して人にうつることもあります。

治療の基本

下痢止めなどは使わず、対症療法が中心

病院での治療は、おもに脱水の予防と対症療法です。細菌の種類や重症度によっては、抗菌薬が出されることもあります。下痢や嘔吐は体内の菌や毒素を排出するためのものなので、薬で抑えることはしません。O-157などの腸管出血性大腸菌に感染した場合、医師が伝染の恐れがないと認めるまで、登園は禁止です。

食中毒にかかったときのホームケア

こまめな水分補給で脱水症状を予防

下痢や嘔吐が続くと体の水分が奪われるため、こまめに水分補給をします。食事がとれない場合は、体に必要な成分も補給できる「経口補水液」を利用するとよいでしょう。排泄物や吐いたものは広げないように拭き取り、密封して捨てます。汚れた床などは、アルコールまたは薄めた塩素系除菌・漂白剤で拭きましょう。念のため、入浴は一番最後に。衣類が汚れた場合はほかのものと分けて洗った後、十分に天日干しするか、衣類用乾燥機、アイロンなど高温になるもので殺菌すると安心です。

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予防のためにできること

台ぶきんなどで菌を広げないように注意

手を介してうつることがあるので、手洗いをしっかりと。台ぶきんはこまめに殺菌し、学校や園ではお弁当の保管場所にも注意します。家庭では、生鮮品は冷蔵庫や冷凍庫で正しく保管し、十分に加熱します。お肉や魚に触れた包丁やまな板は、次のものを切る前に必ず食器用洗剤でよく洗います。暑い季節は、「つくりおき」もできるだけ避けるのが理想。どうしても保管する場合は、容器ごと氷水などにつけて短時間で冷却してから、冷蔵庫・冷凍庫へ。食べる前には、必ず再加熱しましょう。

 

記事監修

澁谷紀子|小児科医

総合母子保健センター 愛育クリニック 小児科・母子保健科部長
小児科専門医、アレルギー専門医。東京大学医学部卒業。東大病院、山王病院、NTT東日本関東病院小児科などを経て現職。4人の女の子の母でもある。

出典/『新 幼児と保育』 文/野口久美子 再構成/HugKum編集部

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