0~6歳で一番大変なときはいつ?知れば育児のイライラが激変する、モンテッソーリ流「敏感期」の特徴とは

毎回、ママやパパのお悩みに寄り添った連載をお届けしている「モンテッソーリ教師あきえの子育てROOM」。今回は、0~6歳の子どもを育てるママやパパなら、誰しも刺さるモンテッソーリ流のある考え方についてをご紹介します。

子どもの発達には24年間で4段階ある。今はどんな時期?

子どもは「自立・自律」に向かって日々、さまざまなことを吸収しながら成長していきます。その成長する期間は、24年間と言われています。

モンテッソーリ教育では、その24年間を上の表のように捉えます。6年間の発達を4回繰り返すのですが、赤の時期は発達のエネルギーが強く青の時期は比較的穏やか。2回ある赤の時期のちょうど真ん中にある3歳と15歳は、それぞれ「イヤイヤ期」と「第二次反抗期」俗に言われる時期にあたり、エネルギーがMAXになる時期です。

このように、子どもの成長にはその時々で「今」があり、私たち大人がその「今」を理解することで、子どもの伴走がしやすくなるのです。VoicyのリスナーさんやInstagramのフォロワーさんなどから質問されることが多い子どもの年齢は、ダントツで「0~6歳」の乳幼児期。

今回はこの時期の子どもに見られる「敏感期」がどういうものか知ることで、ぐっと子育てが楽になるお話をしたいと思います。 

「ママがいい!」「イヤイヤ」と言うのは成長している証

人間が生きていくために必要な「能力」というのはいくつかあります。例えば、言語能力、運動能力感覚器官で得た情報を区別する能力などです。これらを獲得するためにエネルギーが強く現れる時期のことをモンテッソーリ教育では、「敏感期」と言い、それは大きく分けると6つの種類があります。具体的にどんな反応や特徴があるのかを見ていきましょう。

敏感期①「話すの大好き」言語の敏感期

0~6歳頃に見られる言語の敏感期は、言語を自分の一部にするために現れるエネルギー。この頃の子どもは、言語に対して強い興味を持っています。

  • 言語の敏感期の特徴
  • ・話をしている人の口元を見たり、自分の口元をよく触る
    ・起きている間はずっと話している
    ・「これなに?」とよく聞く

    この時期にたくさん話しかけることで、より多くの言葉を吸収します。「赤ちゃんだからわからない」と思わずに、応答的に言葉でのコミュニケーションを楽しみましょう。

    敏感期②「いつもと同じがいい!」秩序の敏感期

    0~4歳頃に見られる秩序の敏感期は、自分の中に当たり前を作るために現れるエネルギーです。特に強く現れるのが1歳半~3歳頃なので、イヤイヤ期と重なって、悩んでいるママパパも多いかと思います。

    秩序の敏感期の特徴

    • ・いつもは朝食→着替えの順なのに、今日だけ着替え→朝食の順にすると怒る
    • ・家ではママの隣の席に座っているのに外ではパパが隣に座ると「ママ!」
    • ・いつも行く公園にいつもと違う道のりで行ったら、途中で嫌になった

    この時期の子どもに一番重要なのは「いつもと同じ」ということ。順番ややり方、配置などに強いこだわりがあるため、いつもと違うことに対して強く反発。それを「もしかしてイヤイヤ期?」と、思うことも多いと思います。そのため、やり方や順番、配置など、子どもにかかわることを「いつもと同じ」にすることで、イライラすることを回避できるでしょう。もちろん、完璧にではなく「大体」で大丈夫です。

    敏感期③「これっていたずら⁉」運動の敏感期

    0~4歳頃に見られる運動の敏感期は、スポーツなどの運動のことではありません。座る、立つ、手を上げるなどの「動き」や「動作」のことを指します。

    運動の敏感期の特徴

    • ・スーパーのカートやベビーカーを押したがる
    • ・箱に入ったティッシュを全部出す
    • ・テーブルの上にあるものを落とす

    大人からすると「いたずら」や「面倒なことをされた」と思ってしまいそうな行動ですが、これらは運動の敏感期だからこそ。立つ、歩く、押す、引っ張る、落とすなどの動きをマスターするため、子どもは一生懸命になっている時期です。そのような動作ができる環境を用意してあげましょう。

    敏感期④「触りたい!嗅ぎたい!聞きたい!」感覚の敏感期

    0~4歳頃に見られる感覚の敏感期は、自分の感覚器官で得た情報を正確に区別ができるようになるために現れるエネルギーです。視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚の五感を刺激するものに対して、強い興味を示します。

    感覚の敏感期の特徴

    • ・お気に入りのぬいぐるみのにおいを嗅ぐ
    • ・壁を触りながら歩く
    • ・小さな音に気づき反応する

    五感を洗練させるため、五感を刺激するものに反応している様子がわかりますよね。子どもはあらゆるものを何度でも触ったり、嗅いだり、味見したり、聞いたりしたがります。危険なことを除いては、五感に対してこだわりを見せたら、「一生懸命、洗練しようとしているんだ」と見守ってあげたいですね。

    敏感期⑤「ここに見合った人になりたい」社会性の敏感期

    歳半頃から始まる社会性の敏感期は、自分のいる環境や文化に合った人になるために現れるエネルギーのことです。

    社会性の敏感期の特徴

    • ・誰かのことを手伝おうとする姿が見られるようになる
    • ・すれ違った人に「こんにちは」と挨拶をする
    • ・友達の荷物を持ってあげようとする

    ママやパパ、友達など、誰かのことを手伝おうとしたり、誰かにためにと思って行動したりする姿が見られたら社会性の敏感期に差し掛かったということです。自分だけではなく、周りにいる人に関心が向いている証拠です。また、自分がいる環境でのマナーや慣習にも興味が向くため、私達大人の姿から多くのことを吸収していきます。完璧である必要はないですが、モデルであることを意識したいですね。

    敏感期⑥「それ、どこのゴミ?」小さいものの敏感期

    1歳~3歳頃に見られる小さいものの敏感期は、小さいものに気づき、観察する力を身につけるために現れるエネルギーです。そのため、小さいものに目の焦点を合わせられることに喜びを感じているのです。

    小さいものの敏感期の特徴

    • ・カーペットの中の小さいゴミを取ろうとしている
    • ・ママのシャツのボタンをつかみたがっている
    • ・ご飯粒を一粒ずつつかもうとする

    大人は気づかないような小さなゴミや石、時には虫まで、一生懸命つかもうとしている姿が見られたら、それは小さいものの敏感期です。それに気づかず、片付けてしまったり、その場を去ろうとしたりすると、「イヤイヤ~」と泣くこともあるかもしれません。小さいものの敏感期に気づいたら危険がない限り見守るようにしていきましょう。

    敏感期を知ることで、イライラせずに子どもと向き合える

    これら6つの敏感期が見られた時は、「成長する上で必要な能力を獲得しようとしているんだ」と温かく見守ってあげましょう。忙しい時などは、敏感期と分かっていてもイライラすることもあるかもしれません。しかし、知っているといないではイライラの度合いが違うと思います。「うちの子は今、こんな時期なんだ」と、俯瞰で我が子を見ることはとても大切です。

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    記事監修

    国際モンテッソーリ教師(AMI)
    モンテッソーリ教師あきえ

    幼い頃から夢見た保育職に期待が溢れる思いとは裏腹に、現実は「大人主導」の環境で、行事に追われる日々。そのような教育現場に「もっと一人ひとりを尊重し、『個』を大切にする教育が必要なのではないか」とショックと疑問を感じる。その後、自身の出産を機に「日本の教育は本当にこのままでよいのか」というさらなる強い疑問を感じ、退職してモンテッソーリ教育を学び、モンテッソーリ教師となる。「子育てのためにモンテッソーリ教育を学べるオンラインスクール Montessori Parents」創設、オンラインコミュニティ”Park”主宰。2021年1月に初著書「モンテッソーリ教育が教えてくれた『信じる』子育て」(すばる舎)、2022年3月に「モンテッソーリ流 声かけ変換ワークブック」(宝島社)を出版。

    モンテッソーリ教師あきえHP

    あきえ先生主宰オンラインスクールMontessori Parents

    取材/本間綾

     

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