「バルシューレ」は運動能力はもちろんのこと、社会性や自発性までも身に付けられるとあって、日本でもここ数年、バルシューレに触れることができる教室が急増しています。
“あらゆるスポーツの入り口”にぴったりなバルシューレとは一体どんなものなのか、そしてその魅力について、現役で指導を行っているインストラクターの嶋津颯太さんに伺ってみました。
運動好きな子を育む「バルシューレ」とは?
スポーツはやらせたいけれど、何から始めたら良いかわからない。そんなお子さんがはじめの一歩として通い始めることも多いというバルシューレ教室。国内では主に3歳~小学6年生位までのお子さんが通っているそうです。スポーツの楽しさを感じられるというメリットに加え、協調性や礼儀なども自然と育まれるバルシューレですが、実際に教室ではどのようなことをするのでしょうか?
Q:バルシューレ教室では、どんなことをするのですか?
「公園でボールを持って遊ぶ」というあの感覚が一番近いかもしれません。バルシューレは全部で148種目あるのですが、その1つ1つがスポーツに紐づいた動きになっています。
例えばバレーボールのスパイクを打つ動作だけを切り抜いたものや空間を認識する能力が詰め込まれたゲームなどですね。それらの中から適切なものをインストラクターが提供しています。
3歳4歳といった年代のお子様でしたら、ボールを投げる、蹴るといった基本運動をとりいれた種目。例えば…コーンの上にボールを乗っけて、落とさないように歩こう、走ろうね~といったようなものです。
小学生以上になってくると、ポートボールなど戦術が必要なものも入ってくるので、お友達同士で協力したり、話し合って、チャレンジすることも増えていきます。
インストラクターが技術指導しない理由
Q: インストラクターの皆さんから、身体の動かし方などを教えてもらうこともあるのでしょうか?
バルシューレの指導者は、いわゆる技術指導というものをしません。
といっても、何もやらないというわけではなくて、どちらかと言えば、コーディネーターに近い存在です。環境は提供するのですが、こうするんだよという指示するようなことは言わないという。
というのも、指示をしてしまうと、子ども達は素直なのでただそれだけをするようになります。でもそれでは本質的なことが見えなくなってしまいます。そのかわり、友達同士で話し合う機会を与えたり、協力して作戦を考えたりしてもらって、子ども達の発言力も一緒に伸ばしていくという指導方法を大切にしています。
Q:バルシューレのプログラムと一般的に子ども達が遊んでいるボール遊び。大きく違う点は何なのでしょうか?
通常のボール遊びと違うところは、エビデンスがあるかどうかです。
バルシューレの場合は、日本体育大学と共同研究という形で、バルシューレを導入している幼稚園と一般的な幼稚園との運動能力を比較したりして検証を重ねているのですが、特に、状況判断の部分などでバルシューレをやっているお子さんの方が、運動能力が高いという結果は出ています。
バルシューレを続けるとどんな変化がある?
Q:バルシューレに通っていると、どんな成長が期待できそうですか?
小さいお子さんの場合は、ボールをキャッチできるようになったとか、蹴るのがうまくなったとか目に見える部分の成長を感じられることが多いと思います。
小学生の場合は、もちろん運動能力が上がったという部分もあるのですが、入った時は、人見知りで全く話せなかったというお子さんも友達と戦術を話し合って、協力したり、自分から話しかけに行っていたり…。目に見えない部分の成長を凄く感じられます。
バルシューレは、50分~60分の教室の中で4~5種類の種目を次々とこなすうえ、毎週違う種目をやっていきます。そのため、ルールを理解して、それを体現するということを次々とやっていくことになるので、それが結果的に、小学校受験を目指しているお子さんにプラスになるといったケースはあるようです。
一度通うと継続するお子さんも多いというバルシューレ。体験することができる教室も、北海道、長野、兵庫、鳥取、島根など、着実に全国へと広がりつつあります。子ども達の習い事として、今後ますます人気が高まっていきそうですが、日々、子ども達と接している嶋津さんに、これからの目標を伺ってみました。
Q:バルシューレ指導者としてのこれからの目標を教えてください。
スポーツはみんなに平等なものですし、もともとは、「娯楽」としてうまれたものです。でも現在、スポーツというと競争があって、勝ち負けがあって、比較されて落とされて…という部分を想像する方も多いと思います。私達としては、バルシューレを通して、みんなが楽しめるスポーツというものを提供していきたいですし、例えば、運動に苦手意識を持っているお子さんであっても、一緒に巻き込んでいきたいなと思っています。
子どもに”スポーツは楽しい”という体験を与えるのにぴったり!
幼少期に運動能力の土台をしっかりつくり、”スポーツは楽しい”という体験を重ねていれば、将来、専門的に何かのスポーツをやるという時にも、選択肢の幅がぐーんと広がりそう。「どんなスポーツをやらせようか迷っている」「運動が苦手という意識を変えてあげたい」
そんな時には、是非、バルシューレ教室の門を叩いてみてください。
バルシューレについては詳しくはこちら!→ https://ballschule.jp/
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文・構成/茂木雅世