大みそかはお手伝い!おかたづけの絵本7選|絵本専門士がセレクト

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そろそろ「おかたづけ」に興味を持ってもらいたいけれど、なかなか実践できない…。そんなときに絵本はいかがですか? なんだかそうじっておもしろそう、どうやって片付けたらいいのかわかった!などなど、親子で気づきがあることもあります。「早くかたづけなさい!」と叱りそうになったら、ぜひ一息ついて読んでいただきたい絵本です。

ノンタン「ちらかしっぱなし」は楽しい!?

『ノンタンぱっぱらぱなし』

作:キヨノ サチコ
出版社:偕成社
<3歳から>

「ぱっぱら」とちらかして、やりっ「ぱなし」で行ってしまうノンタン。お友達のおうちでも、ぱっぱらぱなし。「かたづけてよ」と言われても、「かえらなくっちゃ」と逃げてっちゃう。小さな子は自分の楽しさがまず最優先で、どうしてかたづけるのかわからない部分もあるので、そんな気持ちを代弁してくれているかのよう。でも最後は「お部屋は汚れているより、きれいな方がいい気持ち!」というノンタンの心境が描かれています。「さっさか、さっさか、ほいさっさ!」というおおそうじの音も楽しく、おそうじの合言葉になりそうですね。

ぐりとぐら、ぼくがぞうきんになる!

『ぐりとぐらのおおそうじ』

作:なかがわ りえこ
絵:やまわき ゆりこ
福音館書店
<3歳から>

ロングセラー絵本「ぐりとぐら」の2匹が、春になっておおそうじを始めるお話。ほうきもぞうきんもボロボロだけど、どうするの? と思ったら、なんと自分にぼろ布を巻き付けて、お腹ですべったり、足をバタバタしてみたり…。こんな楽しいおそうじなら、子どももやりたくなってしまいますね。ぐりとぐらの、なんでも作ってしまう創造力や生活を楽しむアイデアは、暮らしを豊かにしてくれます。小さい頃はこんなふうにお手伝いを始めて、だんだんとおそうじ好きになってくれたら嬉しいです。

大人もドキッ お皿を洗わないと…

『おさらをあらわなかったおじさん』

文:フィリス クラジラフスキー
絵:バーバラ クーニー
岩波書店
<3歳から>

タイトル通り、お皿をずっと洗わなかったおじさんが主人公。40年以上前の本ですが、いまでもユーモアあふれる楽しいお話です。ちょっと一日、洗い物を明日にしようと思っただけなんですよ。でも次の日もくたびれてしまって、その翌日も…と家中の食器が汚れてしまい、ついに禁断の石鹸入れや灰皿でご飯を食べ始めます。どうなってしまうの? とドキドキ。おもちゃでなくお皿ですから、子どもより大人の方が、身につまされるかもしれません。解決法は「それでいいの?」と思ってしまいますが、突っ込みどころが満載でカラッと笑えます。「かたづけたくないときもあるよね」「でもかたづけないと困るものね」と大人も子どもも納得できます。

箱にポイポイから一歩進んで

『ななちゃんのおかたづけ』

作:つがね ちかこ
おかたづけアドバイス:鈴木 尚子
赤ちゃんとママ社
<4・5歳~>

整理収納術にたけたライフオーガナイザーの鈴木尚子さん監修の、おかたづけ読本です。1つの箱になんでも放り込んでおかたづけ終了! と思っていたななちゃんに、おもちゃたちが怒り出します。クレヨンはクレヨンの箱に、ぬいぐるみはぬいぐるみの場所に、帰りたいと言うのです。だんだんと細かいおもちゃを使ったり、複雑な遊びをする年齢に上がったときに、「かたづける」って何だろう? と話すきっかけとして読むのもいいのではないでしょうか。巻末には、鈴木さんによるかたづけ方の3ステップも掲載されていて、親子で勉強になります。

明日の準備が自分でできるおかたづけ

『はなちゃんとぴかりん ピカピカだいさくせん!』

作:井田典子
絵:松本春野
婦人之友社
<4-10歳>

こちらは、整理収納アドバイザーの井田典子さんがお話を考えた、小学生向けのおかたづけ読本です。主人公は小学生のはなちゃん。なんでも机の上に放り出しっぱなしにしているはなちゃんは、忘れ物がいっぱい。明日の準備もできず、ある日、机までが家出してしまうのです。でも妖精のぴかりんが「かたづけ方」を教えてくれます。「かたづけなさい」と言うだけではわからない、引き出しのしまい方、ランドセルの整理方法など、具体的なアドバイスを教えてくれます。

そうじなんてなんでやるの?に答える

『おそうじ隊長』

作:よしながこうたく
好学社
<6歳~>

よしながこうたくさんの絵がインパクト絶大の「給食番長」シリーズのおそうじ版です。学校のそうじの時間が舞台。わんぱくな小1のたかふみくんは、自分たちの使っていない図書室までそうじするのに納得がいかず、かくれんぼを始めてしまいます。怒る女子たち。掃除の秘密兵器を見つけてからは、逆にやる気全開ですが、かえって教室を汚す羽目に…。思いのままにはしゃぐたかふみくんたちが痛快で、「やらされるもの」だったそうじが、「教室を大切に使いたい」という気持ちへと変わるきっかけが見どころです。なんと、標準語と博多弁の両方の記載があるバイリンガル本。小学生への読み聞かせにもぴったりのおそうじ絵本です。

大人にはゴミでも、子どもにはたからもの

『ごみじゃない!』

作:minchi
PHP研究所
<4・5歳から>

最後は少し変わり種の「かたづけない」絵本を紹介します。毎日お子さんがちらかし放題で、かたづけるのにうんざりしている親御さんは多いかもしれません。でもこの『ごみじゃない!』は、大人は捨てる以外考えられないようなものを、たからものとして大事にしている子どものお話。パンの袋を止めるクリップは髪留めに、穴の開いた靴下はぬいぐるみの洋服に、石鹸の箱は携帯電話に。85個もの「たからもの」を子どもが愛おしそうに紹介していくのです。かたづけは、大切なものを整理する作業でもあります。黙って捨てる前に、お子さんと一緒に読んでほしい一冊です。

回の絵本をおすすめした絵本専門士

記事監修

日下淳子(編集ライター・元保育士)
出版社での雑誌編集者を経て、2008年よりフリーランス。出産を機に、絵本と子育て、暮らしを中心に編集・執筆を行っている。音楽・表現教室の講師でもあり、保育士経験があることから、親子向けの企画、制作、イベント運営にも携わっている。「絵本ユニットはっちぽっち」「音の教室カリヨン」所属。https://ehon-press.amebaownd.com/

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文・構成/日下淳子

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