保育園や幼稚園など集団生活をする年齢に多く発症するのが「水痘(みずぼうそう)」。病気の症状や予防、対処について愛育クリニックの澁谷紀子先生にお聞きしました。
水痘(水ぼうそう)はこんな病気!
空気感染でもうつります。感染力がとても強いので、園で発生すると大流行につながることもあります。
おもな症状と原因
水痘・帯状疱疹ウイルスによって起こります。虫刺されのような赤い発疹が数個現れ、数時間で増えていきます。その後、発疹はかゆみのある水疱(中に液体がたまった発疹)になり、2~3日で全身に広がります。
期間について
発熱することもありますが、2~3日で下がることがほとんどです。水疱はかさぶたになり、1~2週間で治ります。
治療の基本は抗ウイルス剤や塗り薬
発症後2日以内なら、抗ウイルス薬を飲むことで症状をやわらげることができます。ワクチンを接種していない子どもの家族が発症したような場合、感染した人との接触から3日以内なら、ワクチンの緊急接種によって発症を防げることもあります。かゆみが強い場合は、かゆみ止めの塗り薬が処方されることもあります。
水疱がかさぶたになるまで登園禁止
水疱をかきこわすと、細菌が感染して「とびひ」などを起こすことがあります。子どもの爪は短く切ってやすりをかけ、手や体の皮膚も清潔に保ちましょう。塗り薬が処方されたときは、医師の指示どおりに使います。すべての水疱がかさぶたになるまで、登園停止です。
ワクチン接種で確実に予防を
生後12か月を過ぎたら、できるだけ早くワクチンの接種を。1回では十分な免疫がつかないため、初回の6~12か月後に必ず2回目を接種します。大人がかかると重症化しやすいので、保育者自身の接種状況も確認を。接種歴がわからない場合、追加接種を受けておくと安心です。
0歳で軽い水痘にかかった場合、十分な免疫を獲得できないことがあります。念のため、1歳を過ぎたらワクチンを受けておくと安心。この場合も2回接種を!
記事監修
総合母子保健センター 愛育クリニック 小児科・母子保健科部長
小児科専門医、アレルギー専門医。東京大学医学部卒業。東大病院、山王病院、NTT東日本関東病院小児科などを経て現職。4人の女の子の母でもある。
出典/『新 幼児と保育』 文/野口久美子 写真/石川厚志 再構成/HugKum編集部