大人は入場禁止の「キッズフリマ」が金融教育に最適!「売れるとうれしい」子どもたちが体験から学ぶ

子どもによる、子どものためのフリーマーケット、「キッズフリマ」は、実際にお金を使った物の売り買いを通して学ぶ、体験型の金融教育です。気になるイベントの内容や参加した親子のインタビュー、主催者の想いを紹介します。

文部科学省・環境省・金融庁が後援する金融教育イベント「キッズフリマ」とは?


「キッズフリマ」は、出店も買い物も小学生以下の子どもだけで行い、本物のお金を使いながら自由に買い物を楽しむフリーマーケット。コミュニケーションを取りながら「売る」「買う」に挑戦することによって、自分にとっては不要なモノが他の誰かにとっては価値があるということやモノの大切さだけでなく、体験を通じて金融について学びます
商品価格は自分たちで設定し、収入や支出は収支計算シートを用いて記録するため、自分の目で見て、考えた経験を実生活に生かすことができるのもこのイベントの特徴。「モノ」や「お金」との付き合い方を楽しく学べる体験型教育イベントです。

金融教育を体験して学ぶ!イベントレポート

1月に品川区立聖蹟公園で開催された、キッズフリマにお邪魔してきました。イベントの内容や出展者・お客さんのインタビューをご紹介します。

イベントが始まる前に「お金と経済」について学ぶ


イベント開催前にキッズフリマで学んで欲しい、店長さんとしての心得お金と経済の事についてお話があります。
ボードを使いながら、店長さんとして積極的に行動をすること、クイズを交えながらお金・経済とは何か?をわかりやすく教えてくれます。

キッズフリマでは、実際にお金を使って売ったり買ったりしています。子どもたちは経済活動の第一歩として、店長さんの立場でお金の動きを観察します。そのために、事前に配られた収支計算シートを使い販売商品の合計金額、他のお店で買いものをしたら支出を書いていきます

販売価格も子どもが決める!

値札や商品ボックスも事前に用意して、開店準備も万端!

出店の準備に向け、お客さんが買い物をしやすいようにディスプレイをしていきます。出店者の親御さんに聞いたところ、「価格は基本的に子どもが決めて高すぎる場合はアドバイスしました。」と言う人がほとんどでした。安すぎなくて、高すぎないちょうどいい値段を考えるのは難しいと思いますが、家族で物の価値やお金の価値について話すきっかけになります。

友達同士での出店。販売係と計算係で役割分担もばっちりです

お客さんがひっきりなしにやってきます。お友だちや兄弟で出店している子は、販売係・収支計算シート記入係と仕事を分担している姿も。お客さんとコミュニケーションを取りながら、価格交渉しているお店もありました。

子どもたちだけで、はじめてのお買い物

キッズフリマのお客さんは、予約なしで当日参加することができます。販売と同じで会場に入れるのは、子どもだけ。困ったことがあれば、係の人がサポートしてくれます。今回のイベントでお客さんとして参加した親子にインタビューをしました。

おそろいの人形をゲットしたお友達同士の女の子は、これがはじめてのお買い物だそう

お客さんとして参加した3歳の女の子2人組。お揃いの人形を買ってきて、とっても嬉しそう♪

お母さん:「300円をもって、2人で好きなものを買ってきました。買い物をしたことがなくて、ちゃんとできるかな?と思っていたけれどしっかり買い物して帰ってきました。貴重な体験ができたのでまた来たいです。」

午前の回に来て、午後、これが2回目の参加という男の子。

お子さん:「1000円くらい持っていって、840円くらい使ったかな。買い物をするときに安くしてくれたからありがとうっていったよ!」

お母さん:「近所なのでお友だちと一緒に、午前の部と午後の部両方参加しました。このような機会はなかなかないので、チャンスがあれば出店にも挑戦してみたいです。」

家族でお金のことについて考えるきっかけになる

出店中は、お客さんの相手と、合間を見ての収支を書き込む仕事でとても忙しそう

収支計算シートが現場で書けなかった場合は、おうちで記入して今日の売り上げ、支出(お店の出展料や買い物したもの)を計算します。
イベント終了後に、出店者として参加した親子にもインタビューしました。

お子さん:「楽しかったからまた参加したいです!お金の交渉も下げすぎないように考えてやりました。」

お母さん:「家で梱包作業などの用意に気合は入っていたけれど、お金のことは、何円だったら買ってくれるかなくらいで、そんなに考えてなかったと思います。でも、今日実際にお店をやり始めたら売れてお金をもらって、最後売れ残ったものを安くしていったりしたことが、値段の価値を自分なりに考えてるなと、見ていて成長を感じました。子どもたちも楽しんでいたので、また参加したいです。」

出店者として参加した子どもたちは、シートに感想を記入


商品が売れるとうれしいことを発見して、これから買い物をするときの気持ちや考えが変わりそうですね。


売ることの難しさを知って、どうすればよかったのか?を考えることが学びになります!

NPO法人キッズフリマ代表「お金について子どもが学ぶ環境を」

みんな、ひとりひとりが店長さんとなり、頑張りました!

金融教育イベント「キッズフリマ」を主催するNPO法人キッズフリマ代表の赤池慶彦さんにお話をお伺いしました。

キッズフリマをはじめたきっかけ

赤池さん:13年前に大人のフリマの一角で子どものフリマをやってみようというのがきっかけでした。当時はリユースをメインに、子どもたちにエコや環境について意識してもらいたいということを目的として始めました。参加した保護者から、金融教育にもつながる、子どものコミュニケーション能力が高くなったというお声を頂いたのでそこに特化したアイデアを練り、現在に至ります。

キッズフリマ=金融教育

赤池さん:イベント参加前後に、ご家庭で準備の段階からコミュニケーションを取りながら少しずつお子さんがお金に対して意識を持つきっかけになればと考えています。キッズフリマに参加している1時間半だけではなく学びがずっと続きます。
キッズフリマで体験したことが全て成功である必要はなく、失敗の体験も学びにつながります。小さな成功、小さな失敗を積み重ね、お金をポジティブにとらえてもらえたらいいなと。

金融教育については継続的にやっていかないと根付いていかないので、同じエリアで定期的に活動をするようにしています。金融の体験教育の機会を地域の格差であってはいけないと考えているので、これからもっと開催数を増やし北海道から沖縄まで子どもがいるところであれば移動しながら教育をお届けしたいです。

金融について楽しく学んでみよう!

近年キャッシュレス化が進み、現金で買い物をしたことがないという子どももいる中で、実際にお金を使い体験するキッズフリマ。取材中、商品がなかなか売れなかった出展者の男の子が「値段を高くしすぎたのかな…。」とお客さんを待ちながら考えている姿が印象的でした。イベントの体験を通して、子どもたちはお金の価値やお金の大切さを学んでいました。

イベントに参加してみたい!と思った人は、公式サイトで開催日などを確認してみてください。

NPO法人キッズフリマ 詳細サイトは>こちら

取材・文/やまさきけいこ

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