小学生の子どもが水疱瘡(みずぼうそう)に。症状の見きわめやホームケアはどうする?【医師監修】

小学生のお子さんの体に赤い発疹を見つけたときは「一体なんの病気?」と戸惑うでしょう。医師の診断の結果「水疱瘡」だったら、今回紹介する記事を参考にして治療と回復に努めてください。

 水ぼうそうとはどんな病気?

水疱瘡は、「水痘・帯状疱疹ウイルスに初めて感染した時に発症する感染症」のことです。発症年齢は限定的で、乳幼児、児童の時期の年齢に発症することがほとんどですが、まれにこの限りでない場合もあります。

また水疱瘡は年間を通じて発症する可能性のある病気ですが、冬から春にかけての流行が多く、多くの子どもが冬から春にかけて感染する傾向にあります。大人が発症するケースもあり、重篤な病状に繋がる可能性もあるため注意が必要です。

小学生の水ぼうそうの症状は?

水疱瘡には「潜伏期間」があります。一般的には2〜3週間とされており、この期間を過ぎた頃に腹部、手足、顔面などに赤い発疹が出てきます。この発疹を皮切りに、およそ24時間をかけて発疹は全身に広がっていきます。また発疹と同時に発熱が確認されることがあり、発熱は長期間持続することがあります。

自宅で水疱瘡かどうかを推測する要素は「同じ時期に新しい湿疹と水ぶくれが破れたような湿疹が混在する」「頭皮にも湿疹ができる」の2点です。

それと同時に重度の痒みを覚えるようになります。水ぶくれと痒みは7〜10日間ほど続きますが、その後回復傾向へ向かい、約2~3週間で治癒します。

小学生の水ぼうそうの治療法は?

水疱瘡を治すために、以下のことをおこないましょう。

・1日2~3回検温(早朝、日中、夕方頃など)をおこない、記録する
・発疹の状態を細かくチェックする(性状、範囲、湿疹の数など)
・かゆみの程度を把握する

家族が気をつけて実施しながら、以下の衛生維持を徹底するようにしましょう。

・小まめな手洗いを徹底すること
・爪を切っておくこと
・部屋の換気作業を行うこと
・熱による発汗を小まめにタオルなどでふき、着替えも都度行うこと

発疹の状態に注意がいきがちですが、発熱・かゆみの注意も忘れないようにしましょう。熱があると脱水や発汗後の冷えが生じます。充分な水分補給と、病中でも喉に刺激がないものを選んで摂取することがポイントです。

水ぼうそうにかかったときの注意点

水疱瘡は感染症です。言葉通り「感染する病気」のため、本人の治療だけでなく、周囲の人たちも注意しなければなりません。家庭内で感染者が増えないように、できる範囲で感染予防をするようにしましょう。

病院へ行く

まずは病院で医師に診てもらうことから始めましょう。水疱瘡であると確定できるのは、医師の診断が出た時です。診断が出たら、医師から子どもの治療対策、周囲の人への注意点についてアドバイスを受けるようにしてください。

お風呂は原則OK

原則として、シャワーや入浴を制限する必要はありませんが、入浴をすると体温が多少上昇します。このため、水疱瘡の症状「痒み」が強くなる場合があります。入浴自体は問題ありませんが、あまり水温を高くしないようにして、痒み対策をするようにしてください。

体は優しく撫でるように洗い、入浴後は柔らかい清潔なタオルで水分を吸い取るように、軽く触れながら全身を乾かすことがポイントです。発疹を傷つけないように気を付けましょう。

入浴するかどうかのポイントとして、発熱が引いているか、清潔のために入浴する必要があるかの2点が挙げられます。高熱が出ている場合は、熱が下がるのを待ちましょう。また汗をかく時期に発症してしまった場合は、汗を流して衛生を保つために軽い入浴をおすすめします。

入浴していい時期、入浴に適した時期ですが、痒みが治まってきた頃からが理想です。この時期に入浴するにしても、やはりぬるま湯やシャワーのみといった対策をおすすめします。

家族にうつさないための予防を

感染した子どもは家族に感染させることもあるため、シャワーにとどめることも感染防止対策のひとつです。

どうしても子どもが湯舟に入りたがる場合は、家族が入る前もしくは家族が入った後にお風呂のお湯を張り替えるといいでしょう。その理由として、家族が入った後の湯船には家族の垢や菌が浮遊していることもあり、つぶれた水疱に菌が入り、二次的にとびひになってしまうこともあるためです。また家族への感染拡大を防ぐため、出た後の浴槽掃除、消毒などもしっかりと行いましょう。

小学生が水ぼうそうにかかったときの自宅での過ごし方は?

水疱瘡の主な症状は「全身の発疹」「発熱」「かゆみ」です。これらの症状が出ている間の、子どもの自宅での過ごし方をご紹介します。

掻きむしらないように注意する

赤い発疹の時点から痒みを覚えますが、水ぶくれになってきた時も痒みは続きます。この時うっかり搔きむしって水ぶくれを潰してしまわないように、親は子どもをしっかり見ていること、これが回復への近道です。

対策としては「爪を切っておく」「包帯を活用する」「直接搔かないように長袖にする」「手袋をはめる」といった地道な対応が有効です。

体を清潔に保つ

入浴していい状況であれば入浴をおすすめしますが、発疹が酷かったり高熱が出たりしている場合は控えるようにしてください。入浴は体力を使うため、体力が低下している時に入浴するのはおすすめしません。

そんな場合にできる清潔維持の対策としては、発汗時はタオルで体を拭くことが有効です。タオルは少し湿らせたものが肌に優しく、痒みを和らげます。

入浴は、熱が引いて食欲が出てきたようなタイミングがいいでしょう。しかしこの際もできればシャワーで対応するようにしてください。

水ぼうそうにかかるといつから登校できる?

水疱瘡に感染した場合は、出席停止することが義務付けられています。インフルエンザやおたふくかぜのような感染する病気と同じで、学校に登校できない決まりとなっています。

ただし出席停止は「そうしなければならない」理由のため、欠席扱いにはなりません。これまでの皆勤賞に傷がつくようなことはないため安心してください。

出席停止期間は学校保健法に定められています。第1種から第3種に分けられており、新型コロナ感染症で皆さんがご存じの1類から5類に分類される感染症分類とは異なります。

登校が再開できるのは「完治してから」で、少し早い段階での登校も禁じられています。一般的に、水疱瘡の完治までは7日以上かかると知っておきましょう。

症状としての完治の目安は、「全ての発疹のかさぶたがはがれたとき」と考えておくといいでしょう。また学校によっては「治癒証明書」「登校許可証」が必要なケースもありますから、学校に確認をとるようにしましょう。各証明書の発行には医師の診察が必要です。

水ぼうそうになった場合は適切な行動をしよう

水疱瘡は潜伏期間を除くと、3週間程度の期間で完治する病気です。しかしこの期間、子どもは発熱や痒みと闘い、家族は完治へ向けて手助けをする必要があります。今回ご紹介したような知識を覚えておけば、適切な対策を講じられ、必要な感染対策をしながら治癒していけるでしょう。

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記事監修

竹綱庸仁|医師
たけつな小児科クリニック 院長。2004年、愛知医科大学医学部卒業。同大学で臨床研修終了後、小児科に入局。2013年、奈良県の病院で小児科の立ち上げに従事。2017年、たけつな小児科クリニックを開設。「すべては子どもたちのために」をモットーに、一般的な疾患からてんかんなどの神経疾患、食物アレルギーや喘息、日本でも数少ない小児頭痛を専門とするなど幅広い診療を行う。現在は病児保育室バンビを運営する他、児童発達支援施設「のびいく」で言語発達遅延の子どもに言語訓練を行う。趣味は神社参拝。
たけつな小児科クリニック
文・構成/HugKum編集部

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