平面図形のセンスや思考力は幼少期に育まれる!算数のプロ・大迫ちあき先生おすすめの「図形パズル」

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子どもが算数の平面図形問題に苦手意識を持たないためには、どんな教材を使うとよいのでしょうか。市販されている子ども向きの「図形パズル」はたくさんありますが、幼児期の子どもと親子で楽しめるおすすめのパズルを、幼児さんすう教室SPICA代表の大迫ちあき先生に教えてもらいました。幼児期から遊びのなかでさまざまな図形に慣れ親しめる、選りすぐりの図形パズルを紹介します。

手を動かしながら「楽しく試行錯誤」がポイント

「正解は一つではない」ことに気付ける図形パズル

どの家庭でも積み木やパズルなどの図形おもちゃはいくつかあると思います。でも「どんなふうに遊んで図形センスを身につければいいか」を考えて子どもへの声かけをしているご家庭は少ないのではないでしょうか。

子どもが図形センスを身につけるのは、算数の図形問題を正しく解くことだけが目的ではありません。例えば、図形パズルの四角形や三角形のピースを組み合わせて大きな三角形や四角形を作るという遊びを繰り返しているうちに、子どもはピースの大きさや組み合わせ方によって「正解が何通りもある」ことに気づくでしょう。

「‶答えは一通りではない〟というのが図形パズルのおもしろいところです。2+4=□ではなく、□+□=6のような問題を考えるのと似ています。答えが何通りもあることに気づけば、一つの答えで満足せずに‶ほかにどんな答えがあるのかな〟と考えを広げる多角的な視点や、‶ほかの答えも見つけるぞ〟という探求心、試行錯誤しながら考え続ける力も、図形パズルを通して身につけられる力です」と大迫先生。

一つの問題をいろんな角度からアプローチして解こうという姿勢は、社会に出てからも大事な力となります。図形パズルで楽しく遊びながら、その土台となる力が育まれるといいですね。

図形で何かを見立てる遊びでは、図形の向きを動かして眺めるきっかけになる

「クルクル動かしてごらん」といった声掛けを

図形パズルの知育玩具はたくさん種類があります。よくあるのはお題の絵やカードを見て何かに見立ててピースを並べる「見立て遊び」。図形を組み合わせて何かに見立てる創造力だけでなく、図形ピースの色々な向きに触れるチャンスでもあります。

見立て遊びでいちばん大事にしてほしいのは「この形を作るには、どのピースを組み合わせるとできるかな?」という声かけです。子どもが楽しみながら次々と作るなら子どものペースに任せて進めていいのですが、なかなか正解にたどりつけない子どもの場合は、すぐに答えを教えずに「(その三角形を)クルクル動かしてごらん」など、自分の手で図形を動かせるよう声をかけてあげてほしいのです。

子どもは慣れている向き以外の図形に弱い

「例えば子どもは三角形が下向きになっているだけで、それが三角形であると認識できないことも多くあります。四角形も正方形や長方形が水平に置かれていれば「四角形」と分かっても、斜めに置いてあったり角度が90度でない四角形を見たときに「?」となります。だから実際に手を動かして図形を動かしながら‶ああでもない、こうでもない〟とトライすることはとても大切です。

「子どもは図形をくるくる動かすうちに『あっ、この向きに置けばピッタリはまるんだ!』『こっちの向きにしたら○○に見える!』と気づいていきます。そうやって『自分の手を動かしたらできた』という実体験から得た達成感を大事にしてあげたいですね」と大迫先生は話します。

ここで紹介する図形パズルは、大迫先生がおすすめする「親子で楽しみながら、子ども考える力を刺激し、楽しく図形センスを育む」ものばかり。お気に入りの「思考力がつく図形パズル」をぜひ見つけてみてください。

「さんすうパズル」

厚紙でできた折り紙くらいの大きさの四角形を、いくつかの三角形や四角形に切り分けたパズル。パズルは【基本編】3枚、【応用編】3枚のセットがあり、それぞれに3冊ずつテキストがついています。パズルとテキストをバラで購入することもでき、「上級編」のテキストでは【基本編】【応用編】のパズルを使います。

問題は「この図形と同じ形になるように、三角形や四角形のピースを置いてみよう」というもので、難易度が少しずつ上がります。ピースをもとの形に戻すのも結構難しく、片づけるときでさえ図形感覚が身につくよう設計されています。何通りもの答えがある分、粘り強く考えなくては解けないので、詩恋力や図形の「見えない線」が見える力も自然と身につきます。

図形センスが自然に身につく算数パズル。正方形の中の線の通りに切り離し、問題に合わせてパズルを置いていく。(さんすうパズル・テキスト〈3冊〉基本セット/5500円:税込み 幼児さんすう総合研究所)
「あれ? うまく置けないよ!」右ページ「さんすうパズルテキスト【上級編】」をやってみたところ、おとなでも苦戦。試行錯誤するだけで図形の「見えない線」が見えてくるのがわかる。

https://spicamath.thebase.in/

「カタミノ」

立方体5つをさまざまな形に並べた12種類の形と色の違う木製のブロックを、いくつかのピースを組み合わせてボードの規定の大きさの四角形内に収めたり、さまざまな立体を作ったりして遊ぶ図形パズル。ボード内の仕切りを動かすことで、ピースを入れる広さを自由に変えることで難易度を調整できるので、子どもはもちろん大人も本気で楽しめる。フランス発の知育玩具で、世界中で親しまれている図形パズルの代表格。(カタミノ KATAMINO Gigamic ギガミック 木製パズル 日本語対応 税込み6160円 CAST JAPAN) 

「タングラム」

「タングラム」とは正方形の板を三角形5つ、四角形2つの計7つのパーツに切り分け、さまざまな形を作って遊ぶパズルのこと。パーツを組み合わせた「見立て遊び」は創造力を養い、達成感も得やすいのでおすすめ。素材や色、大きさの違うタングラムがたくさんあるなかで、このタングラムは白木のシンプルなデザインと、クリアケース入りなので持ち運びに便利なのが魅力。120種類の問題が掲載された問題集付き。想像力を働かせてて難しい問題にも挑戦したい(かつのう タングラム 税込み2200円 ハナヤマ)。 

「パターンブロック」

正三角形、正方形、正六角形、2種類のひし形、等脚台形の計6種類の木製ブロックが250ピース。図形によってカラフルに色分けされていて、それぞれのピースの辺の全て約2.5㎝、角度はどこも30度の倍数になっているので、組み合わせによって直線や円をつくったり、幾何学的な模様を作りやすい。厚みもあるので立体を作ったり、積み木遊びもできる。問題集「タスクカード」は少しずつ難易度が高くなっていて、自然と図形センスが養われる(PATTERN BLOCKS+【パターンブロックプラス 150ピース・オールカラータスクカード、立体積み上げシート、ブロック収納ポーチ付き】税込み5720円 東洋館出版社)

いかがでしたでしょうか。平面図形を理解するには手を動かし、図形で何かを見立てたりパズル遊びをしたりすると「見えない線」が見えてくるようになります。タングラムも図形ピースの積み木もいろいろなメーカーから発売されているので、ぜひチェックしてみてください。

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記事監修

大迫ちあきさん|幼児さんすう総合研究所代表
日本数学検定協会認定数学コーチャー、同協会幼児さんすうエグゼクティブインストラクター。大手個別指導塾で中学受験算数の担当講師等を経て、東京・恵比寿で未就学児対象の「幼児さんすうスクールSPICA®」を開講。同時に母親向きのお母様へのセミナー、イベント、ワークショップでも活動している。著書に『算数が出来る子の親がしていること』(PHP研究所子育て文庫 )などがある。ブログ
構成・文/船木麻里

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