兄と弟は”母親の愛”を奪い合う! ライバル意識を持つ「兄×弟」「姉×妹」はどう育てる?

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書籍『兄弟姉妹の心理学』の著者である心理カウンセラーの根本裕幸さんに、きょうだい関係における子どもたちの心理と、子育てのポイントをうかがいました。今回は「兄×弟」「姉×妹」という同性きょうだいのケースを取り上げます。意外な心理や、子どもの気持ちを高める声かけポイントなど、すぐに実践できるヒントがいっぱいです。

兄弟姉妹の関係が、子どもの性格をつくる!?

兄弟や姉妹の子育てをしていると、「兄はしっかりしているのに、弟はいつまでも甘えん坊だなぁ」「姉妹で全然性格が違ってびっくりする!」などと感じることはありませんか?

『兄弟姉妹の心理学』の著者である心理カウンセラーの根本裕幸先生は、「私たちの性格は兄弟姉妹の関係によっても作られている」といいます。もちろん親との関係や元々持っているキャラクターが違うので一概にはいえませんが、「よくあるパターン」があるのも事実。

そこで今回は、根本先生に同性のきょうだい(兄×弟、姉×妹)に起こりやすい心理パターンと、それを踏まえた子育てのポイントをうかがいました。
※2 人以上の兄弟姉妹で、特に性別を限定しない場合は「きょうだい」と表記しています

「兄×弟」で起こりやすい心理パターン

同性のきょうだいはライバル意識が芽生えやすい

根本さん:「兄×弟」や「姉×妹」など同性のきょうだいは何かと比較されやすく、お互いにライバル意識を持つことが多いのが特徴。「兄×弟」は取っ組み合いのケンカも日常茶飯事ですが、心理的には大好きな母親の愛を求めて争っているといえるでしょう。

そして、「兄×弟」の場合、「兄」はリーダーシップをとってヒーローを目指すようなタイプ、「弟」は母親を守るような優しさを持ったチャーマー(可愛がられる癒し的な存在)になる傾向があります。また、母親は兄を「理想のパートナー」として扱い、時には夫の代わりに兄を頼るようなことも。その一方で弟はいつまでも子ども扱いされがちです。

母親が「兄」に厳しくしすぎる傾向も

根本さん:母親が教育熱心なタイプの場合は特に、その関心は第一子である「兄」に向かいがちです。兄の方も弟が生まれてから愛情が奪われたと感じているので、優秀な子になって母の愛を取り戻そうという心理があります。そのため、無意識のうちに弟をライバル視して、人一倍頑張ろうとします。

それで結果が出れば良いのですが、失敗した場合、母親の期待に応えられない自分に失望し、母親への激しい反抗という形で現れることも。

子育てのポイントは、過干渉になるのを避けるとともに、兄にも弟にも「あなたの◯◯なところが良いね」と愛情を伝え続けることが大切です。

「姉×妹」で起こりやすい心理パターン

姉妹のバトルで生まれた感情を、大人になっても引きずることも

根本さん:「兄×弟」と同様に、同性のきょうだいなのでライバルになりやすいのですが、早く生まれた姉の方が、当然、何でもできるため、妹は何とか追いつこうと頑張ります。幼い頃の方がより顕著で、姉と同じことができないと癇癪を起こすという場面もよくあるでしょう。このような経験から、妹としては「いつも自分は姉に負けている」という劣等感を抱くことも。この感情は大人になっても引きずっていることがよくあります。

反対に姉の方から見ると、妹は脅威そのもの。いつも追いかけられているような恐怖が、大人になっても思考のくせとなり、同性に対してライバル心を抱きやすかったり、相手を警戒してなかなか心を開けないということもあるのです。

母と姉妹で「3姉妹」になると、夫婦関係が変わることもあるので注意

根本さん:兄弟とは異なり、姉妹の中に母親も加わって「3人姉妹」のように仲良しな関係になることもよくあります。それ自体は悪いことではなく、子どもにとっては居心地がよくて何でも話せるというメリットが多いといえます。

ただし、夫婦関係が変わってしまうこともあるので要注意。父親と3姉妹のような構図になると、父親(夫)は家の中に居場所がなくなり、夫婦関係が崩れてしまうことも少なくありません。
このようなことを避けるためには、母親は心の中では娘との関係に一線を引き、夫婦の時間を意識的にとるようにしてみてください。

「兄×弟」や「姉×妹」の子育てで気をつけたいこと

「上の子が好きなものは、下の子も好き」と決めつけない

根本さん:同性である兄弟や姉妹は必然的に洋服や、おもちゃなどのお下がりが増えます。それは自然なことですが、親が「お兄ちゃんが電車好きだから、弟も好きでしょう」「お姉ちゃんがプリンセスが好きだから、妹もヒラヒラのスカートなら喜んでくれるはず」と同じように考えてしまうのは危険です。

上の子と下の子は全く別の個性があり、好きな食べ物も遊び方も、見たい番組も違います。このことを意識しておくだけでも、弟としては「自分のことを理解してもらえている」と感じられるでしょう。

もちろん弟も兄と同じものが好きな場合もあります。それでも、「お兄ちゃんと同じね」というのではなく、「◯◯くん(弟)は電車が好きなんだね」と分けて捉えてあげてください。また、ときにはお下がりではなく好きなものを選ばせてあげるという経験もさせてあげたいものです。

主語を明確にして、子どもの良いところを伝えることが大切

根本さん:同性のきょうだいは、とにかくライバル心が強いのが特徴。そのため、「お兄ちゃんはできたのに、◯◯くん(弟)は何でできないの?」「お姉ちゃんより妹の方が美人さんだね」のような比較はNGです。
「兄×弟」のところでも述べましたが、ちゃんと一人一人を見て、「あなたのこういう部分がいいね」「あなたにはこんな魅力があるね」と主語を明確にして伝えてあげましょう。

また、これは同性のきょうだいに限らずですが、子育ての経験で「はじめて」のことが多い一人目の子どもに比べて、二人目以降の子どもは写真も少なくなりがちです。下の子の「ソロ写真」も定期的に撮ってあげることで、子どもが大きくなったときにも「大事にされていたんだ」と実感できるでしょう。

きょうだいの心理を知って、子育てに役立てよう

今回は同性の兄弟・姉妹の心理についてうかがいました。もちろん子ども一人一人によって考え方も行動も違いますが、傾向を知っておくだけでも子どもの行動を理解する助けとなり、声かけのポイントがわかってくるのではないでしょうか。

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兄弟姉妹の心理学

お話をうかがったのは

根本裕幸|心理カウンセラー
1997年より神戸メンタルサービス代表・平準司氏に師事。2000年、プロカウンセラーとしてデビュー。以来、述べ15000本以上のカウンセリングをこなす。2001年、カウンセリングサービス設立に寄与。以来、14年間企画・運営に従事。2003年から年間100本以上の講座やセミナーをこなす。2015年3月独立。フリーのカウンセラー/講師/作家として活動を始める。ベストセラーになった「敏感すぎるあなたが7日間で自己肯定感をあげる方法」(あさ出版)、『人のために頑張りすぎて疲れた時に読む本』(大和書房)、『いつも自分のせいにする罪悪感がすーっと消えてなくなる本』(ディスカバー21)をはじめ、著書多数。
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文・構成/平丸真梨子

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