読解力がないと国語だけでなく算数も苦手な子に…。文章題を克服する「すぐ実践できる」3つのポイントとは

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算数のつまずきとなりやすい「文章問題」。苦手意識を克服し学力をアップさせる方法について、タブレット教材を展開する RISU Japan 代表・今木智隆さんに訊きました。10億件の学習データから考察する家庭での取り組みについて解説してもらいます。

「式が与えられている計算問題はサクサク解き進めるものの、文章問題になると途端に苦戦してしまう…。」

このように、子どもが文章問題につまずいてしまうという相談は多く、統計的な調査でも「文章問題が嫌い」という子どもの声が挙がっています。

「でも、算数はとにかく計算ができれば良いんですよね?」「計算力があるから大丈夫!」と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、「計算が速くできる=算数が得意」というのは実は大きな間違い。本来の算数の目的は、ただ速く問題を解くことではなく、「考えて導き出すこと」にあります。

つまり、文章問題は「考える力」や「将来の思考力」の土台となる重要なものですので、決して蔑ろにはできません。

「速く解くことこそが良い」という思い込み

なぜ子どもたちは「速く計算することが良い」と思い込んでしまうのでしょうか?

過去記事でも触れていますが、まず日本では算数の勉強方法の多くが「たくさんの問題を速く解く」という「計算力」をベースとしています。淡々と計算を解いていくことを目的とした学習塾のカリキュラムや算数ドリルは人気があり、多くの親御さんも「計算力=算数力」という勘違いをしているのです。

小学生の子どもたちも、年齢的に競争心があります。そのため、とにかく速く解こうとしてしまい、「文章問題は時間がかかるから邪魔」「言葉の引っかけがあるからイヤ」と苦手意識が生まれてしまうのです。

「計算は早く解かねば」と間違った思い込みをしてしまう原因は以下の4点です。

・大量の計算をスピード重視で取り組ませる

・計算ばかりをさせる環境を与える(塾や教材など)

・速くできたことを褒められる

・勉強中に手が止まると、「分からないの?」と親御さんが気にする

確かに、受験することを考えれば計算が速いことは試験時間において有利になることもあるでしょう。しかし、最近では問題文が長いものも多く出題されており配点が高いのも事実です。

問題に対してきちんと考えることこそ、「真の算数の力」を磨いていくということでもあります。

▼参考記事はこちら

計算が速い友達が羨ましい…。わが子の計算力に不安があります【算数教育のプロがアドバイス】
「友達は計算が得意で速くてね、塾では中学校でやる方程式っていうのを解いてるんだって~!!  すごいよね」 お友達から聞いた話を羨ましが...

文章問題で身につく「考える力」とは?

問題解決する力とは?

これからは「思考力重視」という世の中の流れもあります。他者とのコミュニケーションをはじめ、計画的に物事を進めていくためにも、ますます考える力は必要なスキルとなるでしょう。社会に出たときも、なんとなく考える・なんとなく聞くというような態度では通用しません。

では、文章問題に取り組むことで、どのようにしてこの考える力が身につくのでしょうか?

「プロセスに沿って進んでいく=問題解決能力」

文章問題は以下の3つのプロセスに分かれます。

①問題を読み理解する
②式を立てる
③解く

これをさらに視点を引いて見ると、

①現状把握
②方法を考える
③解決する

と言い換えることができます。

これはすなわち、日常生活にも起こる「問題解決」をするときと同じと言えるでしょう。

計算力重視の勉強法はプロセスの③を繰り返している、ということになります。計算問題をひたすら解くだけでは身につきません。よって、文章問題にきちんと取り組むことこそが「考える力」を育てることに繋がります。

スピード重視をやめさせ、文章問題の苦手を克服する3つのポイント

では、どのように文章問題を克服していけばいいのでしょうか?  ポイントを3つご紹介します。

1)問題を音読

まず、子ども自身が焦らずに落ち着いてしっかりと問題を理解できることが大切です。これには、音読がいちばん効果があります。

このときのポイントは、読み間違いはすぐに訂正させ、最後までしっかりと音読させるということ。飛ばし読みをさせないことで、ほとんどの子は文章の中にある重要なキーワードを見つける力が身につき問題を解けるようになります。

 2)答えに何を求められているのかを明確にさせる

面積なのか周りの長さなのか、全体の個数か特定のものの個数か…。音読することにより見つけたキーワードをもとに、最終的に何を求められているのかを明確にさせましょう。

文章問題が苦手な子どもの多くは、数字がいくつか出てきたところで反射的に答えを出そうとしてしまう傾向があります。もし計算を始めようとしたら、「この問題は何を聞かれているの?」と確認してあげることも必要です。

3)式だけを立てさせる

冒頭でも触れたように、文章問題の大切な目的は計算を解くことではなく、どのように問題を解決していくのかというプロセスを考えることが目的です。計算が得意な子であれば、式だけを立てさせるのも充分なトレーニングになります。

その際、「どう文章を解釈して、どのような考えから式を導き出したのか」と子どもに説明をさせるのも効果的です。

また、「計算はしなくていいよ」と伝えることで子ども自身の目的も式を立てることに定まり、文章に集中し考えることに慣れていきます。

文章問題以外でも取り入れたい習慣

算数だと身構えてしまう子でしたら、文章という点で本を読むこともトレーニングになります。文章に対する苦手意識を減らし子ども自身が楽しめるよう、まずは興味のあるもの・好きなものの内容の本で構いません。

また、普段から主語・述語を意識した会話をすることも効果があります。「〇〇をして遊んだんだね」「そのあとはどうなったのかな?」など、子どもが小さいうちは確認の声かけをしてあげるのもいいですね。

テレビや動画もただ流すだけ・見せっぱなしにするのではなく、会話に繋げるようにしましょう。

たくさんの文章や言葉に触れる機会は日常にたくさんあり、知識の吸収力が高い小学生の年代がまさにチャンスです。ぜひ意識して、上手く利用してみてくださいね。

日常から「文章」に触れる機会を

文章問題で培った力は、将来算数以外でも役に立つ

今の時点で文章問題につまずいてしまっているとしても焦ることはありません。間違えてしまったときは決して叱らず、文章をきちんと読みキーワードを見つけていく基礎をトレーニングするきっかけとして捉えましょう。

ここで身についた基礎の力は、算数以外の教科の文章問題でも役立ちます。多くの情報であふれ、IT技術が進んでいる現代。速い計算処理はほとんど機械が行う今、人間に求められるのは高い思考力です。

子どもたちが成長し大人になる頃には、必要な情報を選ぶこと・さらなる問題解決能力が求められることもあるでしょう。そのときもやはり培ってきた力が、しっかりと状況を把握して物事を計画的に進めていく助けになります。

まず、スピード重視をやめさせること、そして基礎的な文章問題をしっかりと解き、考える力をつけていくこと

ぜひ今日から第一歩として、今回ご紹介したポイントをおさえて文章問題に取り組んでみてください。

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記事執筆

今木智隆|RISU Japan株式会社代表取締役
京都大学大学院エネルギー科学研究科修了。ユーザー行動調査・デジタルマーケティングのbeBitにて国内コンサルティング統括責任者を経験後、2014年、RISU Japan株式会社を設立。小学生の算数のタブレット学習教材で、延べ10億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムを考案。国内はもちろん、シリコンバレーのスクール等からも算数やAI指導のオファーが殺到している。

〈タブレット教材「RISU算数」とは〉

「RISU算数」はひとりひとりの学習データを分析し、最適な問題を出題するタブレット教材。タイミングの良い復習や、つまずいた際には動画での解説の配信を行うことにより、苦手を克服し得意を伸ばします。

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構成/HugKum編集部

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