一度見始めるとついつい長くなってしまうYouTubeなどの動画視聴。大人の私達も経験がありますよね。興味のあるテーマを次々と表示してくれるシステムはよくできたものだと感心してしまいます。
子ども達にとっても魅力いっぱいのYouTube。親心としては「勉強もそれぐらい熱心に取り組んでくれたらいいのに」と思いますが、動画サイトと上手に付き合うにはどのような点に気を付ければよいでしょうか。
目次
どうしてYouTubeに夢中になるの?
私達がYouTubeに夢中になるのはどうしてでしょうか。そこには動画が持つ情報量にもひとつの要因がありそうです。
動画の持つ情報量は、情報をテキストで伝える場合と比べ5000倍の情報量を持っていると言われています。1分間の動画は、テキストに換算すると180万単語、3600ページ分のwebページに匹敵する情報量になるのです。
また、アメリカの心理学者であるアルバート・メラビアンが提唱した「メラビアンの法則」によれば、話し手が聞き手に与える影響は視覚情報が55%、聴覚情報が38%、言語情報が7%の割合であるとされています。映像・音声・字幕の揃ったYouTube動画は、まさにメラビアンの法則にのっとった媒体であると言えるでしょう。
YouTubeなどの動画視聴は、本を読むなどの方法に比べ5000倍の情報量をメラビアンの法則そのままに私達の脳に届けていたのですから、大人も子どもも、つい夢中になってしまうわけですね。
その集中力を勉強でも発揮してくれたらいいのに!
YouTubeばかりに夢中なお子さんに対しておうちの方が思うのは、「もう! それぐらい集中して勉強にも取り組んでくれたらいいのに!」ということかもしれませんね。
そんなお子さんがYouTubeに夢中になっているときに起きているのが、「カクテルパーティー効果」です。カクテルパーティー効果とは、例えばカクテルパーティーのようなザワザワした雑踏の中でも、人間は自分が聴きたい情報を聴き分けて会話できる能力がある、というものです。
お子さんが周りの会話や生活音を気にせず動画に集中しているということは、それだけ動画に興味があり、その情報を選択して聴き入っているということでしょう。
勉強でも興味がある分野ではカクテルパーティー効果が起きるかもしれませんが、例えば面倒くさいなと思いながら興味のない宿題をやっているときは、なかなか集中モードにならないことも納得できます。
おもしろいことに、カクテルパーティー効果では聴きたい情報をパーティーの雑音から分離できるだけでなく、それまで聴こうとしていなかった情報でも、例えばざわつきの中に自分の名前や関心がある単語が登場すると、それらが急に聴こえてくることも知られています。だから子ども達は、どんなにYouTubeに夢中でも「おやつだよ!」の声は都合よくちゃんと聞こえるのかもしれませんね。
YouTubeは興味を引き出す道具として考えてみる
そんなYouTubeの特徴を踏まえて、どう上手に付き合い、学習に活かすといいかを考えてみましょう。
よい距離感としては、YouTubeをお子さんの「興味を引き出す道具」として捉えてみるのが良いでしょう。知らないことを知ることは、お子さんの新しい世界を広げ、もっと知りたい気持ちを大きくします。
動画のいいところは、実際に動いている様子を見られるところ。そして、分からなかったところや気になるところは、ちょっと戻して何度でも繰り返し確認できることもメリットです。
昆虫の羽化する様子などは、自然観察をしていてもなかなかタイミングよく見られるものではありません。動画であれば、図鑑で写真を見るよりも、もっとリアルな情報を知ることができます。料理や折り紙のように手順を見せたり、鉄棒や水泳のような動きのお手本も、言葉で説明するより「こうする」と動画で見るほうがずっと分かりやすいですね。
学習動画にこだわる必要はありません
YouTubeは子どもの興味を引き出す道具として大変便利なものですが、だからと言って、学習動画にこだわる必要はありません。
机の上で紙と鉛筆でやるだけが勉強ではないように、遊びの延長で学べることはたくさんあります。動画も同じで、あからさまな学習動画でなくても、子どもは色々な動画から見て学び、興味を広げます。
「これはどういう意味だろう?」
「なんでこうなるんだろう?」
「どうやったら自分でもできるのかな?」
そんなちょっとした疑問が、次につながる「学びの種」になるのです。
YouTubeと上手に付き合う3か条
YouTubeと上手に付き合うためには、動画を見てばかりにならないよう、あらかじめルールを決めておくことが大切です。例えば次のような3か条を心がけてみましょう。
学習時間にはカウントしない
1日どれぐらいの学習時間を確保するかは各ご家庭の方針によって違うと思いますが、YouTubeの視聴時間は学習時間には含めないようにしましょう。
確かに勉強を教える動画もあります。しかし視聴しているだけでは、子どもは分かった気にはなりますが、実際に問題を解いてみてちゃんと解けるかは別問題です。
YouTubeの視聴は学習時間とは分けるようにし、学習の息抜きや、興味を広げる楽しい時間として扱いましょう。お家の方が視聴する動画を決めたりせずに、ある程度お子さんの興味に任せつつ、メリハリをつけて学習の息抜きや、興味を広げる楽しい時間とすれば有効です。
先に視聴時間を決めておく
何を見るかはお子さんに委ねてかまいませんが、視聴時間については「1回何分まで」「1日何時間まで」のように、あらかじめ子どもとルールを決めておきましょう。動画を見るときには毎回「何時何分までね」と確認するか、タイマーをセットしてアラームが鳴るようにします。
視聴時間が決められていれば、子どもはYouTubeからのおすすめ動画や自動再生にまかせてダラダラ見るのはもったいないと考えるようになります。限られた時間で自分の興味のあるものを見ようとするので、受け身ではなく能動的に動画を見るようになります。
ご機嫌取りに使わない
これはお家の方の心がけとなりますが、YouTubeを子どものご機嫌取りに使わないようにしましょう。ごねてみたらYouTubeを見せてもらえた、という流れができあがってしまうと、お子さんはまた同じようにすればYouTubeが見られると思い込んでしまいます。
お子さん自身がやるべきことをやらなくなってしまうことにつながるので、YouTubeを見られる時間はルールとして決めるようにして、親や子どもの気分次第で視聴ルールがころころ変わることがないように注意しましょう。
まとめ:YouTubeで得た知識を活かすには
YouTubeで得た知識をもっと定着させるには、情報を「インプット」したあとの「アウトプット」を意識することです。
アメリカ国立訓練研究所の研究によると、学習方法と平均学習定着率の関係は「ラーニングピラミッド」という図で表すことができます。ラーニングピラミッドを見ると、ピラミッドの下に行くほど定着率が高いことがわかります。
このうちYouTubeは視聴覚での学習となり、定着率は20%となっていますが、ピラミッドの下段にあるような「他人と議論する」「実践する」「他人に教える」などの行動で、インプットした情報をアウトプットすれば学習の定着率は大きくアップします。
例えば動物について動画を見たあとに動物園に行って触れ合ったり、動画を見ながら料理や折り紙を実際に作ってみたりすれば、得た知識はより確実に子どもの力となります。
最も効果があるのは、得た知識を「他人に教えること」です。ですので、お家の方はお子さんからYouTubeを遠ざけようとするよりも、積極的にお子さんの見ている動画に興味を持って、「何を見ているの?」「どんな内容だった?」「今の動画、ストーリーを聞かせて?」など、お子さんがお家の方に“教える”ような、アウトプットにつながる声掛けを取り入れてみることが大切です。
親子で楽しく、YouTubeを学びにつなげてみましょう。
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構成/HugKum編集部