同じ字を3つ並べた漢字「ピラミッド漢字」は、どうして生まれたか
漢字には「品」「森」「轟」のように、同じ字を3つ並べた漢字がたくさんあります。
どうしてこのような漢字が生まれたのでしょうか?
このような漢字は「品字様(ひんじよう)」と呼ばれています。
平安時代に編纂(へんさん)された現存する日本最古の漢和字書『新撰字鏡(しんせんじきょう)』に、「品字様」としてこのような漢字の例が示されています。たとえば、「贔」「毳」「姦」「磊」といった漢字です。「品字様」というのは、おそらく「品」のような漢字、といった『新撰字鏡』独自の呼び名だったのでしょう。
最近では放送作家の倉本美津留さんが、このような漢字を「ピラミッド漢字」と名付けました。とてもわかりやすい呼び名だと思います。
この「ピラミッド漢字」はどうして生まれたのでしょうか。
同じ漢字を3つ重ねると、多い、重なる、集まる、という意味合いになる
ご想像の通り、同じ漢字を三つ重ねると、「多い」「重なる」「集まる」という意味合いとなるからです。
『新撰字鏡』で示された漢字で説明してみましょう。
・「贔」
「ヒ」と読みます。「貝」は宝の意味で、これを3つ合わせて力強いという意味となります。ふつう「贔屓」という熟語で使われ、ヒイキと読んでいますが、これはヒキが変化した読み方です。
・「毳」
セイ、ゼイと読みます。密生したやわらかい獣毛を表しています。
・「姦」
カンと読みます。男女のみだらな関係やよこしまであるという意味を表しています。
・「磊」
ライと読みます。石が重なり合ったようすを表しています。
ピラミッド漢字で一番画数が多い漢字とは
ちなみに、「ピラミッド漢字」でいちばん画数が多い漢字は「龘」です。
「龘」
「トウ」と読み、龍が行くさまという意味です。なんと48画もあります!