「食にまつわる会話」と「ちょこっと手伝い」。幼児の食育ってこんなに簡単だった!【モンテッソーリ教師監修】

「好き嫌いが多い」「食が細い」など「食」に関して悩みが尽きない2~4歳児。でも、親子で楽しむ方法を知れば、子どもの食への興味はどんどん広がっていきます。
今回は、つい大げさにとらえがちな「食育」について、「いっしょに料理プロセスを楽しむ」観点から紹介します。

食にまつわる親子の会話が「食育」につながる

「食育」と聞くと、何か特別なことをしなければと身構えてしまう方もいますよね。でも、毎日必ずある食事だからこそ、「これをやろう!」と力まなくて大丈夫。親子で食を楽しむ行為のすべてが「食育」につながっていきます。

食を楽しむチャンスは食事の時間以外にもたくさんあります。例えば一緒に買い物に行って「春はたけのこの季節なんだよ。これがたけのこだよ」と旬の野菜を実際に見る、野菜や食べ物の図鑑を一緒に読む。また、動物園に出かけて「ぞうってどんなものを食べてると思う?」と話して調べてみるなど、食にまつわる親子のコミュニケーションすべてが「食育」なのです。

親子で一緒に料理をすると食への興味が広がります

忙しい育児中に親子時間を楽しむコツは、子どもを料理に巻き込み「一緒に料理をすること」だと思います。

いきなり材料を切ったり焼いたりしなくても、調理の簡単な作業なら2歳ごろからできますし、調理そのものでなく、配膳をお願いするのも、味見して感想を聞かせてもらうのも、一緒にやれば遊び感覚で楽しく取り組めます。

また、食事の準備は慌ただしいことが多いですが、おやつの時間なら大人も比較的時間や気持ちに余裕があると思うので、おやつに食べるものから一緒に料理を始めてみるのもおすすめ。親子で楽しみながら取り組むことが、子どもの興味の広がりにもつながります。

2~4歳児の食の悩み、どうしたらいい?

Q.苦手な食材が多いです。食の好みを広げるには?

A.まずは親がおいしそうに食べる姿を見せたり、食材への興味を育みながら「食べたい」と思う気持ちを育てていきましょう。成長とともに味覚も変化して食べられるようになる食材も多いので、あせらなくても大丈夫です!

Q.食が細く、すぐ飽きてしまいます。

A.親としてはたくさん食べてほしいと思うところですが、まずは目の前のわが子を観察してほしいです。お腹を空かせている様子がなく、よく寝て元気よく過ごしているのならそこまで心配しなくても大丈夫。食が細いことも子どもの個性として受け止められるといいですね。

Q.仕事をしているので料理に時間をかけられません。

A.毎日子どものために食事を用意していることが十分「食育」です。市販品も活用して「楽しく食べる時間」を大切にしてください。心がけるとしたら、冷凍食品を食べる時には「冷凍でこんなものが作れるってすごいね。どんな技術なんだろう?」など、食べるものに関する話をしてみましょう。

親子で作る、食べるを楽しむ方法

親子での食の楽しみ方としておすすめしたいのが、一緒に料理をすること。幼児の親子料理のポイントをご紹介します。

道具のそろえ方

基本グッズ

作業場所はキッチンではなく、ダイニングテーブルなど子どもが安定して座れる場所でOK。ランチョンマットやトレーを置いて作業スペースを明確にします。

プラスチック製の小型ボウルは、作業前と作業後の食材を分けて入れるために、いくつか用意を。

使いやすい道具

子どもが扱いやすい道具を準備。ピーラーも握りやすいものを選べば使えます。100円ショップや雑貨店等にある小さめサイズのもので構いません。

子どもの手に馴染むものを選びましょう。

包丁へのステップ

最初はバターナイフで刃物の扱い方、切る作業を学びます。刃と柄の色が異なるものを選ぶと、握る部分がわかりやすくて安全です。

まずはバナナやいちごのカットから。扱い方が身についてきたらステーキナイフに移行。さらに上達し、「包丁を使いたい!」という気持ちが芽生えたら小型の包丁に進みます。

使う時は…

まな板を置いた奥に刃物置き場を作ります。たたんだガーゼなどを刃物置き場にして、使い終わったら、刃を自分と反対側に向けて必ずここに置くことを習慣づけます。バターナイフの段階からこのセッティングを身につけて。

年齢別おすすめ作業

2歳:手をたくさん使う作業を

2歳ごろは手をたくさん使う作業で感覚刺激を楽しんでもらいたいです。キャベツをちぎる、トマトのへたを取る、きのこをさくなど、手でできる作業は意外とたくさんあるものです。こねたりもんだりするような作業もいいですね。

遊びの延長として手を使う作業をたくさん経験すると、だんだん手先が器用に使えるようになっていきます。

3歳:道具を使って作業に挑戦!

2歳半から3歳ごろになると手先が器用になり、道具が扱えるようになっていきます。スプーンですくう、トングで食材をつかむ、ピーラーで皮をむく、泡だて器で混ぜるなどいろいろなことができるように。まだ包丁を使えなくても、はさみで葉物野菜や油揚げなど食材のカットもできます。

手指だけでなく腕や体全体を使うことで、体幹のトレーニングにもなります。

4歳:工程のある作業に挑戦

論理的思考力が発達してくる年齢なので、切る、混ぜるなど、ひとつの作業で終わりではなく、「次はどうするの?」が気になるようになります。

キャベツをちぎって、塩もみをして、ゴマをかけて、キャベツの塩もみを作るなど、一品を完成させることもできます。できる作業が増え、集中力もついてきたら、工程のある作業に挑戦していきましょう。

環境づくり

調味料は見えやすい容器に入れ替える

かつおぶしやゴマなどは透明で口の広いびんに入れ替えるのがおすすめです。中身が見えると、どんなものから料理ができるのかわかりますし、口が広いと、スプーンで調味料をすくう時にこぼしにくくなります。

子どもに「おひたしにゴマをかけて」「お好み焼きにかつおぶしをのせて」とお願いしてみましょう。

「量る」もおすすめの作業

4歳くらいになり、数への興味が高まったら、計量スプーンや計量カップを使って量る作業もお願いできます。

小麦粉や砂糖など量る機会が多い粉類も、びんに入れ替えておくと作業がしやすいです。

子どもが扱えるものを集めた引き出しを作る

手が届く高さの引き出しに、子どもが使う道具や食器を集めておきます。作業をする時にはそこから取り出してもらうようにすれば、準備も自分でできるように。食器の配膳をお願いしてもよいでしょう。

「食べ物」を育てる経験も

種や苗から野菜を育てるのは忙しい中ではなかなか難しいもの。切り取った大根の葉っぱ、せりや豆苗の根の部分などを水につける再生栽培を楽しんでみませんか。成長の様子を観察し、少し葉がのびてきたら毎日の食事に添えてみましょう。

「一時置き場」を設置する

食べ終わった食器を下げるのも、食事にまつわる作業。できれば幼児期から身につけたいですね。

キッチンのシンクまで持ってくるのが難しいなら、手の届きやすいところに洗いおけなどを置き、そこに下げてもらいます。

料理がもっと楽しくなる声かけ

発達の段階にあわせた声かけを

2歳は感覚と言葉をひもづける時期。「やわらかいね」「冷たいね」など手を通して伝わってくる感覚をそのまま声かけにしましょう。

3歳は本人が成長を感じられるように、新しくできたことを伝えます。

4歳は社会性の発達とともに誰か(他人)の役に立ちたいと感じる時期。「ありがとう」など感謝を伝える言葉かけを。

2歳向け:キャベツ冷たかったね。しめじはふわふわだね。

3歳向け:今日は皮をむくのも混ぜるのもできたね。

4歳向け:おいしかったよ、ありがとう。

乗り気でない子に手伝ってほしい時

やりたいこととリンクするものを提案

年齢が上がってくると、親からの誘いより自分がやりたいことが優先になるでしょう。切る遊びが好きならはさみで食材のカット、粘土遊びが好きなら生地をこねるなど、本人がその時興味を持っていること、楽しんでいることを料理と結びつけて、誘ってみましょう。

例:これ、はさみで切ってもらえない?

子どもの「やりたい!」を断る時

希望を叶えられる時を約束します

大人が疲れている、時間がない時は、無理せず断ってOK。がまんする心を育てるチャンスです。

代わりに、いつなら子どもの「やりたい!」を叶えられるのか、「明日なら」「休みの日なら」とできる機会を伝えます。

例:土曜日だったらできるから、お願いね。

 

教えてくれたのは

いしづかかな先生
AMI公認国際モンテッソーリ教師の資格を持つ母。食の大切さ、親子で過ごす楽しい時間に重きを置く中で2人の子どもたちと「親子料理」を行う。親子料理教室「kids kitchen atelierデキタヨ!」を主宰。

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