絵本「ごんぎつね」の魅力|イラストが人気の名作あらすじとおすすめポイント。「新美南吉記念館」の紹介も!

読書アドバイザーの児玉ひろ美さんが、美しいイラストが人気の絵本「ごんぎつね」を紹介します。小学校の学習指導教材としても有名な「ごんぎつね」をあらすじ付きで徹底解説。さらに原作者の“新美南吉記念館”の魅力も。

美しいイラストが人気!絵本「ごんぎつね」のおすすめポイント

【1】『ごんぎつね(日本の童話名作選)』

新美南吉, 黒井健/著者, 編集 偕成社

◆あらすじ

村の茂平から聞いた話を語るという、入れ子式で物語は展開します。十兵衛が病気の母のために捕ったウナギを、ごんぎつねはいたずら心からふいにしてしまいます。のちに、母親の葬儀を知ったごんぎつねは、自分のいたずらを深く後悔し、自分と同じように一人ぼっちになった十兵衛のために、栗やマツタケをそっと届けるようになります。ところが…

◆こんな本

小学校4年の国語教科書にも長年掲載され、日本人の多くが知っている物語です。初出は雑誌『赤い鳥』1932年1月号ですから、もう90年近くも読み継がれていることになります。検索すると、絵本だけでも15種類以上の作品がヒットしますが、本書は、その絵の美しさ・物語の季節感や世界観において、安心して子どもに手渡せるお薦めの1冊です。

◆読み聞かせのコツ

茂平の伝聞であることを意識して、語り掛けるように読んでください。長いお話ですので7分から10分程度かかりますが、お話の展開が子どもを引き付けますので大丈夫。時間にゆとりを持って丁寧に読んでください。ご家庭での読み聞かせは「物語を楽しむ」ことが大切です。国語の授業のように質問魔にならず、子どもの自発的な言葉を受けとめてあげましょう。

 


教えてくれたのは

児玉ひろ美|JPIC読書アドバイザー・台東区立中央図書館司書

JPIC読書アドバイザー 台東区立中央図書館非常勤司書。日本全国を飛び回って、絵本や読み聞かせのすばらしさと上手な読み聞かせのアドバイスを、保育者はじめ親子に広めている。鎌倉女子大学短期大学部非常勤講師など、幅広く活躍。近著に『0~5歳 子どもを育てる「読み聞かせ」実践ガイド』(小学館)。

絵本「ごんぎつね」原作者“新美南吉記念館”

「新美南吉記念館」愛知県半田市

芝生で覆われた波打つような屋根のシルエット。そのユニークな建物が目を引く、新美南吉記念館は愛知県半田市出身の児童文学者、新美南吉(にいみなんきち・1913-1943)の顕彰を目的に半田市によって平成6年に設立された記念文学館。
新美南吉は、童話「ごんぎつね」「手袋を買いに」の作者として知られていますが、その他にもたくさんの童話や童謡、小説、戯曲、俳句、短歌などを書き残しています。

展示室では、南吉文学の世界を作者の生涯とともに紹介。作品原稿、日記、手紙などの資料、ビデオシアターと視聴覚コーナーなど、子供や南吉の文学に接する方にもわかりやすい展示となっています。「ごんぎつね」「手袋を買いに」等のストーリーを模型で紹介するジオラマ展示は、まるで絵本の世界に入り込んだかのよう。

また、記念館の周辺には、南吉の生家、養家、作品の舞台になった山川、社寺、彼が学んだ学校などがあり、それらを巡る文学散歩コースも整備されているので、展示を楽しんだ後は作者のことを思いながら散歩をしてみるのもいいですね!

施設名:新美南吉記念館
住所:愛知県半田市岩滑(やなべ)西町1‐10‐1
電話番号:0569-26-4888
開館時間:9:30~17:30
休館日:毎週月曜日・毎月第2火曜日(祝日又は振替休日のときは開館し、その翌日が休館になります)・年末年始
観覧料:210円(中学生以下無料)、団体170円(20名以上)
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