担任の先生の1日の過ごし方、大公開!
これから子どもがお世話になる先生は、毎日どんなことをしているの?授業はもちろん、子どもが楽しく通えるようにサポートする先生のお仕事ぶりを大紹介します。
例:小学校1年生の担任の1日
【6:00 起床】
【7:30 出勤】
1年生の担任は、校門や玄関口で子どもたちを迎えるために、ほかの学年の先生たちよりも早めに出勤して、授業の準備を済ませます。
【8:15 児童登校】
先生は元気よく挨拶し、子どもたちが朝から気持ちのよい1日を過ごせるように、心を配ります。
【8:20 打ち合わせ】
学校全体や学年で、今日1日の活動を確認します。感染症の流行や、欠席状況などの情報も共有します。
【8:30 朝会・朝学習】
【 1・2時間目 】
立つ、座る、返事のしかた、手の挙げかた、話の聞きかたなどを繰り返し教えながら授業を進めます。
【10:30 中休み】
【 3・4時間目 】
【12:30 給食】
まずは担任が1人分の量と盛りつけの見本を示してから、子どもたちが配膳。全員で「いただきます」をして一斉に食べ始めます。担任は早目に食べ終えて、残りの時間で宿題や連絡帳のチェックをします。
【13:00 掃除】
担任は子どもたちと一緒に掃除をします。ほうきの使いかたやぞうきんの絞りかた、拭きかたなど、そうじの基本的な動作を教えます。
【 昼休み 】
掃除に時間がかかると、昼休みが短くなることも。時間があれば、先生が積極的に遊びに誘います。
【15:00 下校指導】
通学路の方角や通学班などに分かれて先生が引率し、入学後しばらくは途中まで見送ります。
【16:00 各種会議】
【 学年会 】
1学年の担任が集まり、学年行事、授業の進み具合や子どもたちのことなどの情報を共有します。
【 学級事務 】
終わらなかった丸つけ、明日の授業や朝学習の準備、宿題プリントやおたよりの作成など、学級事務を行います。
【 退勤 】
帰宅後は、教材研究など授業の準備をしてから、翌朝も笑顔で子どもたちを迎えられるように体を休めます。
【23:00 就寝】
※ここで紹介した内容は一例です。学校や先生によってスケジュール・仕事は異なります。
休み時間は…
入学後すぐは、自分から誘えない子も多く、子どもたちだけでは遊べないので、担任が中心になって遊びます。 担任にとっては、子どもたちそれぞれの個性を知ることができます。
登校から下校まで、子どもたちとずっと一緒
上のタイムスケジュールを見てもわかるように、小学校の担任の先生は、登校から下校まで、ずっと子どもたちと過ごします。初めての学校生活で不安にならないよう、細心の注意を払います。まとまった休憩時間が取れないので、なかなかトイレに行くことができず、膀胱炎になる先生も!
プリントや宿題は隙間の時間をフル活用
宿題で間違ったところはなるべく早く復習してほしいもの。少しでも早く返そうと、時間が少しでも空けばチェックしています。例えば、文字の「とめ」「はね」などを、クラス30人分、一人ひとりを見ていくのには、とても時間がかかります。
隙間の時間は、給食や掃除が早く済んだときくらい。先生は1分でも無駄にはしません。
もっと知りたい!!先生への7つのギモン
夏休み、冬休みは? 研修って? 校長先生と教頭先生の仕事は……!? 小学生ママが感じる疑問に、現役先生が答えます。
Q.1 ベテラン先生と若手先生、どんな違いがありますか?
ベテラン先生は経験があるからこそ、絶妙な声かけで子どもの心をつかむのが上手。若手先生は子どもと一緒に体を動かし遊ぶなかで、子どもの個性やそのときの心情を知ることができます。
学年ごとにベテランと若手はバランスよく組み合わせられることが多く、それぞれのよさを生かしながら役割分担をしています。
Q.2 学校行事の準備ではどんなことをしていますか?
運動会や学芸会、音楽会などの全校で行う行事は、先生が集まりやすい長期休みを利用して打ち合わせしていきます。
例えば、運動会なら、演目や競技を決めたり、ダンスの振り付けや演出を考えたりしながら、先生たちで事前に練習も行います。
運動会は秋に開催する場合は夏休み、春なら春休みから準備を始めます。
行事の準備スタート期間
入学や進級
2月ごろから始め、春休みが忙しさのピーク。
秋に行う学芸会や音楽会、展覧会など
夏休みから。
春に行う遠足など。
冬休みから。遠足は事前に下見に行く。
Q.3 夏休みや冬休みは何をしていますか?
ほぼ毎日仕事をしています。夏休みの場合、お盆の期間以外は交代でプール当番をしたり、サマースクールなどの学習で子どもたちを指導しています。先生たちが集まって運動会など秋に行われる行事の企画や準備をしたり、教員のための研修や講習を受けることもあります。
Q.4 同じ学年でもクラスごとに授業の進み具合やクラス運営も異なりますか?
「1組はカタカナを習っているのに、2組はまだひらがなをやっている」「2組は音読の宿題があるのに、3組はない」といったように、クラスで授業の進みかたや宿題の量は異なります。「うちの子のクラス、遅れているかも」と思うと、親は不安になるかもしれませんね。けれど、とくに1年生はクラス間で差が出ないように気を配るので、心配はありません。
放課後の学年会などで、遅れているクラスがあれば先生同士で助け合い、さまざまな問題も一緒に解決策を考えます。
Q.5 担任以外に、1年生と関わりの深い先生は?
保健室に常駐する養護の先生は、子どもたちの様子をよく見ています。ケガや体調不良のときだけでなく、保健室になら登校できるといったケースもあります。担任に相談しにくいことでも、養護の先生には言いやすい場合もあるでしょう。
そのほかに、食物アレルギーがある場合は、栄養士の先生と相談しながら対応を決めます。また、学力向上支援(地域によって名称が異なります)の先生が補助に入り、授業、生活面含めて担任と協力して指導するケースもあります。
Q.6 先生たちが受ける研修とはどんなものですか?
研修は、教師としてのスキルアップを図るための大切な学習の機会。国語や体育など科目ごとの研修、学級活動や学芸会のための研修、図書に関する資格が取れる研修などさまざまです。任意なので自由に選べますが、学校の代表として参加し、習得したことをほかの先生たちに伝え共有することもあります。ほとんどの研修は夏休みなど長期休み中に行われます。
Q.7 校長先生や教頭先生はどんな仕事をしていますか?
管理職の先生は、現場の教師とは別の視点から、学校づくりに取り組んでいます。例えば、学校全体の協力体制の構築や、授業改善への取り組み、さらに地域コミュニティーの核として地域と連携を図るなどしています。
また、担任の先生の学級運営に関する相談に乗ったり、アドバイスをすることもあります。
子どものためにがんばる気持ちは親も先生も同じ
1年生が「学校に行きたくない」と言いだした場合、勉強が原因になることはほぼありません。給食で苦手なものが出ても「減らして」と言えない、和式トイレに慣れていなくて「トイレが怖い」、そんなささいなことでも嫌になってしまうのです。
だからこそ、1年生の担任は、朝早くから玄関口で子どもたちを待ち、遊びに誘い、子ども一人ひとりのことを少しでも早く知ろうとするのです。
「子どものために何ができるか」をいつも考えているのは、親も先生も同じです。協力し合い、子どものいいところを伸ばしていきたいですね。
教えてくれたのは…
大野久仁子先生
東京都北区立堀船小学校主任教諭。長年の教師生活で、児童や保護者からの信頼も厚い。
出典/『小学一年生』別冊HugKum イラスト/畠山きょうこ 構成/童夢、天辰陽子