気圧?ホルモン?「イライラが止まらない」親の体調不良は子どもにきちんと伝えてみよう

ママやパパにとって、毎日の子育ては体力勝負。子どものパワーに向き合うには気力・体力が不可欠です。でも、ママやパパも一人の人間です。調子がいい時もあれば、体調を崩すときもあるし、気持ちがモヤモヤ、体も重くて動けない・・という日もありますよね。体と心が元気な時には笑顔で受け止め、対応できていた子どもの主張やこだわりも、自分の体調が本調子でないと、なかなか受け止めきれない。つい、言い方がきつくなって後から自己嫌悪におちいったり、冷たい態度になってしまい、後から猛反省する・・なんていうことありませんか?
今回は、イライラの原因は子どもではない、けどイライラした気持ちが抜けない時の子どもへの接し方についてお伝え致します。

まずイライラしたときこそ、その正体に向き合う

“イライラ”とは自分の気持ちを表すときに使う言葉ですね。漢字で表すと“苛々”と書きます。何か自分が感じる不快なことがあって、心が落ち着かない状態のこと。類語は“焦燥”です。
それは、自分の理想と現実が相違しているために焦る気持ちのこと。仕事に育児にと毎日忙しいママとパパです。毎日ご機嫌で過ごすことが理想ですが、そうできない、と感じる日もありませんか?

例えば、仕事。計画し綿密に打ち合わせした通りに仕事が進まない、一緒に働くメンバーと思うようにコミュニケーションが取れない、頑張っても認めてもらえない理想と現実の相違に苛々。

例えば育児で。保育園に送り届ける日の朝に、自分と子どもの準備が思い描いたように進まない。保育園への到着も、会社への到着もギリギリになってしまう理想と現実に焦る気持ち。比べなくてもいいのに、つい他の子のできている部分が目に入り比べてしまう。我が子のできていない部分に目がいってしまい、気にしても仕方ないと分かっているのに気持ちが晴れない。

自分の体調が万全でない時。動かなければいけない現実があるのに気持ちと体が追い付かず、不快や焦りを感じる。他にも部屋の片づけ、ご飯の準備、やることはたくさんあるのにスムーズにいかない現実と理想に苛々。

こうしてじっくり自分の苛々する気持ちに向き合うと、実は子どもが原因の苛々なんて本当はごくわずか(全くないと言い切りたいところですが、そうではないこともあるので)だと気付きます。
苛々とは自分の思い描く理想と現実の相違に直面し、不快な思いや焦燥を抱いている状態。忙しいからこそ効率的に進めたい、思った通りに動いて欲しい・・と、ついつい理想が高くなっているのかもしれません。落ち着いて考えれば子どもがとる行動は“ママやパパを困らせてやろう”と思って行動したものではないことは分かっているのです。

苛々の元は自分の内にある。苛々していない時はそう思えるのですが、苛々しているときの私は「早くして、間に合わない。もう出かける時間だよ!」「どうして今そのおもちゃを出してきたの!」なんて子どもに対して叫んでいました。さらに気圧やホルモンや年齢からくる自分の体調不良も重なると本当に悶々としていました。
そんな時こそ“今の苛々の原因は何だろう”と自分と向き合い、自分が感じる不快な気持ち、焦る気持ちがどこにあるのか向き合うようにしました。

子どもに伝えたら「共感する力」が生まれた

こうして自分に向き合い、自分の苛々がどこにあるか気付いたときは、自分の意識や考え、ものの見方を変えれば苛々した気持ちが改善されるということもありました。しかし、どうしても自分の力では限界があると感じるのは体調不良で自分の身体が思うようにならないときでした。そんな時は子どもに自分の身体の状態をなるべく分かりやすいように伝え、今どのような状態で、どうして欲しいかを伝えました。

一例ですが、手当をするお話の絵本をまず一緒に読み「ママも今日ね、お腹がとても痛くて、少しお休みしたいんだ。今日、お風呂はパパと一緒に入ってもらえる? その間お腹温めてゆっくりしたら良くなると思うから」のように、体調が良くなくて、これができないから、こうして欲しい。ということを伝えたのです。

それまで「今日は無理だから。パパとね!」という端的な伝え方のときには「ママじゃなきゃいや~!」と大泣きで、こちらが泣きたくなっていました。

今は、少し説明に時間を取って、子どもにも協力してもらうことにしたのです。
すると「ママ大丈夫?この辺が痛いの?早く良くなってね」と私の気持ちに寄り添ってくれたり、絵本の登場人物と照らし合わせながら「〇〇みたいに痛いの可哀想だね」という言葉がでるようになりました。

自分以外の人の辛い気持ちに寄り添い、共感する・・他人の立場に立ってものごとを考えられる・・そんな優しい心を示し、そして言葉で表現してくれたのです。もちろん、不安にさせるのは良くないですが、本当に辛いとき、子どもの優しい言葉は苛々をなくしてくれました。

子どもの行動に自信をつけてあげよう

共感する気持ちや言葉がでてきた子どもの次の大きな成長は、その“辛い気持ちの人に対して、自分は何ができるだろうか“を考えたことでした。

今回でしたら、お腹の痛いママに対し、自分は何ができるかを考え“自分はママに対してこんなことがしてあげられる”“あんなふうにしてあげたらママが喜ぶかな”と考えたことを行動に移したことでした。
お腹を温めて休むなら、と考えた結果ブランケットと小さなクッションを運んでくれました。パパとお風呂に行ったらママが早く休めると思ったのでしょう。自分から「パパ、お風呂行こう」と言ってぐんぐんパパを引っ張ってお風呂場に行ってくれました。子どもの心の中に“自分は(ママのために)これができる”という考えが浮かび、自ら行動に移すことをしたのです。

子どもがこの先社会生活を行ううえで、とても大切なことではないでしょうか。この成長をさらに強固なものにするには、ママとパパの「嬉しかった」「助かった」という声掛けや満面の笑顔で子どもの考えた結果が得られたよ!きちんと達成できたよ!と伝えてあげることです。相手を笑顔にできた、助けることができた、という成功体験は子どもに自信を与え、さらに成長することができるでしょう。

今回はママの体調が悪い時の例でお話しましたが、いつだって【子どもが相手の気持ちに共感する力】【相手のために何ができるか考え行動する力】【自分はできるという自信】は持たせてあげたいですね。ママ、パパの心の中に苛々の気持ちが生まれてしまった時、自分の力だけでは手放せないと思ったときには無理せず、子どもたちにも協力してもらいましょう。そして早く笑顔を取り戻しましょう。子どもたちだけでなく、子どもたちにとって大切なママ・パパもいつも笑顔でいられますように。

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文・構成/赤名麻由子

赤名 麻由子

シニアマナーOJTインストラクター|キッズマナーインストラクター
一般社団法人マナーOJTインストラクター協会所属。資格取得後、保育園やカルチャーセンターにて子どもたちにマナーを伝える活動を行っている。二児の母

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