東京都練馬区のとしまえん跡地にオープンした「スタジオツアー東京」は、広大な敷地が広がる子どもも大人も全世代が楽しめる魔法ワールド。なんとイギリスの「スタジオツアーロンドン」に次いで世界で2番目、アジアでは初のオープンとなり、ここ東京でしか見られないセットもあることから世界中から大きな注目を浴びています。
およそ東京ドーム 2個分の約 9 万平方メートルもの敷地に建つ本施設は、じっくり見ていくとまわるのに4時間程かかりますが、ウォークスルー型で自由に自分のテンポで楽しめるので子どもと一緒に安心してゆっくり楽しめるのもうれしいポイント!
ちょうど中間地点には、ハリポタの世界観が楽しめる広々としたレストランや、シリーズには欠かせない大人気のバタービールなどが味わえる屋外カフェもあるので、子どもものびのび休憩できます。
では、気になる注目の各エリアを見ていきましょう♪
スクリーンの中の世界が、そのまま目の前に広がる!
まずお目見えするのが、ホグワーツ魔法学校で最も印象的な場所の一つである「大広間」。実際に扉をくぐって中へ入る時には、思わず誰もがワクワクするはず…!
目の前に広がるセットは、まさに映画の中に迷い込んだよう。10年間にわたる撮影を通して、ハリーたちが食事をするシーンはもちろんのこと、ハリーの組分け儀式や魔法対決など数々の名シーンの舞台となって映画シリーズでとても重要な役割を担ってきた大広間。伝統的な英国建築の影響を取り入れ、石畳の床や細長い窓、木製の羽目板の壁は、英国オックスフォード大学のクライスト・チャーチ・カレッジからインスピレーションを得ています。
ほぼすべてのハリー・ポッター映画で主要なセットとして使用された大広間ですが、このスタジオツアー東京のセットは英国でオリジナルの映画制作者たちによって丹念に作られた後、東京へと慎重に輸送されました。
先生たちのテーブルの後ろにあるのが、寮別ポイント計。これはピエール・ボハナ率いる小道具制作部門が制作したもので、中には大量のカラーガラスビーズが入っていますが、オリジナルの小道具が制作されたとき、あまりにも多くのビーズが使用されたため、世界的にガラスビーズが不足する事態になったのだとか!
★トリビア
ダンブルドア校長の前にある燭台は、なんと実際に撮影で使用された実物だそう!各ポイントには様々な説明ボードが設置されていて、読むとさらに撮影の裏側を深く知ることができますよ。
ここスタジオツアー東京でしか見られない初のセットとなるのが、シリーズ撮影時にハリー役のダニエル・ラドクリフのお気に入りのセットでもあった魔法省。『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』でハリー、ロン、ハーマイオニーが魔法省の職員に扮して潜入する場面に登場した貴重な実物大のセットとなっています。
撮影中、制作に最も時間がかかった手の込んだセットの一つだったのが魔法省で、デザインはビクトリア朝建築にインスピレーションを得たもの。ラッカー塗装が施された木材でできた何千枚もの緑と赤のタイルが張り巡らされており、シリーズの撮影中、このセットの建設には 22週間かかったといいます。
魔法省のセットは非常に大きかったため、大衆が集まるシーンでは魔法省の職員役のエキストラが何百人も必要で、スクリーンに登場する人たちの多くはなんと衣装を着たスタッフだったというのも驚きです!
★トリビア
スタジオツアー東京のいくつかの体験ポイントでは、QRコードを使って自分の撮った映像や写真をダウンロードできる仕組みを導入。楽しい旅の思い出になってうれしいですよね。煙がでるトンネルでも映像が撮れるので、ぜひトライしてみては…!
映画制作者たちの高度な技術が光るセットたち!
そして「ハリー・ポッター」シリーズで欠かせないのが、魔法界の商店街「ダイアゴン横丁」ですよね!ホグワーツ魔法魔術学校の生徒にとって新学期の準備に欠かせない場所ですが、ハリーが初めて杖を手にするオリバンダーの店や、魔法動物ペットショップをはじめ数々のお店が所狭しと立ち並ぶセットはまさに圧巻です。
『ハリー・ポッターと賢者の石』のために作られたダイアゴン横丁は、それ以降の作品でもたびたび手直しして使用され『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』と『ハリー・ポッタ ーと炎のゴブレット』を除く全作品に登場しますが、『ハリー・ポッターと アズカバンの囚人』では装飾を変え、雪化粧したホグスミード村のセットに変身させています。6人のスタッフが1 ヶ月かけて作業したそう!
さらに小道具制作の腕の見せどころだったという「ダイアゴン横丁」は、お店をいっぱいにするために、マントから高級クィディッチ用具店のウィンドウに展示するニンバス2000の箒に至るまで大量の小道具が作られ、アイテムが調達されたそう。小道具部門を率いるピエール・ボハナも、このダイアゴン横丁は作るのが一番好きなセ ットだったと語っています。
★トリビア
映画でハリーが初めてダイアゴン横丁に足を踏み入れるのは、実はツアーの順序とは真逆の一番奥のほう。ぜひ奥の場所からも街並みを眺め、ハリーと同じ気持ちを重ね合わせてみては…?
そして見逃せないのが、スタジオツアーの顔ともいうべき「9と¾線」の大規模セット。「ハリー・ポッター」シリーズの映画制作に携わったクリエイターが伝統的な技術を駆使して作り上げています。
展示されているホグワーツ特急の基礎として使われているのは、1929年に作られた“ダンブルトン・ホール”と呼ばれるイギリスの蒸気機関車。引退するまで35年以上運行されていた蒸気機関車をイギリスで改装したあと、日本に運搬されスタジオツアー東京に展示されることになりました。
★トリビア
このエリアに展示されている『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』に登場するグレート・ウィザーディング・エクスプレスは、スタジオツアー東京のオリジナルセット!主人公のニュート・スキャマンダーがチームを危険な任務に導くシーンが描かれており、細部に渡って華やかに装飾されている車両にもぜひ注目してみて。
またスタジオツアーでは、ホグワーツ名物の「動く階段」も登場。肖像画の前で自分たちの姿を撮影すると実際に動く肖像画になれるアクティビティが体験できるのも、ここ東京だけ!
さらに屋外展示スペース「バックロット」には、紫色が目印のナイトバスやダーズリー家、「ホグワーツ・ブリッジ(ホグワーツ橋)」や、『ハリー・ポッターと賢者の石』のチェス盤もあり、抜群のフォトスポットとなっています。
貴重な体験エリアで、ここだけのエクスペリエンスを!
さらに、クィディッチの試合の観客になりきって応援し映画のワンシーンに登場できるエリアや、実際に箒に乗って合成映像を撮影してグリーンスクリーン技術を体験できるエリアなどもあり、さまざまな映画体験ができるのも大きな魅力の一つとなっています。
またハリー・ポッターの世界を彩る多くの魅力的なクリエイチャーがどのように作られているのか、さらにデザインや美術、音響に至るまでさまざまな制作の側面が見られるエリアも充実しています。
さらにスタジオツアー東京では、2つのエリアを探索できる「禁じられた森」、グリフィンドールの剣や憂いの篩など多くの象徴的な小道具が発見できる「ダンブルドアの校長室」、「ハグリットの小屋」など見どころいっぱいのエリアがほかにも盛りだくさん!
特に「禁じられた森」では、ヒッポグリフなどのフレンドリーな魔法動物や、暗闇の中でディメンターやアクロマンチュラのアラゴグなど恐ろしい生き物たちにも遭遇できるといい、ファンにはたまらないエリアとなりそうです。
ただ追体験できる場所ではなく、学びの場に
「壮大なセットや映画がどのように作られるかを学べるのは、非常に大きな体験になると思います」と語るのは、本施設のヘッド オブ ビジター エクスペリエンスの小野里尚樹さん。
「映画制作の舞台裏というのが一つのキーワード。映画がどうやって作られるのか、そしてすごく目を凝らして見ると細かいものがたくさんある。ぜひ子どもたちには、私たちでも気づかないものに気づいて欲しいです」といいます。
「将来的にはレディケーションといって、実際にこの施設を通じ映画制作の舞台裏を学んでもらうようなクラスも予定しているんです。なのでただの追体験できるという場所ではなく学びの場として、このスタジオをきっかけに何か子どもたちが自分の将来設計の中で、こんなふうに映画を作ってみたい、絵コンテを描いてみたい、アクターになりたいなとか、いろんなところで学びの場があると思います。」
東京は、イギリスに次いで世界で2番目となる注目の施設。
「イギリスにはなかなか行きづらいですが、そんな中で労せず、近くで、これだけ世界的に有名になったハリー・ポッターの世界が体験できるという意味では、来ていただく価値は絶対にあります」とその価値に自信をのぞかせます。
「最高のスタッフで提供できていると思っているので、ぜひ私たちインタラクターを有効的に活用していただけたら。インタラクトとは、交流するという意味。インタラクターたちが体験を2倍3倍のものにできると確信していますので、ぜひ声がけしていただけたら体験価値が上がるはずです!」と、本ツアーをさらに楽しむポイントも教えてくれました。
映画は日常の中で身近にあるものの、普段なかなか舞台裏をのぞけない世界でもありますよね。「ハリー・ポッター」という最高の教材で、そんな映画制作の舞台裏を楽しく学べるスタジオツアー東京。今年の夏休みにぜひ家族で、足を運んでみてはいかがでしょうか。なお、すべてのチケットは事前予約が必要となりますので、早めのご予約がオススメです!
<チケット情報>
スタジオツアー東京のチケットは公式ウェブサイトでお求めになれます。
チケット料金は下記の通り。
大人 :6300円
中人 :5200円
小人 :3800円
取材・文/富塚沙羅