日本三大奇祭「吉田の火祭り」ってどんなイベント? 見どころと子連れ参加時のポイント

「吉田の火祭り」に興味があるものの、詳しいイベント内容が分からない人は多いのではないでしょうか。開催時期・歴史・見どころなど、吉田の火祭りに関する情報を紹介します。子連れで楽しむポイントもチェックして、家族での参加を検討してみましょう。

<トップ画像:大松明の並ぶ金鳥居 Photo taken by 江戸村のとくぞう, Wikimedia Commons>

吉田の火祭りはどのようなイベント?

「吉田の火祭り」というイベントを、初めて聞いた人もいるかもしれません。まずは、吉田の火祭りが行われる場所や歴史といった基本情報を解説します。

山梨県富士吉田市で開催される祭り

吉田の火祭りが開催されるのは、富士急行線「富士山駅」から徒歩で約20分の距離に位置する北口本宮冨士浅間神社と、その摂社・諏訪神社の周辺です。富士吉田市にある二つの神社の祭りで、日本三大奇祭(日本三奇祭)にも数えられます。

毎年8月26〜27日に開催され、国の重要無形民俗文化財にも指定されています。今年も以下の日程で開催予定です。
26日(土):15:00〜22:00頃
27日(日):13:30〜20:00頃

400年以上の歴史がある

吉田の火祭りは、400年以上の歴史を持つといわれる神事です。火祭りが始まったきっかけには、追われて逃げてきた諏訪の神様と、松明を持った住民の伝説が関係しているとされています。

住民の持っていた松明の火に驚き、追手が逃げていったことから、その地に諏訪の神様がしばらく滞在したという伝説です。諏訪の神様を祀った「諏訪神社」で松明を焚き上げたことが、吉田の火祭りの始まりといわれています。やがて富士信仰が広まり、諏訪神社は浅間神社の摂社となりました。

そのため現在は二つの神社の祭りとされ、富士山の噴火を鎮める目的を兼ねていることから「鎮火祭」とも呼ばれています。

参考:
吉田の火祭 国指定文化財等データベース|文化庁
【2023年8月26日、27日】吉田の火祭り・すすき祭り|富士吉田氏観光ガイド

吉田の火祭りの見どころ

吉田の火祭りの見どころを、1日目・2日目に分けて解説します。例年の情報を参考にしているので、2023年の詳しい内容が気になる人は公式サイトを確認しましょう。

【1日目】夕方の「松明点火」

吉田の火祭りの見どころは、やはり1日目の夕方に行われる「松明点火」です。1日目の午後、冨士浅間神社で祭りが開催された後、御祭神・浅間大神を乗せた神輿が諏訪神社へ向けて出発します。

御旅所での松明点火 Photo taken by Sakaori (talk), Wikimedia Commons

夕方になると、町中をめぐった神輿が一晩の宿を指す「御旅所(おたびしょ)」に収められます。同時に担ぎ手や氏子(住民たち)が、高さ約3m、直径約90cmの大松明(おおたいまつ)を奉納するのが基本です。

富士吉田市長や祭典の世話係を担う長老に続き、金鳥居のある表通りに設けられた約80本の大松明に火が灯ります。氏子は火の粉をよけながら御旅所へ参拝し、御祭神の来訪を祝福する習わしです。

【2日目】すすき祭り

別名「すすき祭り」とも呼ばれる2日目には子ども神輿も担ぎ出され、町中が祭りの活気で包まれます。表通りにある金鳥居でも祭りが行われ、全ての神輿が行列を作って吉田市内をゆっくりと歩きます。

辺りが暗くなってくると太鼓の音が響き渡り、集まった神輿に参加者たちが加わって「高天原(たかまのはら)」を回る流れです。そのときに「すすきの玉串」を持って安産や無病息災を祈願する風習もあり、多くの女性・子ども・高齢者も参加しています。

富士山を象った御山神輿 Photo taken by Sakaori (talk) , Wikimedia Commons

子連れで参加する際のポイント

吉田の火祭りは野外で開催されるイベントなので、子どもを連れての参加には配慮と準備が必要です。最後に、子連れで参加する際のポイントを三つ紹介します。

雨具・防寒具などは必須

吉田の火祭りは神事ということもあり、雨などの悪天候でも開催されます。野外で行われるため、少々の雨にも対応できるように雨具や上着を用意しておくことが大切です。

とはいえ大雨の中で鑑賞し続けると、子どもが体調を崩す恐れもあります。イベント自体は中止にならなくても、悪天候の際には早めに切り上げるなど、子どもの体調を考えた行動を心がけましょう。また、大松明の近くを歩く際には道路側に大人が立ち、子どもに火の粉が当たりにくいようにする配慮も大切です。

携帯トイレがあると便利

吉田の火祭りが開催されるエリアは広く、施設のような常設トイレは期待できません。また、吉田の火祭りは多くの観光客が訪れるイベントなので、当日は混雑が予想されます。トイレットペーパーがない可能性も考えられるので、ティッシュを多めに持参するようにしましょう。

イベントが始まる前にトイレを済ませておくのはもちろん、万が一のときには携帯用のトイレが役立ちます。小さな子どもだと衣服を汚す恐れがあるため、着替え一式を用意しておくのもおすすめです。

宿泊先を確保しておく手もある

2日間かけて開催される吉田の火祭りは、日によって見どころやイベント内容が異なります。特に1日目は夜遅くまで盛り上がるため、自宅から往復するのは負担がかかる点に注意が必要です。

2日続けてイベントに参加したい場合は、近くにホテルなどの宿泊先を確保する手もあります。吉田の火祭り会場まで送迎してくれるホテルもあるので、賢く利用して子どもの負担を減らしましょう。

鎮火祭準備の様子 Photo taken by Sakaori (talk) , Wikimedia Commons

吉田の火祭りで日本の伝統を感じよう

吉田の火祭りは、山梨県富士吉田市の北口本宮冨士浅間神社と、その摂社・諏訪神社で開催されるイベントです。金鳥居周辺を照らす約80本もの大松明は見ごたえがあり、日本三大奇祭にも含まれています。

野外で開催されるイベントですが、神事のため雨などの悪天候でも基本は中止になりません。子連れで参加する場合には雨具・防寒具はもちろん、携帯トイレなどを持参しておくと安心です。火祭りと神輿、すすき祭りなど、1日目・2日目で違った楽しさがあるイベントで、日本の伝統的な夏を体験しましょう。

火祭り(鎮火祭)|北口本宮冨士浅間神社

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構成・文/HugKum編集部

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