中1の長男が知的障害と自閉スペクトラム症。プロサッカー選手 永里源気さんが息子の子育て経験から始めた放課後等デイサービスへの思い

湘南ベルマーレ、東京ヴェルディなどで活躍したプロサッカー選手 永里源気さんは4人の子どものパパです。第2子の中学1年生の大和(やまと)くんは、知的障害と自閉スペクトラム症と診断されていて、現在は特別支援学校に通っています。永里さんは、大和くんの子育て経験から、療育特化型・放課後等デイサービス「Athletic Clubハートフル」を開設しました。永里源気さんに第二の人生を歩み始めたきっかけや「Athletic Clubハートフル」について伺いました。

「自分と同じ悩みを抱える人の力になりたい!」という思いが原動力に

大和くんの病気が分かるまで、幼少期のお話がわかる前半はこちら

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Athletic Club ハートフル 様々な運動ができる、広くて明るい室内

永里源気さんが、神奈川県厚木市に療育特化型・放課後等デイサービス「Athletic Clubハートフル」を開設したのは20221月のこと。

「大和が通っていた発達支援センターや放課後等デイサービス、特別支援学校で出会った先生やスタッフが本当に温かくてポジティブなんです。大和だけでなくて、僕たち夫婦も先生たちの言葉にどれだけ励まされたかわかりません。そうした経験を通して、子育てが少し落ち着いてきたころから、僕たち夫婦と同じような悩みを抱えている保護者や子どもたちのために何かできることはないだろうか?力になりたいと考えるようになり、放課後等デイサービスを始めようと思いました」(永里さん)

会社の設立など、初めての世界に戸惑うことばかり

サッカーひと筋だった永里さんにとっては、放課後等デイサービスの運営は初めての世界です。最初は、戸惑いの連続だったと言います。

「銀行に融資をお願いするのも初めてだったし、会社を設立するのも初めてでした。開設にはさまざまな基準を満たさなくてはいけなくて、戸惑うことの連続でした。でも知り合いに放課後等デイサービスの関係者がいて、いろいろ教えてもらいながら前に進むことができました」(永里さん)

少人数制で、感覚遊びなどの多彩なプログラムが特徴

一日の予定を確認、今日やることが分かっていると安心して取り組める

療育特化型・放課後等デイサービス「Athletic Clubハートフル」は小学1年生から利用でき、3~5人の少人数制が特徴。利用者は、多動傾向がある子やこだわりが強い子、コミュニケーションが苦手な子などさまざまです。

「体を動かす遊びや、感覚遊び、学習支援など様々なプログラムがあります。子どもの特性や年齢などを考慮しながら、45分制のプログラムを構成しています。たとえば低学年で体を動かすのが好きな子どもたちのグループならば、準備運動→バランス遊び→ボール遊び→ランニング→お楽しみタイムといったプログラムを構成しています」(永里さん)

目指しているのは「また来たい!」と思える場所作り

永里さん自身も強度行動障害支援者養成研修を受講していて、サッカーのプログラムなどを担当しています。

「たまたま近所にグラウンドを貸してくれる知り合いがいて、子どもたちとサッカーを楽しむこともあります。みんなで協力してパスをつないだり、ゴールを決めたり…。そうした成功体験や、失敗しても励まし合いながらもう1回チャレンジするといった経験が、子どもたちの成長を後押しします。また広い場所で思いきり走り回ることで発散もできます。目指しているのは、子どもたちが“また来たい!”と思えるような場所作りです」(永里さん)

今年5月に開催したインクルーシブイベントハートフルスポーツフェスタの様子

人との繋がりで、今がある

Athletic Clubハートフル」には、OT(作業療法士)、ST(言語聴覚士)、PT(理学療法士)もいます。学習支援をするのは教員免許をもっているスタッフです。

「以前、同窓会に参加したとき、療育の仕事をしている友だちがいて“手伝ってくれない?”とお願いしたら“OTSTにも声をかけてみるよ”と言ってくれて、人の輪が広がっていきました。先ほどのグラウンドを貸してくれる知人もそうですが、人との繋がりに感謝しています」(永里さん)

子どもを待っている間、保護者は情報交換を

お子さんを待っている間は、親御さん同士でコミュニケーション 明るい雰囲気の待合室

Athletic Clubハートフル」のプログラムは45分制です。保護者は、終わるまで隣のスペースで待ちながら、おしゃべりを楽しんだり、情報交換などをしています。

「僕自身も、大和のことでいろいろ悩んだのですが、そのとき頼りになったのが地域に根差した活きた情報です。施設のことだったり育児のことだったり、必要な情報はやはり当事者からの口コミが一番信頼できました。Athletic Clubハートフルが、有意義な情報交換の場になってほしいと思っています」(永里さん)

放課後デイは信頼関係が大切。安心して通い続けられる場を作りたい

永里さんの長男 大和くんは、現在、特別支援学校中等部に通いながら、「Athletic Clubハートフル」とは別の放課後等デイサービスを利用しています。「Athletic Clubハートフル」ができる前から通っているところで、楽しく通い続けています。スタッフとの信頼関係も築けています。しかし放課後等デイサービスは、児童福祉法で原則18歳の誕生日までしか利用できないため、いつか別の場所を見つけなくてはいけません。

年齢に関係なく、安心して通い続けられる場を作ることが目標

僕は年齢で区切るのではなく、安心して通えるところにずっと通い続けられる環境が理想だと考えています。スタッフと子ども、保護者が信頼関係をしっかり築くのは容易ではありません。子どもの特性によっては、新しい場所に馴染むのに時間がかかる子もいます。そのためAthletic Clubハートフルを卒業した子どもたちが、安心して通い続けられる場を作ることが、将来の目標です」(永里さん)

Athletic Club ハートフル 教室内にて

Athletic Club ハートフル 所在地 神奈川県厚木市田村町5-22  詳しくはこちらから>>

撮影/五十嵐美弥 取材・文/麻生珠恵

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