「うちの子は工作は大好きですが、算数の勉強はまるで… どうしたらいいでしょうか?」
このような相談を受けることがあります。質問をした保護者は、子どもが机に向かって勉強しないことを心配されているのだと思いますが、実は、工作は算数の勉強にとても役に立つ遊びです。
体験を通して「おもしろい!」と感じることは自ら学ぶ意欲につながります。今回は算数を好きになる体験学習5選(インドア編)をご紹介します。
興味のあることに熱中した経験が、未来の学びにつながる
興味のあることに熱中した経験が学びにつながっていくことは、私は自分の経験からも、そのように感じています。
小さい頃、私は天文に興味がありました。宇宙のことについて説明されている図鑑を読んでいると、惑星の大きさや距離、光の速さなど、様々な数字が載っています。私はそれらの数字を使って、もっと色々な答えを知りたくなりました。「計算してみたい!」という動機で算数を勉強するようになりました。
新しいことが分かるとうれしくなり、もっともっと知りたい!と思うようになります。夢中で算数に触れるうちに算数が大好きになり、今では算数を仕事にするまでになりました。
きっかけになる切り口はなんでもOK
私のきっかけは天文でしたが、切り口はなんでも良いのです。お子さん自身が興味のあることなら、自発的にどんどん調べて、知りたくなるものでしょう。
実体験から学ぶことは、子どもにとって記憶と感覚に残る貴重な経験になります。1つのことに熱中していると、おうちの方は「そればっかり……」と不安になるかもしれませんが、それだけ好きなことなのですから、興味のあるものは制止せずに見守ることをおすすめします。
算数を好きになる体験学習5選をご紹介します
では、算数を好きになる体験学習について、おすすめしたい5つの遊びをご紹介します。親子で楽しんでみてはいかがでしょうか。
1.工作
工作は、算数の要素がいっぱいです。まずは図形。立体に組み立てたり、開いたりを繰り返すことで、展開図や立体図形の見方に慣れることができます。
算数の問題で「図のように……」と示される立体は、紙に描かれているので見えない部分があります。工作で遊び慣れていると、その立体図の見えない裏側を想像したり、頭の中でクルクル回してみたり、イメージで展開図を組み立ててみたりすることが容易になります。普段から遊び慣れている子の強みです。
また、工作が好きな子は定規やコンパスなどの道具を使い慣れています。目盛りの読み方も自然に覚えますし、拡大や縮小の概念(同じ作品を1.5倍の大きさで作るためには…など)を考えるので、小数や分数、割合の感覚が身につきます。
折り紙も図形分野の学習に役立ちます。折り紙で作る手裏剣や風車は「点対称」な作品です。鶴やかぶとは「線対称」な作品ですね。敷きつめ模様を考えてみたり、くす玉作りで多面体について考えることもできます。
2.ブロック遊び
レゴブロックも図形分野に必要な想像力を強くするのでオススメです。積み木に比べ、作ったものを持ち上げて色々な角度から眺められるところが魅力です。
レゴブロックは、バラバラなブロックの「基本セット」で、想像力を掻き立てて自由に作品を作って遊ぶのも楽しいですが、シリーズもののセット商品で作品作りに挑戦することも、とても頭を使います。と言うのも、レゴブロックのセット商品に付いている組み立て説明書は、文字による説明がありません。全ての組み立て手順を図で示して、分かりやすく指示しているのです。
最近は女の子向けの商品もたくさん販売されています。おもちゃ屋さんのレゴコーナーを覗いてみてはいかがでしょうか。
3.料理
料理は、たくさんの数字を使います。レシピ通りに作ろうと思うと、g(グラム)やml(ミリリットル)などの単位にも注意しなければなりません。小麦粉1㎏が具体的にどれぐらいの重たさなのか、100mlとはどれぐらいの量なのか、といったことを目で見て覚えることもできます。
2人分のレシピから、4人分の料理を作るにはどうしたらいいでしょうか? 全ての材料を2倍にして考える必要があります。同じように、4人分のレシピで3人分だと…⁉このように掛け算や割り算も使います。
カステラを等分に切り分けたり、手作りのホールケーキにイチゴを並べたりする作業は、植木算(※)をイメージする練習になります。最後に完成した美味しい料理やお菓子を食べられるなんて、大満足の体験ですね!
※植木算…ある場所に木を同じ間隔で植えていく時に、必要な木の本数や植える間隔の長さを求める問題のこと。両端にも木を植える場合、植えない場合、池の周りに円形に木を植える場合、などの応用問題がある。中学受験でも良く出題される内容。
4.裁縫
裁縫は、工作と同じように単位と目盛りに慣れることができます。裁断図にある数字を布に落とし込んだり、そのためにメジャーを使って測ったりする作業が必要です。自分が身に付けるものを作るには、自分の体にメジャーを当てて測ることもあるでしょう。mm、cm、mの換算や、1mがどれぐらいの長さか、などを感覚的に覚えることができます。
本格的な生地を使った洋服作りは材料費が高く、子どもに遊びで作らせるには躊躇するかもしれませんが、近頃は100円ショップでも様々な材料が手に入ります。100円ショップの材料で、例えばアニメキャラの服を真似て簡単なコスプレごっこを楽しむなどの遊びは、多少縫い目がガタガタでも気にならない遊び方です。
5.謎解きクイズ
本と言えば「物語」や「図鑑」を想像しますが、算数に必要な論理的思考力を鍛えるには「謎解きクイズ」がオススメです。規則性を読み取って暗号を解読したり、説明や図の矛盾点を見つけたり。答えが分かったときは、すごくうれしいもの。探偵になった気分で読み進めてみましょう。
例えば、小学館の「ドラえもんの小学校の勉強おもしろ攻略 頭を楽しくきたえる! 推理クイズ」は子ども達が大好きなドラえもんと一緒に、推理クイズをしながらストーリーが進みます。算数に苦手意識がある子でも、この本なら楽しく読み進められるでしょう。
ドラえもんの小学校の勉強おもしろ攻略 頭を楽しくきたえる! 推理クイズ
謎解きクイズが好きになったら、今度は自分で暗号を考えて、おうちの人にクイズを出してみましょう。「暗号を作る」という遊びは、解くことと少し違った頭の使い方をするので難易度が上がります。とても良い刺激になりますよ。
工夫次第で体験学習を楽しむ方法はいっぱいあります!
今回は、学ぶ意欲のきっかけになる、算数が好きになる体験学習を5つご紹介しました。お子さんが興味のありそうな遊びが見つかれば、ぜひ親子で楽しくチャレンジしてみてください! もちろん、今回ご紹介した5つの方法以外にも、生活の中で算数に触れて楽しく学ぶ方法はたくさんあります。
お子さんが何かに興味を持ったときが学びのチャンスです!「そんなことばかりしてないで、算数の勉強はどうしたの?」といった言葉で興味を制止してしまうのはもったいないこと。熱中する気持ちが学ぶ意欲のきっかけになりますから、おうちの方もぜひ一緒になって楽しく学習を進めてみてください。
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構成/HugKum編集部