光エネルギーとは?
光エネルギーを理解するには、まずエネルギーとは何かを知る必要があります。エネルギーの基礎知識をおさらいしながら、光エネルギーについて確認していきましょう。
自然エネルギーの一種
エネルギーとは、ものを動かしたり、熱や音などを発したりするために必要な力を指します。電気やガス、ガソリンなどは、エネルギーの代表例です。
エネルギーの中には、太陽光や熱・風・水流などの自然現象から得られるものもたくさんあります。こうしたエネルギーを自然エネルギーといい、太陽光に代表される光エネルギーもその一つです。
自然エネルギーは石油や石炭などの化石燃料から得られるエネルギーとは異なり、枯渇の可能性が低いことから「再生可能エネルギー」とも呼ばれています。
光エネルギーのもとである「光」の基本情報
続いてエネルギーのもととなる「光」について、図を交えて解説します。光の意味や種類を、ここでしっかりと押さえておきましょう。
光は「波動」でもあり「粒子」でもある
光は「電磁波」と呼ばれる「空間を伝わる波」の一種で、波動性・粒子性を併せ持っています。テレビに映像や音声を届ける「電波」や、レントゲン撮影に使う「エックス線」も光と同じ電磁波の仲間です。
また、光は「光子」と呼ばれる小さな粒子でもあります。光子の数が多いほど、光は明るくなるのです。
電磁波の性質は「波長」によって決まります。波長とは「波の山と山の長さ」のことです。水面に物を投げると周囲に波紋が広がりますが、そのとき見える波紋の間隔と考えると分かりやすいでしょう。
波長が短い電磁波ほどエネルギーが大きく、真っ直ぐ進む性質があります。エックス線を大量に浴びると体がダメージを受けるのは、波長がとても短く、大きなエネルギーを持っているからです。
光には種類がある
光は、目に見えるものと見えないものに大きく分けられます。
目に見える光を「可視光線」といい、波長の長さによって見える色が異なります。波長が短い順に、紫・藍(あい)・青・緑・黄・橙・赤となることを覚えておくとよいでしょう。
目に見えない光には、「紫外線」「赤外線」「エックス線」などがあります。紫外線は可視光線よりも波長が短く、赤外線は長いのが特徴です。紫外線は日焼けの原因として、赤外線はリモコンや暖房器具などに使われる光としても知られています。
光エネルギーの身近な利用例
光エネルギーは、どのような場所で使われているのでしょうか。身近な例を四つ見ていきましょう。
熱を伝える「赤外線」
赤外線には熱を伝える働きがあり、「熱線」とも呼ばれています。太陽の光が暖かく感じられるのは、太陽が赤外線を放出しているためです。
ただし、赤外線自身が熱を持っているわけではありません。赤外線の出すエネルギーが物質の分子運動を増幅させ、温度を上昇させる仕組みです。暖房器具や調理器具に使われるヒーターは、この赤外線の仕組みを利用しています。
赤外線を用いたヒーターでの加熱は、他のエネルギーでの加熱に比べて効率がよい上に、燃焼や接触を伴わないので安全性が高いのがメリットです。そのため一般家庭だけでなく、業務用としても幅広く活用されています。
植物を育てる「光合成」
多くの植物が成長するために行う「光合成」も、光エネルギー活用の身近な例といえます。光合成とは、植物が太陽光のエネルギーと二酸化炭素、水から有機物を作り、酸素を放出する活動です。
光合成で作られた有機物は、食物連鎖によって全ての動物の食糧となります。現在発掘されている化石燃料は、ほとんどが過去の光合成でうまれた植物や動物からできていることも忘れてはいけません。
光合成をする植物を増やすと、大気中の二酸化炭素消費量が増えるため、近年問題視されている地球温暖化の抑止にも効果が期待されています。光合成は単に植物を育てるだけでなく、人間を含む他の生物の暮らしや地球環境の保全にも大きくかかわっているのです。
電気を生み出す「太陽光発電」
光エネルギーの活用例として、近年注目を集めているのが「太陽光発電」です。太陽光をシリコン半導体で作った電池(太陽電池)に当て、直接電気に変換します。
太陽電池は一般住宅の屋根などにも設置できるため、その気になれば誰でも電気の自給が可能です。1軒の家で使う1年分の電気を化石燃料で作るためには、約766Lの石油が必要ともいわれています。
化石燃料に頼らず、太陽さえ出ていれば発電できるシステムは、環境に優しい技術として各所で導入が進められています。
明るく照らす「照明などの光」
日常生活においてもっとも身近な光エネルギーといえば、照明器具などの電球が出す光といってもよいでしょう。電球の光は、電気エネルギーを光エネルギーに変換したものです。
電球にもさまざまな種類があり、それぞれエネルギーの変換効率は異なります。例えば白熱電球は、電気エネルギーの多くが熱エネルギーなどに変わってしまうため、変換効率が良くありません。長時間使っていると熱くなり、触るとやけどをする恐れもあります。
一方、蛍光灯やLED電球は電気エネルギーのほとんどが光エネルギーに変換されます。そのため、同じ明るさを出すために必要な電気エネルギーが白熱電球より少なくて済み、電気代の節約につながるのです。
身近すぎて気付きにくい光の力を知ろう
太陽や照明器具から常に発せられている光は、水や空気と同じように生物にとっては身近な存在です。あまりにも身近すぎるために、光エネルギーの重要性を考えることはほとんどないかもしれません。この機会に親子で光の特徴や力を学び、理科の学習に役立てましょう。
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文・構成/HugKum編集部