マドレーヌはなぜ貝殻の形? フィナンシェとの違いは? 自宅で上手に作るコツ3か条もご紹介

貝殻の形が可愛らしいマドレーヌ。洋菓子屋さんなどで、必ずといってもいいほど売られている焼き菓子の定番。食べると甘くふんわりとした生地に、バターの香りが美味しく、贈り物にも最適です。本記事では、マドレーヌとはどんなお菓子なのか、フィナンシェとの違い、簡単レシピなどを紹介します。

マドレーヌは焼き菓子の定番で、多くの方が一度は食べたことのあるお菓子だと思います。しかし、マドレーヌとフィナンシェの違いや、名前の由来、なぜ貝殻の形をしているのかをご存じですか? 普段食べるお菓子でも、生まれた国や由来などを詳しく知らないことも多いですよね。

そこで、まずマドレーヌとはどんなお菓子なのか、知ると面白いマドレーヌの知識をまとめてみました。

マドレーヌはフランス生まれのお菓子

マドレーヌはフランス生まれの焼き菓子、フランス語の表記では「Madeleine」。小麦粉、卵、砂糖、バターなどを混ぜて作った生地を焼いて作られたものです。

マドレーヌの由来は?

マドレーヌが生まれたのは、フランス、ロレーヌ地方コメルシーだといわれています。「マドレーヌ」という名前の由来には諸説ありますが、その中でもフランス人女性の名前からきているという説が有力です。その説を、以下にご紹介いたしましょう。

ある日、食通の王様をもてなす大切なときに、菓子職人が逃げていなくなってしまいます。そんなとき、偶然その場にいたマドレーヌという名前の召使の女性が、急遽、祖母から教えてもらったお菓子を作ることに。王様がそのお菓子を大変気に入り、作った女性に敬意を表して、そのお菓子を「マドレーヌ」と呼ぶようになったといわれています。

なぜ貝殻の形をしてるの?

マドレーヌの形といえば、貝殻型。日本では平たいものや菊の形をしているものもありますが、フランスでは貝殻型が主流です。ではなぜ貝殻の形をしているのでしょうか?

この貝殻は、実はホタテを表すもの。フランスでは古くからキリスト教が信仰されてきました。このホタテはキリスト教の巡礼のシンボル。聖地を巡礼した証にホタテの貝殻を持ち帰ったそうです。それゆえ神聖でありがたいモチーフとして貝殻型が使われてきたと考えられます。

フランスと日本での食べ方は違う?

日本では、マドレーヌはそのまま食べることが多いでしょう。フランスでは、朝食にも食べることが多いそう。ジャムをつけたり、コーヒーや紅茶、ホットチョコレートに浸して食べるのがパリ流なのだそう。

マドレーヌとフィナンシェとの違いって?

お店などで、マドレーヌの横に並ぶことが多いフィナンシェ。フィナンシェとマドレーヌは、同じフランス生まれの焼き菓子で、よく似ています。これらの違いについて見ていきましょう。

材料の違い

フィナンシェには卵白を使用しますが、マドレーヌは全卵を使います。またフィナンシェには、アーモンドプードル、焦がしバターが使われていることが多いのが特徴です。

【フィナンシェの主な材料】

・卵白
・アーモンドプードル
・薄力粉
・グラニュー糖
・バター(焦がしバター)

【マドレーヌの主な材料】

・全卵
・薄力粉
・バター
・ベーキングパウダー
・グラニュー糖

味や食感の違い

マドレーヌはベーキングパウダーが使われているため、フワッとした食感に仕上がります。味は卵とバターの風味と優しい甘さが特徴です。一方で、フィナンシェは、外はサクサク、中はしっとりとした食感が特徴。食べるとアーモンドと焦がしバターの香りが口の中に広がります。

きれいなマドレーヌを作るコツは?

ここからは実際にマドレーヌを作っていきたいと思いますが、せっかくマドレーヌ焼くのだから、きれいに焼きたいですよね。表面が型にくっついてしまったり、生地が膨らまなかったというような失敗は避けたいところ。きれいなマドレーヌを作るコツをチェックしていきましょう。

1:マドレーヌ型にバターを塗り冷蔵庫で冷やす

焼き上がったマドレーヌを型から外す際、表面が剥がれやすくなります。それを防ぐためには、型に油分で膜を作ることが大事。

マドレーヌ型にバターを塗り、使う直前まで冷蔵庫で冷やしておきます。冷蔵庫から出したマドレーヌ型には、さらに薄く強力粉をふりかけてから、生地を流し込みましょう。

2:生地は寝かせる

作った生地は、すぐに焼くのではなく、冷蔵庫で最低でも1時間は寝かせるのがポイント。そうすることで、グルテンが落ち着き、ふっくらとしたマドレーヌに仕上がります。作った生地をすぐに焼くと、生地が十分に膨らまなかった、ということになりやすいのです。

3:生地は型の8分目まで

生地を型に流し込む際、型いっぱいいっぱいに入れてしまうと、焼き上がりの形が崩れてしまいます。生地は焼くと膨らむため、型の8分目を目安に生地を入れるようにしましょう。

基本のマドレーヌのレシピ

では、上記のポイントを踏まえた上で、一緒にマドレーヌを作っていきましょう。基本的なマドレーヌのレシピの紹介です。

材料(約9個分)・用意するもの

<材料>

・薄力粉… 60g
・ベーキングパウダー… 3g
・全卵… 1個分
・バター… 50g
・グラニュー糖… 40g
・ハチミツ… 10g
・無塩バター… 50g

<用意するもの>

・マドレーヌ型
・ボウル
・泡立て器
・ヘラ
・しぼり

作り方

1、バターを溶かす

バターを電子レンジで加熱して溶かします。まだ熱い溶けたバターの中に、ハチミツを入れて混ぜておくと、混ざりやすいです。

2、粉類をふるう

薄力粉とベーキングパウダーをふるいにかけます。ベーキングパウダーをまんべんなく行き渡らせたいので、手間ですが3回くらいふるうことがおすすめです。

3、生地を作る

ボウルに卵を割り入れ、砂糖を加えて、よく混ぜ合わせます。砂糖が卵になじんだらOK。そこに、ふるった粉類を追加。泡立て器などでよく混ぜ合わせ、さらに溶かしたバターとハチミツを少しずつ入れながら、全体がよく混ざったら、生地の完成です。

4、生地を寝かせる

できた生地はラップをして、冷蔵庫で1時間以上寝かせましょう。

5、型にバターを塗る

生地を寝かせている間に、マドレーヌ型にバターを塗ります。無塩バター(分量外)を溶かし、刷毛などでまんべんなく塗り、冷蔵庫で冷やしておきましょう。

6、型に生地を流し込む

十分に寝かせた生地を、しぼり袋に入れます。マドレーヌ型も冷蔵庫から出し、全体に強力粉を薄くふりかけ、余分な粉を落とす。そして、型の8分目くらいまで生地を入れていきます。

7、オーブンで焼く

オーブンの予熱を200℃に設定。予熱が完了したら、生地を入れ、190℃まで温度を落とし、様子を見ながら12~14分間焼いて完成です。

マドレーヌの型がないときは?

マドレーヌの型がない場合も作ることは可能です。100円ショップなどで売られている、紙製のカップやアルミのカップでも大丈夫。

その場合は、お弁当のおかずをいれる薄いカップではなく、焼き菓子用の厚めのカップを使用するようにしてください。薄いカップだと、高温に対応していなかったり、生地が溢れ出ることがあるからです。

ふっくら美味しいマドレーヌを作ってみよう

マドレーヌはどんなお菓子なのか、フィナンシェとの違いや、自宅用レシピを紹介しました。普段食べているお菓子でも、ルーツや作り方などを意外と知らないことも多いですよね。

マドレーヌは、比較的簡単に作ることができ、初心者の方も挑戦しやすいお菓子です。ちょっとしたプレゼントや、おもてなしのお菓子として作ってみてはいかがですか?

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構成・文・写真(一部を除く)/松田慶子(京都メディアライン)

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