脾臓(ひぞう)はどこにある? 知らなかった役割と機能を再確認【親子で人体を学ぶ】

脾臓(ひぞう)は、心臓や肝臓に比べると、その働きがほとんど知られていませんが、血液や免疫にかかわる大切な機能を持っています。脾臓の基礎情報、機能や役割、免疫システムとの関係、脾臓の代表的な病気、脾臓の健康を維持するためのポイントを紹介します。

脾臓の基本情報

脾臓とは

脾臓の主な役割は、血液の中の古い赤血球を壊して、取り除くことです。古くなったり、傷ついたり、何らかの原因で正常に機能しなくなった赤血球は、脾臓で破壊されます。いわば血液をろ過する働きを脾臓は担っています。

また脾臓は白血球の一種であるリンパ球を作る機能もあり、からだの中で最も大きなリンパ器官とされています。

脾臓の基本情報
脾臓の位置

脾臓の位置はどこにあるの?

脾臓は、腹部の左上のほうにあります。胃の左側、やや後ろよりにあり、左肋骨のすぐ下にあります。

脾臓の大きさと形状

脾臓は握りこぶしくらいの大きさで、長さ10cm、幅8cmほど。腎臓と同じようにソラマメのような形をしています。やわらかいスポンジ状の内蔵です。

脾臓の機能や役割

あまり知られていない脾臓。その機能と役割を見てきましょう。

機能や役割1:赤血球のリサイクル

脾臓の主な役割は、赤血球のリサイクルです。血液の中にある赤血球は、酸素を運ぶという重要な役割を持っていますが、長くて半年くらいで老化したり、なにかの理由で傷ついたり、変形したりしてしまいます。こうして古くなったり、十分な機能を果たせなくなった赤血球を脾臓は見つけ出して、血液の中から取り除き破壊します。

破壊された赤血球の成分、特に鉄はまた再利用されて、新しい赤血球になります。ただ壊すだけでなく、脾臓は赤血球のリサイクルに重要な役割を担っています。

機能や役割2:血液を貯蔵

柔らかいスポンジ状の組織になっている脾臓は、一時的に血液を貯蔵することができます。つまり体内を巡っている血液の量を一時的に増やしたり、減らしたりする機能があります。例えば、出血したり、何かの理由で低血圧になったときには、脾臓が貯蔵している血液を体内に供給します。

機能や役割3:白血球や血小板を貯蔵

脾臓は血液を貯蔵するほかに、白血球や血液を凝固させる血小板を貯蔵する機能があります。体内の血小板の約3分の1を貯蔵していると考えられており、出血時などには血小板を放出します。

機能や役割4:免疫機能

脾臓は白血球の一種であるリンパ球を作る機能もあり、からだの免疫機能、すなわち細菌やウイルスなどに対するからだの防御機能を担っています。特に血液の中で増殖する病原体に対して免疫機能を働かせます。

脾臓と関係の深い免疫システム

脾臓はからだの中で最も大きなリンパ器官と言われています。その脾臓にとって関連深い免疫システムについて見ていきましょう。

抗体の生成

脾臓の中にある「リンパ小節」では、白血球の一種であるリンパ球が作られています。リンパ球は、細菌やウイルスなどの病原体と戦う「抗体」を作り出します。

病原体との戦い

細菌やウイルスなどの病原体(「抗体」に対して、「抗原」と呼ばれます)がからだの中に入ると、マクロファージ(大食細胞)が病原体(抗原)を取り込み、破壊します。

このとき、マクロファージからリンパ球に情報が伝えられ、リンパ球は病原体(抗原)とたたかう抗体を作り出します。抗体は、からだの中に侵入してきた病原体(抗原)と結びついて、病原体(抗原)を無力化します。

からだの中で一度、抗体が作られると、同じ病原体(抗原)がからだの中に侵入してきたときには、リンパ球が素早く反応して、抗体を作り出し、からだを守ります。これがいわゆる「免疫を獲得した」状態です。私たちのからだは、こうした免疫の精緻な仕組みで守られているのです。

脾臓の代表的な病気

脾臓にはどのような病気があるのでしょうか。

脾臓の病気│脾腫

脾腫は、脾臓そのものが病気になったわけではありませんが、他の病気の影響で、脾臓が腫れて膨れ上がった状態を言います。脾臓が通常より大きくなったことで、血液や血小板が必要以上に脾臓に貯蔵されてしまい、貧血を起こしたり、出血が止まりにくくなってしまいます。

脾腫の原因はさまざまですが、脾臓そのものの病気ではないため、脾腫を引き起こしている病気を治療することが脾腫の治療になります。

脾臓の病気│脾炎

脾臓は、リンパ球を作り出す免疫器官であり、細菌やウイルスに対する防御機能を持っていますが、脾臓自体が感染し、炎症を起こすこともあります。これが脾炎です。

脾臓の病気│脾損傷

脾臓はスポンジ状の柔らかい臓器なので、事故などによって胃のあたりを強打すると、脾臓が傷ついてしまうことがあります。脾臓は血液のリサイクルにかかわっているので、損傷が大きな出血につながることもあります。

健康な脾臓を保つために│食事とライフスタイルのヒント

健康な脾臓を保つために│食事とライフスタイルのヒント
健康な脾臓を保つためには

血液と免疫にかかわる脾臓。脾臓の健康を維持するための食事とライフスタイルのヒントをご紹介します。

バランスの取れた食生活

脾臓はもちろん、からだの中のさまざまな器官は、私たちの生命活動の根幹を支える精緻な仕組みです。なので、「これを食べれば◯◯に良い」という直接的な食べ物はありません。からだを作るタンパク質や脂質、エネルギーとなる炭水化物、ビタミンやミネラル、繊維質を含む野菜や果物をバランスよく取ることが大切です。

十分な水分摂取

水分を十分に取ることは、血液を正常な状態に保つことに役立ち、ひいては脾臓の血液のリサイクル機能に役立ちます。以前は夏の暑い時期でも、なぜか「運動中はあまり水を飲んではいけない」などと言われてきましたが、水分を十分に取ることは脾臓はもちろん、からだ全体の健康を維持するために不可欠です。

睡眠・運動・リラックス

脾臓は、リンパ球を作り出し、からだの大切な免疫機能を担っています。免疫機能は睡眠不足やストレスが続くと、低下すると言われています。脾臓を健康に保ち、免疫機能を向上させるためには十分な睡眠、適度な運動、リラックス(ストレス解消)を意識することが大切になります。

血液の若さを維持する大切な器官、脾臓

血液の若さを維持する大切な器官、脾臓
血液の若さを維持する脾臓

脾臓は、古くなったり、傷ついた赤血球をつかまえて壊し、新しい血液にリサイクルするという重要な機能を果たしています。つまり脾臓は「血液の若さ」を維持する大切な器官と言えます。

日頃、あまり意識したことのない脾臓ですが、血液の若さ、そして免疫機能を守るために、脾臓の健康を維持する生活を心がけてみてください。

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