「毀誉褒貶」とは?
まずは、『毀誉褒貶』の読み方と意味を押さえておきましょう。
読み方と意味
この言葉は、『毀誉褒貶』と書いて「きよほうへん」と読みます。「褒めることと貶すこと」「世間の評判がさまざまであること」を意味する言葉です。
「毀誉褒貶」の由来・語源は?
『毀誉褒貶』は「毀誉」と「褒貶」が組み合わせられた四字熟語です。
「毀(そしる)」「誉(ほめる)」から成る「毀誉」とは、「けなすこととほめること」。「褒(ほめる)」「貶(けなす)」から成る「褒貶」もまた「ほめることとけなすこと」を意味し、どちらも相反する二文字の漢字を重ねた言葉であることがわかりますね。
これらをさらに組み合わせることによって、それぞれの言葉の意味合いをより強調した言葉が『毀誉褒貶』です。
使い方を例文でチェック!
では、『毀誉褒貶』は実際にはどのように使うことができるのでしょうか。例文を通してチェックしていきましょう。
1:実験的な作品ばかりを作るため、彼は【毀誉褒貶】の多い作家とされている。
このように、『毀誉褒貶』は「多い」「激しい」などと組み合わせて使われることがあります。「毀誉褒貶の多い(激しい)」とは、「褒められることと貶されることが、両方共に多い(激しい)こと」を意味します。
2:先日のトラブルに対するあの店の対応には、周囲の評価も【毀誉褒貶】相半ばしている。
このように、『毀誉褒貶』は「相半ば(あいなかば)する」と組み合わせて使われる場合も。「毀誉褒貶相半ばする」とは、「良い評価と悪い評価が半分に分かれること」を意味します。
3:彼は自分の目的のためであれば、【毀誉褒貶】を顧みない。
「顧みない」とは、「気に留めないこと」を意味する言葉です。『毀誉褒貶』を組み合わせることで、「世間の評価を気にしない」というニュアンスを表すことができます。
類語や言い換え表現は?
では、『毀誉褒貶』はどのような言葉に言い換えることができるのでしょうか。類語と言い換え表現も合わせてご紹介いたします。
1:賛否両論(さんぴりょうろん)
『賛否両論』とは、「賛成と反対の両方の意見があること」を指す四字熟語です。
「褒めることと貶すこと」を意味する『毀誉褒貶』は、「良い評価と悪い評価の両方があること」を指す際にも使えるため、言い換え表現として用いることができます。
2:甲論乙駁(こうろんおつばく)
『甲論乙駁』とは、「甲の人が論じると、乙の人が反対する」という意味を持ち、「互いに相反する主張をして議論の決着がつかないこと」を指す言葉です。
『毀誉褒貶』のほうは議論にまで発展していなくても使える点が異なりますが、「反対の意見が同時に存在する」点において、近い意味を持つ言葉と言えます。
3:雲翻雨覆(うんぽんうふく)
『雲翻雨覆』とは、「世間の人々の心や考えは変わりやすいこと」をたとえた言葉です。「世間の評判はさまざまであること」を意味する『毀誉褒貶』とは、まったく同じとは言えませんが、近い意味を持つ言葉として覚えておいてもいいですね。
対義語は?
では、『毀誉褒貶』とは反対の意味を言い表したい場合、どのような言葉を使うことができるのでしょうか。明確に「対義語」と言える言葉が存在しないため、反対に近い意味を持つ言葉をご紹介します。
1:衆口一致(しゅうこういっち)
『衆口一致』とは、「世間の意見が一致すること」を意味する言葉です。「世間の評判はさまざまであること」を意味する『毀誉褒貶』とは反対の意味を持つ言葉と言えます。
2:満場一致(まんじょういっち)
『満場一致』は「その場にいるすべての人の意見が一致すること」を意味します。『毀誉褒貶』は「世間」のように、特定の場所を指さない場合でも使える点において異なりますが、反対に近い言葉と言えるのではないでしょうか。
英語表現は?
では、『毀誉褒貶』は英語ではどのように言い表せるのでしょうか。最後に、『毀誉褒貶』に近い意味を持つ英語表現をご紹介します。
1:praise and censure
“praise”は「賞賛する」、“censure”は「非難する」という意味を持つので、“praise and censure”で『毀誉褒貶』と訳すことができます。良い評価と悪い評価が同時に上がっているときに使ってみましょう。
2:approval and disapproval
“approval and disapproval”とは、『賛否両論』と翻訳できる英語表現です。日本語でも『賛否両論』と『毀誉褒貶』が類語とされているように、英語でも『毀誉褒貶』と近い意味を持つフレーズと言えます。
毀、誉、褒、貶、それぞれの意味を把握して覚えましょう
今回は『毀誉褒貶』の読み方や意味、使い方、関連語までをご紹介してきました。あまり見慣れない字の並びではありますが、至極シンプルな意味を持つ言葉でしたね。漢字ひとつひとつの意味を把握しておくことで、より覚えやすくなるはず。
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文・構成/羽吹理美