2~4歳児にとって、生活のすべてが遊び
大人にとっての遊びは「余暇に楽しむ」ことですが、幼児の場合、遊びは「生活そのもの」です。子ども自身が興味をもって行うすべてのことが遊びです。そして遊ぶ経験こそ、子どもの中に、将来伸びていく「芽」を育むのです。
幼児の遊びに必要なのが、「楽しいと感じる」ことと、「主体的に取り組む」ことです。大人でも自分が好きなことには集中し、「もっと知りたい」「上手になりたい」などと思うはず。子どもも同じです。楽しいと思うから、もっと楽しむために自分からすすんで考えたり、根気よく続けたりすることができます。そして、やりたいことができたときの達成感は自己肯定感を高め、新しい課題(遊び)を見つけて取り組む意欲にもつながるのです。
大人が心がけたいのは、子どもの遊びをじゃましないことです。出来栄えや結果を求めて遊び方をコントロールしないように注意しましょう。「できた・できない」ではなく、子どもが楽しんでいるかどうかに注目してください。
子どもは「やりたいことをして楽しむ」のを保証され、安心して遊べることが大切です。遊びを突き詰めていくと、うまくいかないことも出てくるでしょう。そんなとき、「難しいけれどやってみよう」などと思えるかは、「やりたいことをしたら楽しかった」という経験を十分に重ねてきたかどうかにかかっています。
また、子どもは遊びの結果として様々な能力を身につけていきます。絵本が好きな子が文字を覚えるのは、楽しむための手段として必要だからです。そもそも興味がない子に絵本を与えても、読む能力の伸びにつながるとは限りません。遊びが子どもを成長させるのは、「~したい」を実現させるために、考えたり頑張ったりするから。遊びの過程で得られるこうした経験こそ、将来につながる学びの土台になるのです。
幼児期の遊びにはこんな意味がある!
体を動かす遊び
幼児期は、体の複雑な動かし方を学び、バランス感覚などを高める時期。走る、ジャンプする、よじ登るなど、さまざまな動きを経験することが大切です。
ものを作る遊び
空き箱でロボットを作るなど、自分のイメージしたものを形にしようとします。思い描いたものを作りたいという気持ちから、道具を使うなどの挑戦もしていきます。
ごっこ遊び
ごっこ遊びは、ものごとを記憶する→イメージする→再現することで成り立ちます。イメージする力は、2 ~ 4歳頃から大きく伸びていくため、「鍋と野菜のおもちゃ」のように役割が決まったものを使うだけでなく、「箱を鍋、ブロックを野菜に見立てる」といった遊び方もできるようになっていきます。
絵本を読む
自分でページをめくって気になるページを見る、お気に入りのせりふを覚えて口に出すなど、興味に合わせて自分なりの楽しみ方もするようになります。
友だちとの関わり
3歳頃までは、ふたり以上の子が同じ場所で遊んでいても、それぞれがひとりで楽しんでいること(並行遊び)がほとんど。並行遊びの経験を重ねることで、徐々に「一緒に遊ぶ」という意識がめばえていきます。
他人とイメージを共有できるようになると、自分がなりきるごっこ遊び(お姫様ごっこなど)から、友だちとの協力が必要なごっこ遊び(お店屋さんごっこなど)へと発展。ルールを守って遊ぶことなどもできるようになっていきます。
遊びを通して育っていく力
それぞれの力はすぐに身につくわけではなく、個人差があるので、子ども自身が楽しく・自主的に取り組むことを大切に!
全身を使う➡運動機能
自分から楽しむ➡自発性や意欲
ものを作る➡手指の機能、創造性、思考力
挑戦・失敗・思考を繰り返す➡思考力、頑張る力
友だちと協力して遊ぶ➡協同性(思いや目的を共有して取り組む力)
想像の世界で遊ぶ➡創造性
やりたいことを主張する、友だちにゆずる➡感情をコントロールする力
ルールを守る➡社会性(人とうまく関わる力)
さまざまな遊びの経験によって、「学ぶ準備」ができていきます。
めばえっ子の「楽しい!」につながる遊び方のポイント
①自由に好きなことをする
②好きなこと、得意なことを生かす
③自分なりに工夫する
④新しいことに挑戦する
⑤大人に頼らずに何かを作る
⑥見通しを立てて遊ぶ
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教えてくれたのは
『めばえ』2023年10月号
構成/野口久美子
イラスト/荒井佐和子
親と子をつなぐ、2・3・4歳の学習絵本『めばえ』。アンパンマン、きかんしゃトーマスなど人気キャラクターと一緒に、お店やさんごっこや乗り物あそび、シールあそび、ドリル、さがしっこ、めいろ、パズル、工作、お絵かきなど、様々なあそびを体験できる一冊。大好きなパパ・ママとのあそびを通して、心の成長と絆が深まります。
再構成/HugKum編集部