子どもにお月見は3回できることを伝えてみよう
十五夜のお月見はとても有名です。朝の情報番組を見ていたら「今夜は十五夜のお月見です」と伝えていましたし、天気予報でも“今日は月がきれいに見えるか”を予報して伝えていました。スーパーでも月見のお団子を売り出していましたね。園でもこの時期お月見にちなんだ工作をすることがあるので“お月見と言えば十五夜”と思う方が多いのかもしれません。
3つのお月見はそれぞれ旧暦をもとに日付が決められています。
今年の十五夜は9月29日でした。(旧暦では8月15日)今年の十三夜は10月27日。(旧暦では9月13日)ちなみに十日夜は11月22日(旧暦10月10日)です。
10月27日の十三夜が近づいてきたら、子どもに2回目のお月見について伝えてみませんか?
と伝えれば、前回のお月見のことや月の形を思い出し、次の十三夜のお月見を想って一緒に夜空を見る機会が増えるかもしれません。
「どうしてお月見が何度もあるの?」「満月じゃないのにお月見なの?」への伝え方
「どうしてお月見が何度もあるの?」と言われたら
お月見が3回あると伝えた時、お月見は終わったと思っていた子どもは「そうなの?」と驚き、「どうしてお月見が何度もあるの?」と言いました。その時はこのように伝えましたよ。
十五夜の時は里芋とかお芋をお供えして「芋名月」、十三夜の時は栗とか豆とかをお供えするから「栗名月」「豆名月」って呼ぶこともあるよ。
感謝の気持ちを伝えるために、毎回お供えするものは3つあって、1つは月見団子。お月見の時にはお月様みたいに丸いお団子を作って、お供えするでしょう? これも十五夜の時は15個、十三夜の時は13個お供えするの。
2つ目はススキ。ススキを飾るのはね、チクチクの部分で“悪いものが来ませんように”とか“沢山実ったものを守りたい”という意味があるよ。
3つ目その時期に収穫されたもの。十五夜の時は里芋とかお芋で、十三夜の時は栗とか豆、十日夜の時は秋に収穫できたものをお供えするよ。秋は美味しいものがたくさんあるからその時々に“ありがとうございます”って感謝していただこうね。
「満月じゃないのにお月見なの?」
十五夜の時には丸いお月様が見えたと思いますが、十三夜では完全な丸ではない、少し欠けたお月様が見えます。
最初に、子どもに十三夜の月を見ながら伝えた時「満月じゃないのにお月見なの?」と言われました。きっと子どもには“お月見=満月”というイメージがあったからかもしれません。
その時私の頭にふとよぎったのは金子みすゞさんの「星とたんぽぽ」の詩の中の一文“見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ”でした。見えぬけれどもお月様は確かに存在していること、お月様の形にとらわれることなく、収穫への感謝の気持ちを持つことが大切であることを伝えたい。
そしてもう一つが「私と小鳥と鈴と」のなかの一文“みんなちがってみんないい”でした。満月のお月様はもちろん素敵だけど、三日月も下弦の月もどのお月様もどれも素敵だと思う心を持ってもらいたい。
その時にはこう伝えました。
お月様の見える形が変わっても“ありがとう”の気持ちはちゃんとお月様に届くよ。今日は十三夜のお月様を見ながらお団子や栗が食べられることに感謝していただこうね。
そう伝えると、いつもより大きな声で「いただきます!」と言ってくれました。
お月見を楽しもう!
お月見をする日は決まっています。お供えに基本の型もあります。けれど、必ずしもその通りにすることが大切なのではなく、大切なのはお月見をする目的を子どもが理解することだと思っています。“秋の夜空の月を楽しむこと”“収穫に感謝すること”この2つができれば、子どもたちが親しみやすい形で伝えるのもいいですね。
例えば食事の時のテーブル。一人一人の席に少し大きめの黄色やオレンジの画用紙で円を作り、ランチョンマット代わりにします。そして箸置きにうさぎや月や栗など季節の箸置きを置く。
これだけでも気分が変わります。今は100円ショップでも可愛い箸置きなどがあるのでぜひ見てみてください。
お団子を作るのが少し大変であれば、栗を使った和菓子や豆大福など、収穫物を使ったお菓子を購入し、一緒に食べるだけでも季節を感じることができます。十五夜で作った折り紙をもう一度作成してみるのもいいですね。
季節の行事を楽しみながら、自然の美しさを楽しむ心、食べ物への感謝の心が育ちますように。
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文・構成/赤名麻由子
赤名 麻由子