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5歳児子育て中のお悩み、モンテッソーリ流に解決します!
食事やお風呂、身支度や片付けなど、ひと通りの日常生活をこなせるようになってくる5歳児は、社会性も育まれ、言語能力も発達しています。「お兄さん・お姉さんになったなぁ」と見つめていると、急に「エッ⁉」という言動で、ママやパパを驚かせることも。特に悩みがちな2つのキーワードについて、あきえ先生にお話を聞きました。
キーワード①大人の反応を見ながらよくないことをする
大人がどんな反応をするのか見たくてやっている
子どもは、自分がやったことに対して、大人がどのように反応するかを見ています。結果、怒られても褒められても、「これをすると、こんな反応が返ってくるんだ」と学習するのです。「怒られるとわかっていることをわざわざしないのでは?」とも思いますが、そんなことはありません。子ども自身が何かにイライラしている時、大人に注意されてむしゃくしゃしているような時は、「これをやったらママは怒る」ということをわざとやるような姿が見られることがあります。子どもが大人の反応を見ている時、おすすめなかかわり方をお話します。
なるべく反応しない
- 例:口にミートソースをつけたままソファにダイブ!
- ×「(怒った口調で)汚れるでしょ!やめなさい!」
- ○「(普通の口調で)口を拭いてからソファに座ってね」
- 例:家の中でボールで遊んでいる
- ×「(怒った口調で)ボールなんかやったら危ないでしょ! 投げないで!」
- ○「(普通の口調で)家の中でボール遊びはしないよ」
子どもはこれをやったら怒られるかも?という行動を取り、「ママはどう反応する?」「パパにこう反応して欲しいな」と思いながら、大人の様子をうかがっています。それに対して、大人が過剰に反応してしまうと、「これをするとママは怒る」ということを学習し、子どもにとってそれは「よしきた!」と、報酬のように思えてしまいます。そして、また怒られるギリギリのことをし、大人の反応を見るというように、くり返すようになるのです。
「なんでわざと怒られるようなことをするんだろう」とイライラし、怒りたい気持ちになった時は、一度その場を離れて冷静になることがおすすめです。そうして自分の気持ちを整えて、できるだけ反応せず、「やりません」とシンプルに伝えます。その行動をくり返すことで、子どもは「やってもつまらない」と思い、次第にやらなくなってくるのです。とにかく冷静に、かつシンプルに伝えて、反応しないことは、長い目で見た時に一番効果があることです。
行動がヒートアップすることもあるということを認識する
自分が思っているような反応が大人からかえってこないと、「もっと反応してもらおう!」とより行動がヒートアップすることがあります。それは一時的な姿ではあるものの、「なんで何回言ってもやるの?」「この子は話が理解できないの?」などと、悩みますよね。しかし、反応見たさにより一時的にヒートアップするものと認識しておきましょう。
その上で、ここでも過剰に反応したり、怒ったりするのではなく、冷静に対応するのがおすすめです。
自分のことを見て欲しいと思うのは、子どもだけでなく大人も同じですよね。見てもらっていることは喜びにもなります。しかし、それが良くないことに対しての過剰な反応だったとしても、「反応してくれた」という報酬になってしまうのです。逆に「これはやっても意味がない」と子どもが思えば、くり返さなくなります。そのため、なるべく過剰な反応をしないよう注意していきたいですね。
キーワード②「これって反抗期?」という言動
ママやパパ自身を整えてから子どもに接しましょう
できるはずのことを「できない」と言ったり、簡単なことを面倒くさがったり、聞く耳を持たなかったり……。今までは、やりたくないだけのNOだったものが、「ママがこうだから嫌」「そんなのパパがやってよ」と、NOが大人に向かっているような反抗的な態度を見せることがありますよね。「どっちからやる?」と選択肢を示す、「これをやるのはどう?」と提案をする、「やってもらってもいい?」と依頼するなど、さまざまな手を尽くすもののあまり効果が感じられず、子どにどう声かけをしたらいいのか、どう接したらいいかがわからなくなることがあると思います。そんな時に試してみて欲しいことをお話します。
視野を広げるために子どもと離れる時間を増やす
反抗的ともとれる態度がくり返しあり、子どもに対して「なんとかしなくては!」と思っていると、尊重(リスペクト)のまなざしが少なくなってきてしまいます。いつもだったら、子どもの意見や要望を尊重してあげたいという思いがあるのに、それが持てなくなり、イライラした気持ちがダイレクトに出てしまうのです。子ども目線では、「最近、注意されることや求められることが増えた」と感じ、「なんだよ!」とイライラしてしまって、より話を聞かずに、反抗的な態度をとるようになります。この循環は、どちらが先だったかと言うと、子どもが先だったかもしれません。しかし、大人がその循環に乗らずに、今まで通りかかわっていくことが大切です。
しかし、その循環に乗ってしまうこともあると思います。そんな時は、「子どもをどうにかしよう」という子どもへのアプローチを自分に切り替えて、自分の機嫌を自分でとってあげるようにしましょう。5歳は幼稚園や保育園に行っている年齢だと思うので、子どもがいない時間で癒しやリフレッシュする時間を持ち、しっかりと自分を整えます。そして、「そろそろリフレッシュの時期」と、自分のことを俯瞰で見ることも大切なことです。
自分を整えたら子どもとフルコミットして遊ぶ
自分を整えることができたら、「この子のここを直そう」とするのはやめ、フルコミットして楽しく遊びます。その時は、反抗的な態度を取られたとしても、子どもと楽しむことを第一に考えます。その時に注意したいのは、「フルコミットしたんだから変わるだろう」と、子どもに期待してしまうことです。数回で変わる子もいれば、数ヶ月かかる子もいます。「ママは〇〇ちゃんと遊びたいんだ」と伝え、楽しく遊んだり、スキンシップを取りながら、丁寧に子どもの話を聞いているうちに、いつしか反抗的な態度が変わってくるかもしれません。そして、なかなか変わらない場合、ママやパパにイライラが蓄積してきますよね。そうしたら、またリフレッシュして子どもとかかわる、ということをくり返していきましょう。
社会性や言語能力が育まれた分、今までにはない言動も多くなる5歳児
お友達や園の先生などとコミュニケーションを取りながら、日々、社会性や言語能力を育んでいる5歳児。その中で「口答えをする」「反抗的な態度をとる」ような姿が多く見られるかと思います。しかし、これも成長過程。「うちの子、大丈夫?」と不安視せずに、できるだけフラットな感情でかかわっていきたいですね。そのため、私たち大人が自分自身を整えることも忘れてはなりません。
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記事監修
モンテッソーリ教師あきえ
幼い頃から夢見た保育職に期待が溢れる思いとは裏腹に、現実は「大人主導」の環境で、行事に追われる日々。そのような教育現場に「もっと一人ひとりを尊重し、『個』を大切にする教育が必要なのではないか」とショックと疑問を感じる。その後、自身の出産を機に「日本の教育は本当にこのままでよいのか」というさらなる強い疑問を感じ、退職してモンテッソーリ教育を学び、モンテッソーリ教師となる。「子育てのためにモンテッソーリ教育を学べるオンラインスクール Montessori Parents」創設、オンラインコミュニティ”Park”主宰。2021年1月に初著書「モンテッソーリ教育が教えてくれた『信じる』子育て」(すばる舎)、2022年3月に「モンテッソーリ流 声かけ変換ワークブック」(宝島社)を出版。
あきえ先生主宰オンラインスクール「Montessori Parents」
取材/本間綾