目次
たけのこアレルギーとは?
まずは、たけのこアレルギーの基本情報を解説していきましょう。
たけのこアレルギーの基本知識
たけのこアレルギーとは、たけのこを食べることでかゆみなどのアレルギー症状が起きることを指します。
たけのこによるアレルギーのような症状には、アレルギー性と非アレルギー性があることを知っておきましょう。
何か特定の食べ物を食べると必ずじんましん、湿疹やかゆみといった症状が出るという場合にはアレルギー性といえます。これは一般的に「食物アレルギー」と呼ばれます。
一方、症状がアレルギーの成立とは無関係に生じる場合は、非アレルギー性といいます。これは「仮性アレルゲン(薬理活性物質)」によって引き起こされます。
たけのこアレルギーの原因とメカニズム
たけのこアレルギーの原因と、どのようにしてアレルギー症状が発症するのかのメカニズムを解説します。
たけのこアレルギーの原因
たけのこアレルギーの原因は、アレルギー性か非アレルギー性かによって異なります。
アレルギー性(食物アレルギー)の場合は、食べ物にふくまれるタンパク質が原因とされています。身体に入ってきたタンパク質を異物だと認識してしまい、アレルギー症状が出ます。
非アレルギー性の場合の原因は、仮性アレルゲン(薬理活性物質)とされています。たけのこには、ヒスタミンという物質が含まれています。このヒスタミンによって、アレルギーに似た症状が起きることがあります。
たけのこアレルギー発症のメカニズム
たけのこが食物アレルギーの原因物質だった場合、どのようにアレルギーが発症するのか見ていきましょう。
たけのこを食べると、腸管から成分が吸収されます。このとき身体がたけのこのタンパク質を異物だと認識します。そうすると、血中のIgE抗体(免疫グロブリンE)と呼ばれるタンパク質が反応し、アレルギーの症状が出るというメカニズムです。
たけのこが仮性アレルゲンの場合は、たけのこにふくまれるヒスタミンによって身体に直接作用し、アレルギーのような症状が出ます。仮性アレルゲンには特徴があります。それは、摂取する量によって症状が異なることです。大量に摂取した場合には、症状が強くなる傾向にあります。また、同じ食品を摂取しても材料により、あるいはその日の体調などにより症状が出たり出なかったりします。
たけのこアレルギーの症状を知ろう
たけのこアレルギーの症状と、症状が出たときの対処法を説明していきます。
たけのこアレルギーの典型的な症状
食物アレルギーの場合の症状は、皮膚の症状としてじんましんやかゆみが、呼吸器の症状としてくしゃみや鼻づまり、息苦しさなどが、消化器の症状として吐き気や下痢などが出ます。
非アレルギーの場合の症状は、便秘・下痢、肌荒れ、口のなかがイガイガする、皮膚のかゆみ、腫れ、胃痛、気管支喘息などを引き起こす場合があります。
症状が出たときの対処法
上記で紹介したような症状の中で、息苦しさや下痢が出た場合は、重症化(アナフィラキシー)のサインの可能性がありますので、速やかに病院を受診しましょう。
なお食物アレルギーには根本的な治療薬はないため、医師の栄養指導を受けるようにしてください。また食物負荷試験を行い、摂取許容量を確認する必要もありますので、医師と相談するようにしてください。
たけのこアレルギーの予防法・対策
たけのこアレルギーに予防法はあるのでしょうか。また、対策についても解説していきましょう。
予防は可能?生活での工夫
食物アレルギーの場合は、アレルゲンとなるたけのこを食べないようにすることです。ただし、個人によっては少量であれば食べられるケースもあるため、医師と相談して摂取する量を決めましょう。
家庭での調理方法のポイント
仮性アレルゲンの場合は、調理方法によって症状を出にくくさせる効果が期待できます。
化学物質は食材が古いと増えることがあるため、食材はなるべく新鮮なものを使うようにしましょう。またたけのこを調理するときには、必ず加熱するようにしてください。加熱することで、症状が出にくくなるといわれています。
そのほか、たけのこのアクにふくまれるシュウ酸により、口のなかがイガイガすることもあります。こういった症状を避けるためにも、米ぬかなどを使ってしっかりアク抜きを行いましょう。
外食時の注意点
外食のときには、たけのこを使った料理は避けるようにしたほうが無難です。たけのこが使われていないか、お店の人に聞くのもよいでしょう。
たけのこアレルギーの子どもを持つ親がするべきこと
お子さんがたけのこアレルギーである場合、親がするべきこと、できることを解説していきます。
子どもへの説明と心構え
まずは、子どもに「たけのこアレルギー」についてわかりやすく説明します。たとえば「◯◯ちゃんがたけのこを食べると、◯◯ちゃんの身体によくないものが入ってきたと勘違いして、かゆみ(症状)が出てしまうんだよ」といった具合です。
このとき、食べたらどのような症状が出るのかも教えておいてください。また食物アレルギーに関連する絵本を親子でいっしょに読むと、理解が深まりやすいでしょう。
たけのこアレルギーについての説明のあと、たけのこを使った料理にはどんなものがあるかを伝えて、「食べられないもの」として認識させましょう。また、親が作ったもの以外の料理や食べ物を食べるときには、子どもが親に「食べてもいい?」と必ず確認させるように習慣づけておくとよいでしょう。
診察の際には、まったく食べないほうがいいのか、少量ならば食べてよいのか、医師の指示を仰ぐようにしてください。
学校や公共の場での配慮
●学校で
学校へは、食物アレルギーがあることに加え、アレルゲンになる食品を伝えます。また、食べるとどのような症状が出るのか、症状が出た場合はどのような対処をするのかなどが記載された診断書や指示書を学校に提出するようにしてください。
給食においては、除去食を提供している場合は、医師と相談して利用するかしないかを決定します。除去食がない場合は、あらかじめメニューを確認したり、お弁当を持参したりしましょう。
また学校で注意したいのは、調理実習のときです。調理実習ではアレルゲンを扱う可能性があります。事前にどんなものを作るのか、材料はどのようなものかなどを、担任の先生に確認しておくと安心です。
●飲食店で
飲食店では、たけのこを使ったメニューを避けるようにしましょう。
●友だちの家で
友だちの家で、おやつや軽食を出されることがあるかもしれません。アレルゲンの入っている食べ物をうっかり食べてしまわないように、食べ物は持参するようにしましょう。また、その子のアレルゲンとなる食品を書いたメモを持たせるのもおすすめです。
家族でサポートする
食物アレルギーは、家族の理解が必要です。いっしょに暮らす家族全員に、食物アレルギーがあることを共有しておきましょう。そして、誤って食べてしまわないように十分注意してあげてください。
少量なら食べられる場合は、食べすぎないように注意しておくことも大切です。
おいしいたけのこ、けれどアレルギーに注意して
たけのこごはんや若竹煮など、春の食卓を華やかにする食材であるたけのこ。とてもおいしいものですが、人によってはアレルギー症状が出ることもあります。たけのこを調理するときには、しっかりアク抜きして加熱調理をすることが大切です。
またアレルギーのような症状が出た場合には、可能ならば症状が消える前に病院を受診し、必要に応じて食物負荷試験などにより摂取許容量を確認するようにしましょう。
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記事監修
医療法人社団藤和会 あんどう内科クリニック院長。藤田保健衛生大学(現藤田医科大学)卒業後、同大学病院研修を経て、同大学病院総合診療内科所属。2011-2015年にかけて同院最優秀指導医賞受賞。岐阜市民病院総合内科を経て現職。岐阜大学総合病態内科学非常勤講師、藤田医科大学救急総合内科客員講師、岐阜市民病院研修管理委員会外部委員。
日本内科学会認定医
プライマリケア連合学会認定医・指導医・代議員
日本心療内科学会登録医
日本医師会認定産業医
『医療よろず相談所』をクリニックのコンセプトに掲げ、医療に関わるあらゆる問題に向き合う生粋のプライマリケア医。「プライマリケアは日本の医療を救う」と信じ、若手医師の教育も積極的に行っている。
文・構成/HugKum編集部