馬肉料理を深堀り! なぜ熊本名物?福島とは食べ方が違う? 馬肉の特徴やレシピを紹介

熊本名物で知られる「馬肉料理」。熊本を訪れたらぜひ食べてみたい名物の1つですよね。しかし馬肉ってどんな肉なのか、馬刺し以外に食べ方があるのか疑問に思う方もいるのでは? そこで本記事は、熊本名物、馬肉料理について紹介していきたいと思います。

熊本は馬肉料理が名物

熊本県は馬肉生産量日本一。生の馬肉を薄くスライスして、ショウガやニンニク、薄く切ったたまねぎと一緒に甘口の醤油で食べる「馬刺し」が有名です。

しかしなぜ、熊本で馬刺し、馬肉料理が有名になったのでしょうか?

なぜ熊本で馬肉料理が有名?

馬肉は昔から滋養強壮に食べられていました。そんな馬肉が熊本で食べられるようになったのか、その由来には諸説あります。しかし有力なのは肥後熊本藩、初代藩主・加藤清正が由来という説です。

加藤清正が朝鮮出兵の際に、戦地で兵糧がなくなり、仕方なく軍馬を食べることに。するとその馬肉の美味しさに驚き、戦地から熊本に帰ってからも食べるようになったのが、馬肉を食べる習慣の始まりだといわれています。

また阿蘇地域は軍馬の産地。戦後の食糧難で馬肉を食べたことから、熊本や阿蘇地域などで広がっていったともいわれています。

加藤清正公像[熊本市中央区]

馬肉ってどんな肉? 味や特徴は?

馬肉を食べるようになった由来を説明してきましたが、では馬肉とはどんな肉なのか、味の特徴などを見ていきましょう。

別名「桜肉」

馬肉は別名「桜肉」といわれています。その由来にも諸説ありますが、馬肉は煮込んだり焼いたりすると桜色になることや、馬肉の切り身が桜の花びらのように見えるから、という説があります。

江戸時代には動物の肉を食すことを禁じられていました。しかしそれを守る人もいれば、一般的には食べられていたという記録も。その際に馬肉を意味する隠語としても「桜肉」が使われていたとか。

馬肉にも部位がある

馬肉と一口にいっても、様々な部位があります。ヒレやモモ、サーロインや肩ロースなど、牛や豚と同じ呼び方の部位も。その一方で、馬の首の皮下脂肪、「たてがみ」といわれる馬肉にしかない部位もあります。

馬肉の特徴とは?

・あっさりで肉には甘みがある

馬肉は、牛や豚に比べてあっさりとした味わい。さらに牛肉の3倍ものグリコーゲンを含んでします。そのため、食べると肉に甘さを感じ、馬刺しは舌にのせると、とろけるのが特徴。

また馬肉の脂は焼いても比較的軽く、こってりとした脂っぽさを感じにくいでしょう。

・栄養素が豊富

馬肉は滋養強壮の食材として古くから食べられてきた、栄養素が豊富な食材。ビタミンA、ビタミンB 12、ビタミンE、鉄分やカルシウムが多く含まれています。鉄分に関しては、ひじきやほうれん草の約2倍、カルシウムは豚肉や牛肉の約3倍ともいわれています。

そんな栄養豊富な馬肉ですが、一方で脂質は豚肉や牛肉の5分の1以下、カロリーは豚や牛の約半分といわれているんです。馬肉はコレステロールが気になる方や、ダイエット中にもぴったりな食材といえるでしょう。

・生でも食べられる

馬肉といえば、馬肉をスライスして生で食べる「馬刺し」が有名。馬肉は生で食べることが可能です。それは、馬は牛や豚に比べて体温が高く、食中毒などを引き起こす細菌類が繁殖しにくいためといわれています。また、最近は衛生管理が徹底された加工工場で解体、冷凍、出荷され、寄生虫などの対策も万全に行われているため、馬肉を安心して生で食べることが可能なんだとか。

熊本と福島の馬肉の違いは?

馬肉といえば熊本をイメージすることが多いと思います。しかし福島でも馬刺しが良く食べられており、福島は熊本の次に馬肉の生産量が多いのです。福島では、戊辰戦争で傷ついた兵士に栄養をつけてもらうために馬肉を食べさせたのが始まりとされています。

また熊本の馬刺しと福島の馬刺しには違いがあるのをご存じでしょうか? 

馬の品種が違う

使用している馬の品種が異なり、熊本の馬刺しは、サシが入ってとろけるような甘みを感じる肉が主流。一方で福島の馬刺しは赤身。脂身が少なく濃厚な旨味を感じるのが特徴です。

つけて食べるタレが違う

一般的に熊本では、馬刺しを食べる際につけるのは甘口醤油。甘口醤油にショウガやニンニクを入れたものをつけて食べられることが多いそう。

一方で福島では辛味噌が主流。辛味噌とは味噌に辛子唐辛子やニンニクを入れて混ぜたもの。醤油にこの辛味噌を溶かして馬刺しにつけて食べられています。

馬肉は馬刺し以外にどんな料理に使われる?

馬肉は生で食べられることが多いですが、豚肉や牛肉と同じで、実は焼いても煮ても美味しいんです。部位別におすすめの食べ方を紹介します。

・サーロイン… 高級な部位。サシが入って柔らかいため、主にすき焼きに使われています。

・バラ肉… 馬のバラ肉は、程よく脂があるため、すき焼きや炒めものの最適。

・ヒレ… ヒレは馬肉の中でも特に柔らかくステーキにするのがおすすめ。

・ランプ、もも肉… 赤身が多いため、馬刺しに使われる部位。煮込み料理にもぴったりです。

・肩バラ… 脂身が多い部位。煮込み料理に適しています。

馬肉が手に入ったら作りたい馬肉料理のレシピ

「生で肉を食べるのはちょっと…」という方もいると思います。そんな時は、ローストホースがおすすめ。生の馬肉よりも食べやすけど、レアな味わいが楽しめます。

ローストビーフならぬローストホース

【材料】

・馬肉(馬刺し用ブロック肉)
・塩
・粗挽きコショウ
・オリーブオイル

【作り方】

1、馬肉に塩。粗挽きコショウを揉み込み、15分ほど常温で置いておく。

2、フライパンにオリーブオイルを入れ、熱します。

3、中火で馬肉の表面を焼き色がつくまで焼きます。

4、火を止め、加熱した馬肉はアルミホイルで包みます(二重にする)。

5、4は15分ほど余熱で加熱します。

6、お好みに厚さにカットして完成です。

栄養価が高くヘルシーな馬肉料理

栄養価が高く、美味しい馬肉。日本では滋養強壮として古くから食べられてきたことがわかりました。また馬肉は、生のまま食べる馬刺しはもちろん、ステーキにしたり、すき焼き、しゃぶしゃぶ、煮物にしても絶品。

「まだ食べたことがない」という方も、熊本に行った際に食べてみたり、また馬肉はお取り寄せも可能です。ヘルシーで美味しい馬肉料理を自宅でも作ってみてはいかがでしょうか。

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構成・文・写真(一部を除く)/松田慶子(京都メディアライン)

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