モデル 蛯原友里さんが日本母乳バンク協会に授乳ケープを寄付。日本でドナーミルクが必要な赤ちゃんは年間3,000人以上も!

早産で生まれた赤ちゃんやそのご家族への理解を深めてもらう、11月17日の「世界早産児デー」。この日、ファッションモデル 蛯原 友里さんは、自身がデザインした授乳ケープとしても使用可能なキャミソールを、一般社団法人 日本母乳バンク協会に寄贈しました。

専門的ケアが必要な赤ちゃんとご家族を支援

ピジョン株式会社は、専門的ケアが必要な赤ちゃんとご家族を支援する「ちいさな産声サポートプロジェクト」を各国で積極的に展開しています。このプロジェクトの1つである「母乳バンク」支援では、2020年に一般社団法人 日本母乳バンク協会のゴールドスポンサーとなり、ピジョン本社1階に、当時日本で2拠点目となる「日本橋 母乳バンク」の設立の全面的なサポートを行いました。

ファッションモデルの蛯原友里さんが授乳ケープを寄付

早産で生まれた赤ちゃんやそのご家族への理解を深めてもらう、11月17日の「世界早産児デー」。この日、ファッションモデル 蛯原 友里さんがピジョン本社1階の「日本橋 母乳バンク」に来社。一般社団法人 日本母乳バンク協会(代表理事:水野 克已、以下略:日本母乳バンク協会)に対して、自身がデザインした、授乳ケープとしても使用可能なキャミソールを寄付することになり、贈呈式が開催されました。

寄付することになった背景は?

日本母乳バンク協会の水野先生が、蛯原さんのお子さんの主治医だったことがきっかけとなり、蛯原さんは水野先生の取り組みを聞き、母乳バンクの活動に共感していたそうです。

今回の寄付は、母乳バンクの活動に協力できることがないかという蛯原さんの想いで実現。蛯原さんは、ファッションモデルとしての活動を通じて得た「身に着けるものからパワーをもらえる」という考えから、NICUに我が子が入院しながらも、ドナーとして母乳を提供しているママたちへの寄付を申し出たと言います。

蛯原友里さんデザインの授乳ケープ

●配布対象:NICUが設置されたドナー登録病院のうち、本企画に賛同された病院(NICUに我が子が入院しながらも、ドナーとして母乳を提供しているママ)
●数量:各対象病院からの申請に基づきご提供
●寄付品:KHARAT(キハラ)授乳ケープにもなるキャミソール「Silk Volume Camisole」
●寄付者:蛯原 友里さん
1979年10月3日宮崎県生まれ。2002年に雑誌「CanCam」でデビュー後、数多くの雑誌やCM、テレビに出演。現在もファッション誌「STORY」のカバーモデルを始め、番組MCや広告モデルとして活躍する、日本を代表するファッションモデル。私生活では2児の母。

日本橋母乳バンクの施設見学と対談も

贈呈式後には、日本橋母乳バンクの施設見学とお二人の対談も行われました。

水野 克己先生のコメント

蛯原さんから授乳もできるキャミソールをプレゼントいただきました。ありがとうございます。2人のお子さんを育てながら、笑顔いっぱいで日々お仕事されている友里さんの姿を見ることで、たくさんのお母様方がきっと元気になるだろうなと思っています。母乳バンクの取り組みを通じて、小さく生まれた赤ちゃんのご家族や、ドナーの方にも笑顔を届けられると嬉しいです。

蛯原 友里さんのコメント

母乳バンクの普及に取り組む水野克己先生は、長男が小さい頃からお世話になっている、我が家にとって主治医のような存在です。「母の笑顔は太陽です」という私の子育てのモットーは、先生に教えてもらったもの。子育てに悩んだときでも、水野先生は「いつでも笑顔で、ハグしてあげるだけで大丈夫」と優しく励まし、温かく見守ってくれます。母乳バンクは、小さな赤ちゃんの健やかな成長、またお母さんが笑顔で過ごせる未来のための取り組みです。まずは興味を持って、知るところから。母乳バンクを知っていただくきっかけとなるよう、少しでもお役に立てたら幸いです。

母乳・ドナーミルクはなぜ必要?

母乳には、赤ちゃんにとって必要な栄養素がバランスよく、消化しやすい形で含まれており 「最適な栄養食」と言われます。特に、様々な感染症、病気にかかるリスクが高い早産児において、母乳には赤ちゃんの生死にかかわる壊死性腸炎(腸の一部が壊死する病気)に罹患するリスクを、人工乳のおよそ1/3 に低下させる効果があることがわかっており、「母乳は薬」とも言われています。

また、早産児がかかりやすい未熟児網膜症や慢性肺疾患などの予防に役立つ物質が含まれているほか、長期的な神経発達予後を改善する効果についてのエビデンスも出てきています。

しかし、全ての母親が、出産直後から充分な母乳が出るわけではなく、早産となった場合には、母親が必要量の母乳を与えられないこともあります。そのような際に、ドナーミルクを提供することで、上記のような疾患の罹患率と重症度を低下させ、長期的予後の改善を図ることができます。

日本では圧倒的に施設が不足

2002年にWHO(世界保健機構)より「母親の母乳が得られない場合は、ドナーミルクが第一選択である」と推奨されたことをきっかけに、今では世界60カ国以上で750カ所を超える母乳バンクが開設されています。日本では、2017 年に一般社団法人 日本母乳バンク協会が設立され、2019年当時日本に唯一の昭和大学江東豊洲病院内の母乳バンクでは、2018年9月から2019年8月までの1年間において80例に対応しました。しかし、日本においてドナーミルクが必要な赤ちゃんは年間3,000~5,000人と想定され、施設が圧倒的に不足しているのが現状です。

一方で、2019年7月には、日本小児医療保健協議会栄養委員会から「自母乳が不足する場合や得られない場合、次の選択肢は認可された母乳バンクで低温殺菌されたドナーミルクである」との提言が出され、母乳バンクの普及が期待されています。

母乳バンクについて動画で学ぶ!

安全なドナーミルクのためのクラウドファンディングも実施中

日本母乳バンク協会では、安全なドナーミルクを多くの赤ちゃんにもっと効率よく提供するため、“社会課題の解決をみんなで支えあう新しいクラファン”「CAMPFIRE for Social Good」にて、ドナーミルクを供給するための支援金を受け付けています。集まった支援金は、ドナーミルクを必要とする全ての赤ちゃんに届けていくための最新式低温殺菌処理器を購入する資金にあてる計画です。

【クラウドファンディングサイト】はこちら≫

ピジョンによる具体的な支援とは?

ピジョンは2020年から日本母乳バンク協会のゴールドスポンサーとして支援を開始。同年9月には、当時国内2拠点目となる母乳バンク「日本橋 母乳バンク」(運営:日本母乳バンク協会)を、全面サポートによりピジョン本社1階に開設しました。また、ピジョン独自の強みである、ママ・パパ、プレママ・プレパパとの接点を活かし、国内シェア8割以上の商品パッケージに母乳バンクの情報を記載した他、母乳パッドの売上の一部を同協会に寄付するキャンペーンを実施しました。さらに、社会への母乳バンクの普及およびドナーミルク利用の抵抗感を低減するため、普及啓発動画の作成や、情報Bookの無償提供などを行っています。

【ちいさな産声サポートプロジェクト】のサイトはこちら≫

赤ちゃんとご家族の支援のために

病気にかかるリスクが高い早産の赤ちゃんにとって、母乳には赤ちゃんの生死にかかわるリスクを低下させる効果があるということです。日本国内には多くの専門的ケアが必要な赤ちゃんとそのご家族がいらっしゃいます。母乳バンク」や「ちいさな産声サポートプロジェクト」がもっと広く知れ渡ることで、赤ちゃんやそのご家族をサポートできます。みなさんがほんの少しずつ心を寄せることで、支援の輪がもっと広がると良いですね。

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一般社団法人 母乳バンク協会

日本の新生児医療において「母乳」の活用を促進することを主な目的として2017年5月に設立された一般社団法人。「母乳提供者の善意」を基盤に、以下を主な内容として活動しています。

・提供者の健康チェック
・提供母乳の各種検査(血液検査によるスクリーニング検査を含む)
・提供母乳の安全な保管、保存、その方法の開発
・低出生体重児への母乳の提供
・低出生体重児の母親への母乳育児支援
・周産期医療における効果的な「母乳活用」の研究

【日本母乳バンク協会】について詳しくはこちら≫

文・構成/ひむかちほ

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