お正月の呼び名と意味
日本人にとってお正月はとても大切なものです。“お正月”という言葉でひとまとめにしてしまいそうですが、日本には“何日まではこの呼び方、この日になるとこの呼び方“というようにお正月の呼び名が変わり、その意味も変わります。
●正月(しょうがつ)一年の最初の月のこと
●元旦・元日(がんたん・がんじつ)1月1日のこと。“旦”の字は地平線から太陽が昇る様子を表しているので、午前中までのことをいいますが、現在はあまり細かく分けず、どちらも1月1日のこととして使用されています
●大正月(おおしょうがつ)1月1日~1月7日までの期間。歳神様をお迎えしている期間
●小正月(こしょうがつ)1月15日。豊作祈願、家族の健康を願って行事を行う
今回はあまり知られていない「小正月」について、意味と過ごし方について解説していきます。
小正月とは
小正月とは、上にも記載したように1月15日のことです。これには月の動きが関係しています。
昔、日本のお正月は年始めの満月の日(旧暦だと15日)でした。しかし中国の影響で新月を月の始めとするようになります。月の始まりは“月立ち(つきたち)”と言いましたが、そこから“ついたち”と言い方も変わり、1日が始まりとなりました。1月も1日を元日としてお祝いするようになります。
小正月の1月15日は1月最初の満月の日にあたるとてもおめでたい日で、旧暦でのお正月である1月15日を小正月として様々な行事や催しが行われるのです。
大正月が歳神様をお迎えすることを大きな目的にしているのに対し、1月15日に行う小正月は、豊作と家族の健康を願って行います。
では、1月15日に行われる行事の内容と、行事に込められている願いについて、これから3つご紹介しましょう。
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どんど焼き
お正月に飾ったしめ縄や門松は大正月の1月7日までに取り外します。この取り外したしめ縄や門松などを持ち寄り、神社などで燃やす行事をどんど焼きと言います。歳神様はこのどんど焼きの煙に乗って帰っていくと考えられていました。
どんど焼きは、各家庭でのしめ縄や門松、お飾りを燃やしていただきますので、実際に燃やすときにはとても大きな炎や、たくさんの煙が出ることがあります。炎が高く上がるほどご利益があると考えられることも関係しているのかもしれませんね。
今、子どもたちが炎を見る機会も、また火の危険について知る機会もとても少なくなりましたが、どんど焼きの炎を見た子どもたちは驚きで目を輝かせる、怖がる、近づいて見ようとするなど様々でしょう。
どんど焼きに参加する際は、安全面と行事の意味を理解する点から3つのことを伝えてみてください。できれば参加する前、子どもの気持ちが落ち着いているときに伝えられるといいですよ。
1つ目は、親から離れないこと。
つい炎に見入ってしまい、家族と離れたことに気づかない事態が起きては大変です。見学をする人はたくさんいます。一緒に周りを見て、状況を確認し「パパやママとしっかり手を繋いで、離れないこと」と一言伝えましょう。
2つ目は、火に近づきすぎないこと。
神社でも境界線を引いて立ち入ってはいけない場所を決め、見学する場所を設けている場合があります。その指示に従い火に近づきすぎないこと。安全に気を付けてどんど焼きを行っていても、突風や燃やす物品により思わぬ燃え方をする可能性があります。近くで見てみたいという子どもの気持ちは分かると伝えつつ、安全のために離れて見学しましょう。
3つ目は、感謝の気持ちと新しい年への願いを伝えること。
どんど焼きは、古いお札やお正月のお飾りを燃やして処分することだけが目的ではありません。新年を迎えるにあたって、古いお札に一年家族を守ってくれたことに感謝と御礼の気持ちを伝え、新しい年を迎えるために用意した門松やお飾りを燃やすことで、新しい年も無病息災で過ごせますようにと祈りを煙に乗せる行事です。
その感謝と願いを伝えに来たということを子どもに伝えましょう。“感謝”“御礼”“願い”という言葉では分かりにくい時は、パパとママがこんなふうに伝えたらいいよと言ってあげるといいですね。例えば「一年間お家にいてくれたお札さん、家族を守ってくれてありがとうございました。おかげでとても楽しく元気に過ごせることができました。歳神様、どうか今年も家族がみんな元気で明るくすごせますよう、よろしくお願いします」と伝えると、子どもにもどんど焼きの意味が伝わると思います。
なお、受付の時間や場所、予約の有無、燃やせるものと燃やせないものなどは事前にきちんと確認していきましょう。
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餅花・繭玉
小正月は農作物の豊作を願う日でもあります。そこで柳の枝や木の枝に、紅白に色づけされた丸いお餅を飾ります。これを餅花と言います。餅花をどんど焼きの火であぶり、そのお餅をいただくこともあります。
同じ形状のものを繭で作り、蚕の農家が質の良い繭ができるよう願いを込めて飾ることもあります。その場合は繭玉と呼ばれます。
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小豆粥
小正月の1月15日にいただく、小豆を使ったお粥です。無病息災・五穀豊穣の一年でありますように、と願っていただきます。鏡開きのお餅を入れたりする地域もあるようです。
中国では昔から、小豆の赤い色は悪いものを祓うという考えがあり、その考えが日本にも伝わって小正月に小豆粥を食べる風習が残りました。
新年の思いをしっかり胸に刻んで
きっと1月15日には園も学校も始まっているでしょう。子どもたちのなかにはお正月はもう終わったものと認識している子もいるかもしれません。ですが、1月15日の小正月について由来や行う内容を知ることで、無事に過ごせる日々への感謝の気持ちを忘れず、新しく始まった一年への希望や願いを確認することができます。
子どもたちがさらに元気に、希望に溢れた一年を過ごせるよう、パパ・ママはじめみんなで導いていきたいですね。
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赤名 麻由子