浜松まつりとは
浜松まつりとは、どのような行事なのでしょうか。まずは具体的な日程や、開催の目的をチェックしましょう。
初子の誕生を祝う祭り
浜松まつりは静岡県浜松市で行われる伝統行事で、例年5月3~5日の3日間開催されます。夫婦の間に初めて生まれた、「初子」の誕生を祝うことが主な目的です。
期間中は、170万人以上もの人が訪れる盛大なイベントとしても知られています。子どもたちの健やかな成長を願い、凧揚げ合戦や御殿屋台(ごてんやたい)引き回しを始め、吹奏楽パレードや大道芸など多くのイベントが開催されます。
2024年も例年通り開催される見込みですが、スケジュールが変更となる可能性もあるため、訪れる際は公式サイトで最新情報を確認しましょう。
浜松まつりの歴史
浜松まつりはいつ、どのようなことがきっかけで始まったのでしょうか。中心的なイベントの一つ「凧揚げ」の起源や、現在の形になるまでの歴史を紹介します。
市民の手によって生まれた
浜松まつりは、一般的な寺社の祭りとは関係なく行われている市民の祭りです。諸説ありますが、永禄年間(1558~1569年)に、浜松を治めていた城主の長男誕生を祝い、城中で凧を揚げたことが始まりとされています。
子どもの誕生を祝う「初凧」の伝統が、現在の浜松まつりに受け継がれているのです。浜松は、遠州灘からの強い風「遠州のからっ風」が吹く土地です。凧揚げがしやすい環境だったことも、伝統を後押ししたといわれます。
初凧の風習が各地に広がる
江戸時代には、一般庶民の間でも精力的に凧揚げが行われるようになりました。1887(明治20)年ごろには、長男が生まれたら凧を揚げる風習が本格化し始め、遠州地方に広がります。
時代が進むにつれ、それぞれの町で行っていた凧揚げを1カ所でまとめる方向性になり、自主的な管理組織が結成されます。1919(大正8)年には「和地山練兵場(現在の和地山公園)」で、大凧合戦が行われました。
勇壮な凧揚げは、体を鍛えることにつながると考えられたため、練兵場の利用が認められたといわれます。
戦後に復活し「浜松まつり」の名称に
第二次世界大戦で中断していた凧揚げ合戦は、終戦から3年後の1948(昭和23)年に復活します。1950(昭和25)年には、名称が「浜松まつり」となりました。この名称には、市民あげての祭りになるようにとの願いが込められています。
戦前は40~50町が参加していた祭りは、現在では170を超える町が参加し、より大規模に開催されるようになりました。浜松市民の大切な年中行事として、浜松まつりは現在も発展を続けています。
浜松まつりの見どころ
浜松まつりでは勇壮な凧揚げ合戦や、豪華な御殿屋台引き回しなどが行われます。それぞれの見どころをチェックしましょう。
凧揚げ合戦
祭りの初日である3日には、初子の誕生を祝い、健やかな成長を願って中田島砂丘で初凧が揚げられます。凧は高く揚がるほどよいとされ、巧みな糸さばきで懸命に高く揚げる様子が見どころです。
当日はさまざまな大きさの凧が空を舞いますが、中でも伝統の技が光る約1.5~3.64m四方の大凧は、大きな注目ポイントとなっています。
4~5日に開催される、各町衆が凧糸を絡ませて相手の凧糸を切り合う「糸切り合戦」も見逃せません。摩擦によって相手の糸を断ち切ることから「ケンカ凧」とも呼ばれ、勇壮なラッパが鳴り響く中、数百人規模で激闘が繰り広げられます。
御殿屋台引き回し
夕方になると、祭りの舞台は市の中心部へと移ります。提灯の明かりで夜の街を彩る、絢爛豪華な「御殿屋台引き回し」も見どころの一つです。
市内80以上の町が参加し、お囃子(はやし)を響かせながら練り歩きます。町ごとにおそろいの衣装に身を包んだ子どもたちが中心となって、屋台の上でお囃子を奏でます。
見物の際は、繊細ながらも力強い屋台の彫刻にも注目しましょう。1台につき約100~120点もの彫刻が施されており、見応えがあります。
激練り
御殿屋台と併せて、激練りも浜松まつりの見どころです。ラッパの音色や掛け声とともに、法被(はっぴ)姿の一団が「オイショ、ヤイショ」と、威勢の良い掛け声をあげながら、すり足で練り歩くことを激練りといいます。
夜間に、若い衆たちが初子のいる町内の家を訪れて、激練りをする風習もあります。夜まで滞在すれば、浜松まつりならではの、にぎやかな雰囲気を堪能できるでしょう。
親子で浜松まつりへ出かけてみよう
浜松まつりは初子の誕生を祝い、健やかな成長を願う祭りです。市民が中心となって運営してきた、伝統あるイベントとして知られています。
砂丘での勇壮な凧揚げ合戦が特徴で、中でも3日の初凧と4~5日に開催される糸切り合戦は、見応えがあります。昼間だけでなく、夕方から夜にかけて、御殿屋台や激練りを楽しめるところも魅力です。
親子で浜松まつりへ出かけ、独特の熱気を堪能するのも、よい思い出となるでしょう。
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構成・文/HugKum編集部