キリバスってどんな国?
キリバスは、太平洋中央に位置する複数の島々から成る国です。
太平洋にはさまざまな国がありますが、キリバスはミクロネシア連邦、パラオ、マーシャル諸島などと並んで、ミクロネシアに属する国のひとつです。
そんなキリバスとはどんな国なのか、順に見ていきましょう。
キリバス基本情報
まずは、首都、面積、人口、言語などの基本情報から見てみましょう。
国名
キリバス共和国
首都
タラワ
場所
キリバスは太平洋中央の赤道付近、米ハワイ州のほぼ真南にあります。
日本との時差
日本とキリバスの時差は島によって異なり、3~5時間です。
首都タラワと日本の時差は3時間で、日本よりもタラワのほうが3時間早く進んでいます。キリバスは日付変更線に近く、世界で最も早く日付が変わる国です。
面積
730㎢
新潟市が726㎢ですから、新潟市とほぼ同じくらいの面積といえます。
エリア
キリバスは、全部で33の島から構成されている国です。
この33の島はギルバード諸島、フェニックス諸島、ライン諸島の3つの諸島群に分けられ、首都タラワがあるのはギルバード諸島北部のタラワ島です。
キリバスにはこれだけ多くの島々が点在しているため、漁業を行ったり天然資源を掘ったりする活動を自由に行える「排他的経済水域(EEZ)」が355㎢ととても広大です。
人口
12万8874人
日本では、愛知県稲沢市が13万3000人、千葉県我孫子市の人口が13万1000人、東京都小金井市が12万4000人ですから、これらと同じくらいの人口がいることになります。
ちなみにキリバスを構成する33の島のうち、人が暮らしているのは20の島のみです。
言語・公用語
キリバス語、英語
通貨
キリバス・ドル、オーストラリア・ドル
1オーストラリアドル=97.52円(2024年3月13日現在)
キリバスでは1979年に独立した際、キリバス・ドルという独自の貨幣が発行されましたが、主に流通しているのはオーストラリアドルです。
首都タラワにはATMがありますが、その他の島にはATMがなく、ホテル以外ではクレジットカードを使える店がほとんどありません。キリバスを訪れる際は、十分な現金を持参する必要があります。
宗教
キリスト教(主にカトリック、プロテスタント)
歴史
キリバスの先住民は、およそ2000年前にやってきたミクロネシア系の人々でした。その後、1606年にスペイン人のキロスがギルバート諸島のブタリタリ島を発見しました。キリバスという名前は、18世紀後半にこの島を訪れたイギリス人、ギルバートの名前が由来となっています。
1892年になると、イギリスがギルバード諸島とエリス諸島を保護領に宣言。1916年にはイギリスがギルバード諸島とエリス諸島を併合し、植民地としました。さらに1939年にはイギリスとアメリカがカントン島及びエンダベリ島を共同統治し、1941年には日本軍がバナバ、タラワ、マキンを占領するなど、世界大戦に巻き込まれていきました。
しかし1978年にエリス諸島がイギリスから独立してツバルとなり、1979年にはキリバスが独立しました。
天気・気候
キリバスは太平洋中央の赤道付近にあるため、基本的に熱帯雨林気候です。
島により若干異なりますが、気温は年間を通じてだいたい27℃ほど。季節は雨季と乾季にわかれていますが、一年中高温多湿である傾向があります。
キリバスの治安・住みやすさ
キリバスを訪れる際に気になるのが、治安と住みやすさです。
治安は良好
キリバスでは犯罪が少なく、治安上の問題がほとんどありません。外務省が各国の安全性について紹介する「海外安全ホームページ」でも、キリバスには危険情報は発令されていません。
とはいえ、暗くなったら人気のない場所を歩くのは避ける、外出時は置き引きやスリに注意するなどといった警戒は必要でしょう。
住みやすさは疑問
キリバスの水道水は雨水をためて使用しているため、そのまま飲み水にすることができません。またタラワとクリスマス島には病院がありますが、医師や薬品が不足しているため、十分な医療体制があるとはいえません。
キリバスは治安上の問題はありませんが、衛生面などを考えると快適に住める場所とはいえないでしょう。
キリバスの見どころ・観光
キリバスの見どころや観光スポットをいくつかご紹介しましょう。
クリスマス島
クリスマス島という可愛らしい名前が付けられた島は、キリバスの東端にあります。1777年のクリスマスイブにイギリスの冒険家キャプテンクックが発見したことから、この名前が付けられました。
島全体がサンゴ礁でできていて、シュノーケリングやダイビングなどのマリンスポーツが人気です。クリスマス島では天日で作られた塩が有名で、おみやげに人気です。
フェニックス諸島
フェニックス諸島は、キリバスで初めて世界遺産に認められた地域です。
世界最大級のサンゴ礁が広がり、種類豊富な魚などの生態系が存在しています。そのため、世界で最も広い海洋保護地域となっているのです。
Parliament Building(パーラメントビルディング:国会議事堂)
「Parliament Building」は、キリバスの国会議事堂のことです。白いボートのような形に見える特徴的な建物の建設は、日本が支援しました。
べシオの戦跡
キリバスは第二次世界大戦の激戦地ともなった場所です。そのため、キリバスの各地に戦跡があります。そのひとつが「ベシオの戦跡」と名付けられたスポットで、旧日本軍の砲台が残されています。
現在は美しい海がある場所ですが、かつては激しい戦いが行われていたという歴史にも目を向ける必要があります。
キリバスの特徴・有名なもの
キリバスには、ここならではの特徴がいくつかあります。
世界で最も早く日が昇る国
世界で日付のズレが生じないために、世界的に取り決められているのが太平洋上にある「日付変更線」です。
もともと、この日付変更線はキリバスの国の中に通っていました。しかしそれでは、同じ国なのに日付が1日ズレる場所ができてしまいます。そこで1995年にキリバスの東端まで日付変更線が移動されることが決まり、結果としてキリバスは世界でも最も早く1日が始まる国となったのです。
最も気候変動の影響を受けやすい場所
キリバスの島々には大きな山がなく、海抜は平均で数メートル程度といわれています。
地球温暖化や気候変動によって海面上昇が懸念されていますが、キリバスはその影響を最も大きく受けやすい国のひとつ。海面上昇すれば島自体がなくなることも考えられ「地球で一番最初に沈む国」と表現されることもあります。
日本ともつながりのある国・キリバス
キリバスという国の名前を耳にしたことがあっても、どこにあり、どんな国か知っている方はきっと多くないでしょう。しかし第二次世界大戦のときに、日本が支配していた歴史があります。現在では日本がさまざまな技術協力なども行っていて、実はつながりが深い国なのです。
サンゴ礁と美しい海が広がるキリバスでは、おおらかな人々がのんびりと暮らしていて「キリバス・タイム」が流れていると表現されることもあります。もしキリバスを訪れる機会があれば、そんな楽園でのゆったりとした時間を楽しみたいですね。
こちらの記事もおすすめ
文・構成/HugKum編集部