こんにちは!ロンドンでふたりの息子の子育てをしているYukoです。このコラムではイギリスの教育や子育てをしながら、日本との違いを感じる部分をレポートしていきますね。
今回は、子どもたちのスクールについてレポートします!
こんなにある!日本の小学校と違うところ
入学式も卒業式もなし!普段通りに始まるプライマリースクール
日本では、桜の花咲く入学式も終わり、ゴールデンウィークを過ぎて新緑の季節。夏に向けて新入生たちはだいぶ学校にも慣れて来た頃でしょうか。
9月入学のイギリスのプライマリースクールには、入学式もなければ卒業式もありません。ブカブカの制服を着て家の前でスナップ写真を撮るのが恒例ですが、日本の晴れやかな入学式と比べると何とも地味なものです。セレモニーがないので親もいつも通りの格好で子供達を学校へ送り届けるのですが、記念すべき第一歩があまりにもそっけなく終わってしまい、拍子抜けしてしまったのを覚えています。校門で桜の木を背景に、緊張気味の子どもと大きすぎるランドセル、ちょっとおしゃれをした両親とのかたーい感じの記念写真。あぁやっぱり欲しかったです。
そのほかにも日本の小学校とイギリスのプライマリースクールには様々な違いがあります。ここでは息子達の学校の場合をご紹介したいと思います。
ランドセルはなし!手ぶら登校の日も
先ず、小学生の象徴ランドセル!これは勿論イギリスにはなく、バックは好きなものを持っていきます。と言うより、持っていくものがある日は体育がある日の着替えと週一回の宿題提出日のノートくらいで、教科書もなければ筆記用具も持っていきません。プロジェクターやホワイトボードを使って授業が行われ、各自ノートに書くときは学校の筆記用具を使います。書くといっても黒板の書き写しはあまりないようです。と言う事で、殆どの子供が手ぶら登校をしています。
宿題は、基本的に先生がノートに貼って下さるプリントやドリル、毎日の本読み、そしてタームごとに自分のペースで進めるプロジェクトになります。教科書がないので、初めは「大丈夫かイギリス!?」と思っていましたが、慣れてしまえば荷物も少なく、勉強の進行具合や学校生活については年に2、3回ある先生との面談で十分把握できるので、今となってはこのシステムが気軽で気に入っています。
授業はレベル別のグループに分かれます
クラスでの勉強は、進み具合によって5人ずつくらいのグループに分かれて勉強をします。じっくりそれぞれのペースで課題への理解を深めていく為です。 担任とアシスタントシーチャーがサポートしてくれますし、よく理解ができているグループの生徒が、ほかのグループの生徒に教えることもあるそうです。意欲がある子は次の学年の内容にもどんどん挑戦していきます。全員で話を聞いたり、グループに分かれたりと授業中も変化があるので、飽きずに友達と楽しみながら学んでいるようです。
プレゼンの機会や課外授業が多め!
授業にはプレゼンテーションや課外授業もふんだんに盛り込まれて変化に富んでいます。興味深かったのは、先日の授業参観でのプレゼンで、「人前で読むのが嫌な子は先生が読むので教えて下さい」と最初に断りがあったことです。読むのが苦手、恥ずかしいという子供たちに無理強いはせず、でもこうやって機会を増やしていくことで、卒業までには自然にみんながしっかりとプレゼンができるようになるそうです。プロセスは謎ですが、素晴らしい限りです。まるで北風と太陽ということなのでしょうか。
制服あり、でもみんな自分流に着ています
ほとんどのプライマリースクールには制服があり、息子の学校では上は学校のロゴ入りポロシャツはカーディガンですが、下は黒のズボン(長短)女の子はスカートかズボン、夏はワンピースのチョイスも。息子はいわゆる制服ズボンは生地が伸びず、休み時間のサッカーがやりにくいということで、ストレッチ素材のズボンや日本のお祭り用の少し裾が締まった感じのスボンを履いています。それぞれの好みや理由、体系の違いがあってチョイスするので、個性が反映されとても面白いです。日本の中学校の制服など、私の頃は形は1パターンだけでしたので、ちょっと違うだけで目立ってしまい、先生に呼び出される人達もいましたが、元々みんながここまで違えば、そんな事はどうでもよくなってしまいますね。
多種多様なロンドンらしく、学校内も互いに寛容に認め合う
国籍や宗教の違いも認め合い、仲良くやる子供達
ダイバーシティーロンドン、クラスメートはイギリス人ばかりではありません。たくさんの国の文化や宗教の違いが存在します。クリスマス劇に参加しない子もいれば、ピアスやマニキュアをしている子います。給食もベジタリアン、ビーガン、ハラルフード等に対応していて、アレルギーや好き嫌いがある子はお弁当を持ってきます。それでいて、学校もクラスもまとまりがないかといえば、決しそうではなく、子供達はこの多様な環境をありのままに受け止め、それぞれをリスペクトし合い、輪を作っています。学校の風紀が乱れているということもありません。世界もこんな風に寛容にお互いを認め合い、仲良くやっていけたらいいのにと、子供達を見ていると思ってしまいます。
毎日の送り迎えが、良い関係を築くコミュニケーションの場に
安全面から子どもの送り迎えは親の義務
プライマリースクール期間(5歳から11歳)は、たとえどんなに学校の近くに住んでいようと、送り迎えが義務付けられています。共働きが多いロンドンでは、送り迎え専門のナニーさんを雇ったり、祖父母に手伝ってもらったりしている人もいます。お友達のお家へ行く時も、習い事に行く時も同じなので、最初は負担が大きいと感じたこともありましたが、犯罪や誘拐の心配も多い大都市、今は一人であるかせるななどと言うことは考えられません。
先生や親同士が顔を合わせることで、信頼できるコミュニティに
そして送り迎えの最大のベネフィットは、毎朝たくさんの父兄達と顔を合わせるので、日頃の子供達の様子や、学校の情報を交換したり、何か気がついたことがあれば、先生に気軽に相談できるという事です。そのお陰で、小さな心配事も長引かせる事なく、その場その場で対処することが出来ています。ネットワークも広がっていくので、気の合うグループや学年の父兄達でパーティーをしたり、雑談から仕事に繋がったりと言う事もよくある話です。実際私も何件か父兄繋がりのお仕事をさせて頂きました。メールで済む事もありますが、毎日顔を見てコミュニケーションを取る事でより深くお互いを知り、スムーズに信頼できるコミュニティーを作れている気がします。
「ホームスクーリング」も選択肢のひとつ
他にイギリスらしいのは、「ホームスクーリング」です。イギリスでは子供に教育を受けさせる義務はありますが、就学の義務はありません。そのほかの方法で教育の機会を与えれば良い事になっています。なので、対人関係 健康や家庭の事情等の理由と共に、学校に通っていてもある時期からホームスクーリングに切り替える事もできます。
私の友達は、小さいうちに子供に世界を見せたいので、1年くらいホームスクーリングに切り替えて、家族で世界を旅しながら過ごしたいと話しています。女優のエマ=ワトソンも多忙な撮影が続き学校に通えず、ホームスクーリングに切り替えて、撮影現場で勉強をしていたと言う話は有名です。理由はそれぞれですが、イギリス教育システムは、それぞれの事情にとても寛容です。
そうは言っても学校は、勉強だけではなく、親が教えられない人間関係を学べる場所です。個性豊かなお友達と共に学ぶ人間関係は今後社会に出た時に必ず役に立つと思うので、小さいうちに多くの事に向き合って揉まれながら、しっかりと根を張って成長して欲しいというのも正直な気持ちです。ただ、子供にとって何を優先してあげるべきかと言うシチュエーションに直面した時に、こういう選択肢が身近にあるというのはとてもありがたい事だと思います。
こうやって書き出してみると、思ったよりたくさんの日英の学校の違いがあることに改めて気がつきました。またご紹介できればと思います!
氏家祐子