赤ちゃんが離乳食を吐くときの原因は?病院にかかるかの見極め方や対処法を時期別に解説

こんにちは!離乳食インストラクターの中田馨です。赤ちゃんが離乳食を食べていて「吐いた」という経験ありませんか?吐くと「体調が悪い?」とびっくりしてしまいます。病院に行った方がいいのか?自宅で様子を見ていてもいいのか?判断に困ってしまいます。今回は、赤ちゃんが離乳食を吐くときの見極め方などを見てみましょう。

離乳食を吐いてしまう原因を時期別に解説

・離乳食初期(5~6ヵ月)の場合

赤ちゃんは大人よりも「吐きやすい」ことが前提にあります。大人の胃袋を写真やイラストなどで見たことがありますよね。大人の胃にはしっかりとしたくびれがあります。しかし赤ちゃんの胃はくびれが少なく、逆流を抑える機能もまだ発達していないので、ミルクや離乳食を吐きやすいのです。母乳やミルク後だいぶ時間がたっているのに、うつ伏せや寝返りをするとゲボッと吐いたりすることもありますよね。特に、月齢が低い赤ちゃんはこの傾向があります。液体に近いトロトロの離乳食を食べているので、逆流しやすいのです。

・離乳食中期(7~8ヵ月)の場合

離乳食中期になり、だんだん離乳食の量が増えてくると、食べすぎてしまい吐くことがあります。また、ママからのもらった免疫がなくなってくるこの時期。風邪をひいて、離乳食を食べている途中で咳をして吐いてしまうこともあります。

・離乳食後期の場合(9~10ヵ月)

後期も中期同様、食べすぎや咳で吐くこともあります。また、離乳食の形状がだんだん形がある物になってくる時期です。魚や肉の塊、葉野菜などが小さく切れていない場合など。飲み込みにくいのが原因になることも。

・離乳食完了期の場合(11ヶ月~1歳過ぎ)

1歳を過ぎても、激しく泣くことなどがきっかけで吐いてしまうことがありますが、こういった嘔吐は特に心配のないものです。一方、症状のひとつとしておう吐が見られる病気に胃腸炎があります。気管支炎などの激しいせきや、髄膜炎など脳神経系の病気もおう吐の原因になります。前後の様子をよく見て、適切な処置を心がけましょう。

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赤ちゃんが離乳食を吐く場合の対処法や原因

赤ちゃんが離乳食を食べていて吐いた後。「この嘔吐物をどう処理すればいいのか?」。まだ離乳食が途中だった場合「食べさせていいものか?」「この後、どうすればいいのか?」悩んでしまいます。また、吐く原因は他にはないのか?ひとつひとつ見ていきましょう。

離乳食以外の原因は?

離乳食を食べている時、離乳食後に吐いたけどそれは引き金になっただけで、別のことが原因の時があります。ウイルス性の胃腸炎の場合は、何度も吐くことが多く、下痢や発熱などの症状も出ます。私の長男が0歳児の時、熱が出るとミルクや離乳食を吐くことが多かったです。また、頭を強く打った後に吐くこともあります。

嘔吐物の処理の仕方

食べすぎなど体調不良ではなく吐いた場合はそう心配ないのですが、病気が原因で吐いた場合は嘔吐物から菌が出ている場合があるので要注意です。保育所で赤ちゃんが嘔吐した場合は、赤ちゃんを嘔吐物から離したうえで、

1 換気をする

2 嘔吐物の上に、新聞紙、タオルなどをかぶせる

3 消毒液(次亜塩素酸ナトリウムの薄め液など)を嘔吐物の上にかける

4 嘔吐物を新聞紙(タオル)ごと袋に入れてしっかり袋の口を閉める

5 嘔吐した場所を再度消毒する

※使い捨て手袋、マスクがあるとなお◎

ということを徹底しています。家庭では消毒液がなかなかないと思いますが、薬局でウイルスに効くそのまま使える消毒液が小さいものから販売されているので1つあると、もしもの時のお守り代わりになります。

吐いたとき、離乳食を引き続き食べさせてもいい?

赤ちゃんが1回吐いただけで熱などほかの症状がなく、ケロッとしていて食べたそうにしているのなら、様子を見つつまずは水分を一口から与えてみましょう。大丈夫そうなら、少量ずつ食べても大丈夫です。心配なときはやめて、母乳やミルクに切り替えてももちろんOKです。何度も吐いたり、赤ちゃんの様子がいつもと違う場合は、食べさせるのは中止して病院に行きましょう。

離乳食を吐くこととアレルギーの関係は?

「ある食べ物を食べたら吐く」という場合はアレルギーが原因かもしれません。この場合は、自己判断するのではなく必ず医師の指導のもと、治療をしながら離乳食を進めていきます。

「少ししか入っていないから食べても大丈夫だろう」の自己判断は危険なので絶対にしないでください。また、両親どちらかに食物アレルギーがあったからその食べ物を自己判断で食べさせないのもNG。もちろん、心配だと思いますので、まずは医師に相談して離乳食を進めます。

病院に行くかどうかの見極め方

「赤ちゃんが吐く」というのは、体調面で何かが起きているのかもしれないというサインの時があります。私も自分の育児、保育所で赤ちゃんを見ていてその判断を何度もしてきました。どうすればいいかの判断するとき、以下を参考にしてください。

吐いた後の機嫌が良いなら様子を見る

離乳食を吐くことが必ず「体調不良」というわけではありません。前にも書いたように、胃の構造が原因だったり、食べすぎだったり。と体調不良以外の理由もあります。吐いた後に、普段と変わらず遊びだしたら、自宅で様子を見ていても大丈夫。ただ、念のためその日は

・ゆっくり過ごす

・次の食事を普段より軟らかいメニューにする

など配慮してみてください。

こんな症状の時は受診を

・くり返し何度も吐く

・下痢もある

・発熱がある

・機嫌が悪い

・ぐったりしている

・発疹が出てきた

などなど、いつもの赤ちゃんと様子が違うときは、迷わず病院へ。赤ちゃんは身体が小さいので、何度も吐いているうちに脱水を起こすことがあります。私の娘も嘔吐の症状があったとき、ほんの短時間で脱水になったことがあり、改めて、赤ちゃんの吐き戻しは気を付けなければと感じました。「吐いたのは離乳食が原因かな?」と思っていたら病気だったということもありますので、吐いた後の赤ちゃんの体調チェックが大切です。

離乳食が原因で吐いたなら、普段の離乳食を見直すきっかけにもなります。食べ物の固さを軟らかくしたり、ゆっくり食べさせてみたり。赤ちゃんの様子を見て離乳食を進めてくださいね。

 

記事監修

中田馨|離乳食インストラクター

一般社団法人 離乳食インストラクター協会代表理事。中田家庭保育所施設長。現在13歳の息子の離乳食につまづき、離乳食を学び始める。「赤ちゃんもママも50点を目標」をモットーに、20年の保育士としての経験を生かしながら赤ちゃんとママに寄り添う、和食を大切にした「和の離乳食」を伝えている。保育、講演、執筆などの分野で活動中。自身が開催する離乳食インストラクター協会2級・1級・養成講座はこれまで2500人が受講。

写真/山本彩乃

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