チャドってどんな国?
チャドは、チャド湖という湖があることから名付けられた国。チャドとは、現地の言葉で「大きな水域、水のある地域」という意味があり、サハラ砂漠最大のオアシスとして知られています。
また、チャドは世界最古のヒトの化石が見つかったことから、ヒトの祖先はチャド人だったのでは?という説もあります。そんな、チャドとはいったいどんな国なのでしょうか。
チャド基本情報
まずは、首都・面積・人口・民族などの基本情報から見てみましょう。
国名
チャド共和国
首都
ンジャメナ(N’Djamena)
場所
チャドがあるのは、アフリカ中央部。北にリビア、東にスーダン、南に中央アフリカ共和国、西にカメルーン、ナイジェリア、ニジェールと隣接しています。チャド湖はチャドの西端にあり、チャドのほか、ニジェール、ナイジェリア、カメル―ンの4か国にまたがっています。
日本との時差
8時間
日本のほうがチャドより8時間進んでいます。
面積
128.4万㎢
日本の面積が約38万㎢ですから、チャドの面積は日本の約3.4倍です。
エリア
チャドは、州・県・コミューンの行政区画に分かれています。
人口
1718万人
東京都の人口が約1400万人ですから、チャドの人口は東京都の人口の約1.2倍です。
言語・公用語
仏語、アラビア語(共に公用語)
チャドには、サラ、チャド・アラブ、マヨ・ケビ、カネム・ボルヌなどの多くの民族が暮らしていて、部族語は130以上あると考えられています。
通貨
CFAフラン
1 CFAフラン=0.25円(2024年4月1日現在)
CFAフランは、西アフリカ諸国で共通で使用されている通貨です。
宗教
イスラム教(52%)、キリスト教(44%)など
歴史
チャドではかつてボルヌー王国がありました。この王国は、9世紀から19世紀頃まであった黒人による国家で、チャド湖周辺の地域を支配してきました。この王国がなくなった後、ヨーロッパ人がアフリカ諸国に進出。チャドはフランスの植民地として支配されることとなりました。
そして、アフリカの17の国が一斉に独立を果たした、通称「アフリカの年」と呼ばれる1960年に、チャドもフランスから独立しました。
しかし独立後は、主導権を持った黒人たちと少数派が対立するなどして、内線が勃発。クーデターが相次ぐなど、不安定な状態が続いています。また、現在では隣国スーダンの内戦によって難民が多く流入するなど、混乱の状態にあると言っても過言ではありません。
ちなみに、チャドの国旗は、青、黄色、赤の3色のストライプ。青は空や希望、湖を、黄色は太陽や鉱物資源、砂漠を、赤は独立のために流した人々の血などを表しています。
天気・気候
チャドの気候は、北部と南部で異なります。北部はサハラ砂漠による、乾燥した砂漠気候。雨がほとんど降りません。しかし南部に行くほど、雨が多くなります。
チャドの治安・住みやすさ
チャドの治安や住みやすさはどうでしょうか?
治安は危険
外務省「海外安全ホームページ」によると、チャドの危険度は全土にわたって、「渡航を止めてください」という渡航中止勧告のレベル3が発令されています。さらに、リビア、中央アフリカ、カメルーン極北州との国境、さらにラク州、チャド湖周辺は、退避勧告のレベル4が発令されています。
これは、チャド全土に多くの地雷や不発弾が放置されたままになっていることが一因。さらに、周辺諸国からイスラム過激組織の掃討作戦が行われてるため、たびたび武力衝突が起きているほか、テロ攻撃や拉致、誘拐のリスクが高いのです。
首都ンジャメナでは、当局による厳しい統制によって、治安は比較的維持されているものの、テロの脅威に常にさらされています。2021年4月には、死傷者が出るデモも起きています。
住みやすさは×
外務省が日本人に「退避勧告」や「渡航中止勧告」を出すほど危険なチャド。さらに、チャドの国は貧困や食料不足、飢餓などの問題も抱えている途上国です。そのため、住みやすい国とは言えないでしょう。
チャドの見どころ・観光
チャドの見どころとして有名なものをいくつかご紹介しましょう。
ウニアンガ湖群
ウニアンガ湖群は、チャドで初めて認定された世界遺産の場所。チャド北東部で、サハラ砂漠の中にある18の湖の総称です。もとは1つの湖だったといわれ、それが18にわかれていきました。
ほとんど雨が降らない乾燥した地域のため、地下水を水源としていて、塩分濃度が高く、緑、エメラルドブルー、赤など、色とりどりに輝く美しさがあります。
アルシェイのゲルタ
ゲルタとは、砂漠にある湿地の意味。チャド北東部、ケネディ高原にある渓谷「アルシェイのゲルタ」は、水が溜まっているエリアです。ここには、ナイルワニの一種が生息していることでも有名です。
ティベスティ山地
ティベスティ山地は、チャド北部とリビア南部の間にある山地で、チャドで最も高い山、エミクーシ山もあります。
太古の火山活動によってできた地形が多く、クレーターなどが残っており、美しい山々を眺めたり、自然が作った非日常の世界をかいま見たりできます。
チャドの特徴・有名なもの
チャドで有名なものは、やっぱりチャド湖です。その他にも、チャドで有名なものを見てみましょう。
サハラ砂漠最大のオアシス・チャド湖
チャドという国の名前の由来になったチャド湖は、まさにチャドを象徴する存在。世界最大の砂漠であるサハラ砂漠が広がるなか、オアシスとして昔から人々の暮らしで利用されてきました。
アフリカにある湖のなかで、ヴィクトリア湖、タンガニーカ湖、マラウイ湖に次いで、4番目に大きな湖です。湖の面積は、季節によって異なりますが、だいたい10,000〜26,000㎢といわれていますが、近年は気候変動などの影響によって、縮小していることが報告されています。
世界最古のヒトの化石が見つかる
チャドの砂漠地帯で2001年、ある化石が見つかりました。これは、サヘラントロプス・チャデンシスと呼ばれる、最古のヒトとされるもので、およそ700万年前のもの。頭がい骨とあごの骨、歯などがほぼ完全な形で発見されました。
現地のトゥブ族の言葉で「生命の希望」という意味の「トゥマイ」とも名付けられ、最古のヒトではないかと議論されています。
このトゥマイが本当に人の祖先であれば、ヒトと類人猿の分岐は、これまで考えられていたより前に起きており、私たちヒトの祖先をたどると、古代チャド人だったかもしれません。
多数の部族が暮らす国
チャドは、多くの部族が暮らすことで有名です。その数は100以上にもなり、それぞれの言葉が使われています。そのため、現地でのラジオ放送では、公用語であるフランス語のほか、アラビア語、さまざまな部族の言葉などが使われているそうです。
チャド湖がある国、チャド
アフリカ中央部にあるチャド。日本の方にはあまりなじみのある国ではないかもしれません。世界最大の砂漠であるサハラ砂漠が広がるなか、オアシスとなるチャド湖を有していて、そのチャド湖にちなんで名前がつけられた国です。
治安が悪く貧困問題を抱えている国のため、ここを訪れる人は少ないかもしれませんが、いま世界が注目するアフリカの国のひとつとして、チャドという国があることを知っておきたいですね。
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文・構成/HugKum編集部